はかなき花 コスモス
❝薄紅の秋桜が秋の日の
何気ない日溜りに揺れている
この頃涙もろくなった母が
庭先でひとつ咳をする❞
❝コスモス❞を始めて人前で歌った、
ご存じ
山口百恵の最大のヒット曲、
作詞、作曲は: さだまさし
彼にとっても数あるヒット曲の中で
最大のヒット曲と言っていいだろう、
昨日(8月10日)
行きつけのお店の開店と同時に入店し
カラオケの操作器で「秋桜」を
インプットして
歌った、
勿論
家では歌っているが外で歌うのは初めてだ、
歌詞の内容が嫁入り前の娘と母の繊細な心情を
表現しているので自分には合わないと思っていた、
だが 作者自身も歌ってヒットしてるし
その他にも多くの男性歌手が歌っている、
最近では数日前にこのブログでもアップした
海蔵亮太の歌う「愛燦燦」や「秋桜」にも感銘を受けた、
名曲を歌うのに男女の区別は
相応しくないのかもしれない、
何よりもこの曲には深い思い入れがある、
それは今を去ること40数年も前、
私の勤める会社に
憎からず思う女性がいた、
彼女は若くして亭主殿と死に別れ
子育てに仕事にと孤軍奮闘しているのは
知っていた、
年齢は同い年で働き盛りではあった、
バブル期で仕事は毎日忙しかった、
その疲れを癒すかのように夜は遊びまくった、
お金なんて稼ぐ気になればいくらでも稼げた、
だから使うことに躊躇いはなかった、
そんな状況下にあって
仕事が終わると特別仲の良かった同僚とつるんで
隣町のカラオケもダンスも出来る店に
足繫く通っていた、
そんな店はあちこちにあった、
そんなある日
件の彼女を含む同僚の女性たちも加わって
賑やかなひと時を過ごしていた、
そんな時にカラオケで「秋桜」が流れ始めた、
私は少しの躊躇いを振り払って彼女を
ダンスに誘った、
カクテル光線の回るうす暗いホール、
ダンスと言ってもリズムなんて
それほど気にしないチークダンスだ、
手を取り合い頬を寄せ合って踊るうちに
彼女が耳元で声を詰まらせながら
囁いた、
❝この曲を聞くと母を思い出して
目頭がうるんでくるの❞
そこには母に対する万感の思いも
あったに違いない、
だが私にはそれにも益して
彼女が寂しさの救いの手を
求めているような思いに捕らわれて
なんだか無性に愛おしくなって
腰に回した手に思わず力が入って
抱き寄せた。
❝縁側で アルバムを 開いては
私の 幼い日の 思い出を
何度も 同じ話 繰り返す
ひとりごと みたいに 小さな声で
こんな小春日和の 穏やかな日は
あなたの やさしさが 沁みてくる
明日嫁ぐ私に 苦労はしても 笑い話に
時が替えるよ 心配いらないと
笑った❞