お茶席などこれまでに経験したことが有っただろうか?
野立てのような簡単な茶席は観光地などで
味わったことが有るが
亭主がいて目の前で建てた茶を振る舞われる
茶席は初めてであった、
この日知人のIさんが習っている
大正琴の発表会があると言うので
連れ合いと一緒に隣町の文化ホールに出かけた、
会場は駐車場が満杯でスペースを探すのに苦労した、
それもそのはず今回の行事は
この街の年1回の芸能発表会の
一環で出場することを初めて知った、
Iさんの出番は午後1時時半から、
15名ほどの団体の演奏で大半が高齢の女性、
大正琴の演奏はこれまでに何回も聞いているが
どこか音楽性が希薄だ、
歴史が浅いからだろうか?(大正元年)
演奏が比較的簡単なことから
大衆受けして高齢者の間で
普及しているようだ、
馴染みの曲を6曲(20分)ほど演奏した、
評価の対象にはなりにくい演奏会であった、
聞き終わって帰ろうとロビーに出たら
若い僧衣をまとった青年に声を掛けられた、
❝お抹茶などいっぷく如何ですか?❞
???❓
❝あちらにお茶席を準備してありますので
どうぞ時間が有ったら味わってみてください❞
私は大いに興味が有ったので
2つ返事でついて行った、
ロビーの一角に幕が張られて
お茶席が準備されていた、
どうも地元の茶人グループが
一般にはなじみの薄い❝お茶❞と言うものを
広めるためにやっているようだ、
連れ合いとその知人と3名で案内されて
長椅子の席に着いた、
ほどなく亭主になる女性が
一応の挨拶を済ませて茶を練り始めた、
その間にも僧衣の青年は茶道具の説明を
我々に小声でしてくれた、
茶室の壁に見立てられた衝立には
掛け軸まで飾られていた、
茶をたてる作法が一から分かるように
手元を見せながら女性は茶を練って見せた、
客は我々3人の他に
もう一人の女性が加わっていた、
目の前で建てたお茶は私に、
他3人には裏で立てたお茶が運ばれた、
❝茶碗を少しだけ回して
あとは自由に飲んでください❞
と説明された、
茶碗の銘柄の説明もあったが忘れた、
茶碗を少しずつ口元に傾けながら
3回で飲み干した、
訳のわからない心の静まりを
感じたのか感じようとしたのか?
何となくいい気分になった、
これこそ茶のもたらす効能であろう。
今ちょうど
「利休の闇」と言う本を読んでいる、
作者は 加藤 廣
出版は 文芸春秋
利休と秀吉がどのような経過を経て近づき
最後は切腹を命じられたかを
資料を基に推理を展開した本である、
一層 利休への興味が深まっていく。