ガルパン とは 2012年にTV放映されたオリジナルアニメ「ガールズ&パンツァー」の略である。
今現在も、去年11月に公開された劇場版は好評でロングランの後今月からは
全国でまた4DX特殊音響による拡大上映がはじまっている。
お時間が有り萌えアニメ耐性のある方で理屈抜きで映画を楽しみたい方は
是非劇場に足を運ばれる事をお薦めする。
できれば、ネットでTV版を全部視聴してから観たほうがより楽しめるが
簡単な前説が本編前についているので、それをみればとりあえず大丈夫です。
私はTV放映を見ていてガルパンは十分楽しめたから
見ていない劇場版が好評でロングランしているのがうれしかった。
年初めに
西尾維新氏原作のアニメ「傷物語」の劇場版3部作最初の鉄血編が公開された。
「化物語」を最初とする物語シリーズはアニメスタジオ「シャフト」が
「化物語」以降ずっと続編を製作してTVで放映し続けている。
「傷物語」は『化物語」の前日譚にあたりアニメ「化物語」の初回の導入部に
カットとして挿入されていた為、原作ファンはシャフトが発表した映画製作の完成を
首を長くして約五年以上待っていた。
何故ガルパンと関係ない「傷物語」の映画の話なのかと言えば、
「化物語」を息子に教えてもらった事が私がアニメを再び観、
深夜アニメにはまるきっかけになったからだ。
「化物語」を観なければ、ガルパンも数々の深夜アニメやエヴァ以降観ていなかった
アニメを見直すこともしていなかっただろう。
シャフトの作った「化物語」のアニメは私が見てきたアニメとは違い
独特のスタイルをもっていて、視覚的に面白かったのと、
ヒロインの戦場ヶ原さんをはじめとする強烈な個性とキャラクターたちの会話が新鮮で
いろんな意味で煮詰まっていた私の頭を柔らかくしてくれた。
そしてそれはどこか色眼鏡でみて遠巻きにしていたラノベ(ライトノベル)と呼ばれるジャンルの本を
素直に楽しむきっかけを作ってくれたのだった。
「傷物語」は原作の物語シリーズの中では一番完成度が高く面白いとファンの間では評判で
私も原作の中で一番面白かった作品だった。
それ故にファンは2010年の「傷物語」の映画化発表以後首を長くして待ち続け
2016年に念願がようやく果たされたのだった。
私は3部作になる事が発表された時点で、嫌な感じがしていたが、
それは私と同じように長い間待ち、期待をして観にいった息子ががっかりして帰ってきたことで的中した。
私は息子のアニメの評価を信頼しているので、
予想はしていたが残念な評価に終わった事で映画館で「傷物語」を観るのをやめてしまった。
TVの放映で楽しませてもらい後日譚を期待して観にいった
シャフトの劇場映画『魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語』が
私は一本の映画として面白かったので
なおの事劇場版『傷物語鉄血編』への息子の落胆ぶりには共感できた。
そこでいよいよガルパンである。
口直しに評判が高くロングランを続けていたガルパンの劇場版を立川で観てきた息子は
『傷物語』での傷を『ガルパン』で癒されテンションMAXで帰ってきて
「母さんと二人で観ににゆくなら代金を出すから」とまで言って押しに押した。
私はその言葉にのっかり何年かぶりに妻と二人で
『ガールズ&パンツァー』の劇場版を立川の映画館に観に行った。
妻はアクション映画が好きで、子供に付き合ってアニメも見続けてきたので
一時期はアニメを全く観なくなった私よりは深夜アニメのキャリアは長かった。
立川の映画館は劇場版の製作スタッフがオリジナルで音響設定をした
極上爆裂上映と銘打たれているとおりの、凄い音響効果であった。
私たち二人は十二分に『ガールズ&パンツァー』劇場版を堪能した。
「映画はこうでなくちゃ。」というのが、私たち二人の共通の感想だった。
オリジナルアニメでの世界設定や、アニメ独特のお約束を飲み込んだ上でなければ
荒唐無稽すぎて頭の固い大の大人には幼稚に感じてしまうだろうが、
そういう事を割り引いてみても、若い頃の宮崎アニメのアクションで観たような
アニメならではの虚構をうまく使いながら、見るものを強引に引き込んで楽しませてしまう
水島努監督の力量に改めて脱帽した。
『ガールズ&パンツァー』劇場版は
深夜のTVアニメを見事に萌えアクションエンターテイメントに仕上げた
大満足の長編アニメ映画であった。
映画館に入る前から予想はしていたが、満員の観客の99%は20代から上の若い男性であった。
当然アニオタがほとんどだろうが、
私たち熟年夫婦が目立ってしまうほどメンズオタのオフ会のようであった。
これがもし『おそ松さん』の劇場版が上映されたら、腐であるかはともかく
99.9%女子で埋め尽くされるのは間違いないだろうと思った。
(残りの0.1%は男の娘)おふざけがすぎるか失礼(--)
「ガルパンメンズ」も「おそ松腐女子」もその心の中に熱いパトス(残酷な天使的な)を持っているだろうに
その想像と妄想の対象が違う事で、
この二組の熱い男女の集団が交わる事がコミケ以外では永遠にないだろうと思えてしまう事が
何かすごくもったいない気持ちになった。
まあ、アニオタにリアルの彼氏彼女がいないと思うのはただの偏見で
実はそれぞれの趣味は趣味で若いカップルで観に来るような無作法をしないという
空気を読んでいるというのが本当なのかもしれない。
彼氏彼女らの、趣味に向ける熱いパトスは腐や草食と揶揄されようが
私たちが想像する未来とは確実に違い、彼らの理想の延長上にあるものに必然的になってゆくだろう。
それは老人たちや今の大半の大人たちの価値感である
善悪や富や名声や物質的経済的な繫栄の尺度で計れば違うものであるかもしれない。
だが私は、彼女彼氏たちの多くが『おそ松さん』や『ガールズ&パンツァー』に向ける情熱と同じ真摯さで
自身の人生に向き合う正直さを持っているのを自分の子供たちと同じように信じている。
だからこそこれから迎える激変の時代に
正々堂々と彼女彼氏たちのやり方で伸びやかに立ち向かってゆけるだろうと。
「ゆとり」と言われ、我慢ができず、他人とのコミニケーションが全体として不器用と言われ続けているが
彼女彼氏らが日本の未来の希望である現実は揺るぎない事実だ。
おそ松腐女子もガルパンメンズも、老人たちのいう事を無視して
自分たちの先にある現実の未来をよりいっそう妥協なく楽しむようにしてもらいたい。
その事に妥協し、我慢や忍耐や努力を是とするブラックな社会の未来を肯定するようなら
ゆとり世代の名が泣くと思ってもらいたい。
我慢や忍耐や努力を是とする社会から決別し
ひたすら自身の楽しみを追求することでそれを凌駕する事こそが
あなた方の世代が託された未来なのですから。
あなた方の親の世代のデンパで変なおじさんの代表として
ものすごい急ハンドルを切ったような
斜め上のエールを勝手に送くりこの趣味の話を終わりとします。