現代の映画界で「名脇役」といったら、誰を想像されます?
ジョン・マルコビッチ?
モーガン・フリーマン?
エド・ハリス?
エド・ハリスと答えた貴方、ちょっとこっちへいらっしゃい。
あの、常にどこかしら絶望感のただよう素敵に陰鬱な風貌について、ちょっぴりじっくり語り合おうではございませんか。
さておき。
この質問を映画好きに尋ぬれば、ほどなく挙るであろう名前がトミー・リー・ジョーンズ。
ドラマ、コメディー、SF、パニック、戦争ものからバットマンの悪役まで幅広くこなす
ハーバード大卒のいぶし銀オヤジでございます。
この、サブが似合うトミー・リー・オヤジ、今回は主役をはっております。
のみならず監督も手がけて、初の長編映画監督作にして、あちこちの映画祭で受賞およびノミネートに与る
ハイ・クオリティな作品を作ってしまいました。
それがこの作品『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』でございます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/08/959f476aae583c64238ef25d308d0ba8.jpg)
舞台はアメリカ-メキシコ国境沿いにある、テキサスの田舎町。
不法移民の若者、メルキアデス・エストラーダは
映画の冒頭のっけから、コヨーテに齧られる腐りかけの死体となって登場いたします。
射殺されたのち、いたってぞんざいに荒野に埋められていた彼の死体は、巡視中の警察によって発見されます。(1度目の埋葬)
どう見ても立派な殺人事件です。
しかし何せ不法移民のこと、警察は捜査する気など皆無なばかりか
犯人が判明してもなお、逮捕しようとはしません。
メルキアデスはまたもいたってテキトーに、共同墓地に埋められます。(2度目の埋葬)
ところがどっこい、トミー・リー。
メルキアデスの親友だったオールド・カウボーイ、ピート(トミー・リー)は
メル殺しの犯人を突き止め、そやつの家に押し入り、問答無用とばかりに力づくで拉致。
友との約束を果たすべく、犯人と、掘り起こした死体を伴ってメキシコへと向かいます。
生前、何気なく交わした言葉と、メルの故郷を示すわずかな手がかりを胸に。
「もし俺が死んだら、故郷のヒメネスに埋めてくれ。
胸が張り裂けるほど美しい場所なんだ。」・・・
実話ものではございませんが、実際にあった事件が原案となっております。
国境沿いでヤギを放牧していたメキシコ人の少年が、麻薬取引中だと勘違いした米の海軍兵士に射たれた事件です。
少年は死に、射った海軍兵士は何の罪にも問われませんでした。
国籍や国境を云々するより、人間として一番大切なことは何かってことを
問題にすべきじゃあねぇのかい、と
オヤジカウボーイ・ピートは、ややうらぶれたその背中で、そして
いかにも頑固そうな光を放つその小っさい目で、語るのでございます。
と申しますとなにやら「重たい」作品のような印象を持たれるかもしれませんが
のろが特筆いたしたいのは、
全編にたゆまず漂うユーモアでございます。
とりわけメルの死体がらみのユーモアが、大変ようございました。
キモチワルイはずなのにオカシイ、という
古典落語に見られるような、死と笑いの健全なコンビネーションが実現されております。
せっかくでございますから3度に分けて語らせていただきます。
続きは後日。
ジョン・マルコビッチ?
モーガン・フリーマン?
エド・ハリス?
エド・ハリスと答えた貴方、ちょっとこっちへいらっしゃい。
あの、常にどこかしら絶望感のただよう素敵に陰鬱な風貌について、ちょっぴりじっくり語り合おうではございませんか。
さておき。
この質問を映画好きに尋ぬれば、ほどなく挙るであろう名前がトミー・リー・ジョーンズ。
ドラマ、コメディー、SF、パニック、戦争ものからバットマンの悪役まで幅広くこなす
ハーバード大卒のいぶし銀オヤジでございます。
この、サブが似合うトミー・リー・オヤジ、今回は主役をはっております。
のみならず監督も手がけて、初の長編映画監督作にして、あちこちの映画祭で受賞およびノミネートに与る
ハイ・クオリティな作品を作ってしまいました。
それがこの作品『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』でございます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/08/959f476aae583c64238ef25d308d0ba8.jpg)
舞台はアメリカ-メキシコ国境沿いにある、テキサスの田舎町。
不法移民の若者、メルキアデス・エストラーダは
映画の冒頭のっけから、コヨーテに齧られる腐りかけの死体となって登場いたします。
射殺されたのち、いたってぞんざいに荒野に埋められていた彼の死体は、巡視中の警察によって発見されます。(1度目の埋葬)
どう見ても立派な殺人事件です。
しかし何せ不法移民のこと、警察は捜査する気など皆無なばかりか
犯人が判明してもなお、逮捕しようとはしません。
メルキアデスはまたもいたってテキトーに、共同墓地に埋められます。(2度目の埋葬)
ところがどっこい、トミー・リー。
メルキアデスの親友だったオールド・カウボーイ、ピート(トミー・リー)は
メル殺しの犯人を突き止め、そやつの家に押し入り、問答無用とばかりに力づくで拉致。
友との約束を果たすべく、犯人と、掘り起こした死体を伴ってメキシコへと向かいます。
生前、何気なく交わした言葉と、メルの故郷を示すわずかな手がかりを胸に。
「もし俺が死んだら、故郷のヒメネスに埋めてくれ。
胸が張り裂けるほど美しい場所なんだ。」・・・
実話ものではございませんが、実際にあった事件が原案となっております。
国境沿いでヤギを放牧していたメキシコ人の少年が、麻薬取引中だと勘違いした米の海軍兵士に射たれた事件です。
少年は死に、射った海軍兵士は何の罪にも問われませんでした。
国籍や国境を云々するより、人間として一番大切なことは何かってことを
問題にすべきじゃあねぇのかい、と
オヤジカウボーイ・ピートは、ややうらぶれたその背中で、そして
いかにも頑固そうな光を放つその小っさい目で、語るのでございます。
と申しますとなにやら「重たい」作品のような印象を持たれるかもしれませんが
のろが特筆いたしたいのは、
全編にたゆまず漂うユーモアでございます。
とりわけメルの死体がらみのユーモアが、大変ようございました。
キモチワルイはずなのにオカシイ、という
古典落語に見られるような、死と笑いの健全なコンビネーションが実現されております。
せっかくでございますから3度に分けて語らせていただきます。
続きは後日。