のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』2

2006-05-17 | 映画
「登場人物は一人残らずいやなヤツだと思ってくれていい」
とは、監督と主演をつとめたトミー・リー・ジョーンズの言葉でございますが
まあ即ち、みんなごく普通の人間だということです。
このサブキャラクターたちがなんともイイ味なんでございます。



トミー・リーの娘と脚本を手がけたギジェルモ・アリアガも、ほんのチョイ役で出演しております。
(トウモロコシ剥きを手伝って、と言う少女と、熊の肉をくれるメキシコ人のおっさん)

監督として、俳優トミー・リー・ジョーンズをどう思うかと尋ねられ
トミー・リー、こう答えてらっしゃいます。

「なかなかいい俳優だと思うよ。こちらの意図が完璧にわかるし(笑)
  映画作りには金がかかるものだ。そこで思いついたんだ、”そういえば1人、安く使えるいい俳優がいたぞ”って」

なかなか面白いことをのたもうではございませんか。
しかしこの御人、面白いだけではございませんで(そらそうだ)
パンフ掲載の経歴によりますと
フツーに労働者階級出身で、油田で働いたのちにハーバード大に進学。
フットボールのスター選手として活躍して全米チームの一員に選ばれたこともある一方、
優秀な成績で英文学の学位を取得。卒業後は俳優を目指してオフ・ブロードウェーで演技を磨き
24歳の時に映画デヴュー(アーサー・ヒラー監督『ある愛の詩』。
相当な努力家と申せましょう。

こうした多彩なバックグラウンドゆえか、
ばりっとしたスーツも、今回のようなよれよれシャツのカウボーイスタイルも
それを着て生まれてきたかと思うほどにバッチリさまになっているのでございます。




もう一回続きます。