オルセー美術館展へ行って参りました。
オルセー美術館展 神戸市立博物館
のろがあんまり印象派好きではないということも手伝ってか
「這ってでも行け!」というほどのものでは、正直ございませんでしたが
それでも神戸まで足を伸ばしてよかったと思います。
意外と幅広い作品を見ることができましたし、本展で大きくフィーチャーされている
マネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」は、さすがにウムを言わせぬ名品でございました。
セクションは5つに分かれております。
第1章 親密な時間 は、画家が家族や近しい人々を描いた作品で構成されております。
妻に抱かれる赤ん坊(長女)を、包み込むような深い群青色で描いたドニも良い。
モノクロームに近い静謐な画面に、年老いた母の横顔を収めたホイッスラーも素晴らしい。
しかしのろが最も心魅かれたのは
8歳になるひとり息子を描いたルドンの小品、「セーラー襟のアリ・ルドン」でございました。
繊細そうな少年の横顔は
縦長の画面の中にかなり右寄りに描かれ、
こめかみのあたりで切れてしまっております。
それに対して大きく空いた左側の空間には、特に何か描かれているわけでもなく
ルドン独特の色彩が神秘的にきらめきながら空をただよっております。
肖像画としては妙な構図です。
枠の中にきっちり収める構図をルドンがあえてとらなかったのは、
ものごころつく年頃のひとり息子を、四角な空間に閉じ込めてしまうことを嫌ったからではないかと想像いたします。
左側に大きく空いた空間は、画家であり父であるルドンにはしかと見ることができない
少年自身のもの思いを含んでいるように、のろには思えるのです。
(ポストカードが(案の定)なかったので、当のろやでは画像をupできませんが
こちらのブログさん ↓ が載せておいでです。ぜひご覧くださいませ。)
Windflowers オルセー美術館展
第2章 特別な場所
導線がもうひとつ良くない神戸市立博物館。
第2会場へは階段をちっとばかり長いこと上って行かねばなりません。
そして、とんとんとんとん上って行って最初に目に入る所に、いつもなかなかの目玉品を展示してあるのです。
「ナポレオンとヴェルサイユ」展 ↓ では、「アルコル橋のボナパルト将軍」が掲げられておりました。
のろや 2006年1月
今回は、陰影に無限の色彩を込めたかのようなモネの「ルーアン大聖堂」が迎えてくれます。
もっとも、のろはそのお向かいにあるマネの「ブーローニュ港の月光」の方が好みでございましたが。
こちら ↓ で見られます。ずーっと下までスクロールしてくださいまし。
ROSSさんの大阪ハクナマタタ オルセー美
術館展で展示された作品の作者1
月明かりに照らされた港で
畳まれた船の帆が黒々と夜空に突き刺さる下、
女たちの一団が船の帰りを待っています。
女たちの頭巾は月光をとらえて強く輝き
大きな風景の中で息づく、小さな、しかし力強い生命を代表しているようです。
軽快にして的確な筆致、みごとな白使い。
いよっ、さすがマネ御大! と声をかけたい所でございます。
御大ったって当時まだ36歳ですが。
などと申しておきながらも
当セクションで一番印象深かったのもやっぱりルドンの小品でございまして(はい、好きなのです)
「ペイルルバードの道」、上でご紹介したブログさんが、これもUPしてらっしゃいますね。
トルコ石の板ようなターコイズブルーの空に
黄金色に煙る樹木。
美しいけれども、何か心にひっかかる、奇妙なほどの静けさ。
遠い夢の中で見た風景のようです。
何の変哲もない田舎道を描きながらも、ルドンの筆は何かしら「あちら側」を感じさせずにはおきません。
そこがまたいいんだな。
次回に続きます。
オルセー美術館展 神戸市立博物館
のろがあんまり印象派好きではないということも手伝ってか
「這ってでも行け!」というほどのものでは、正直ございませんでしたが
それでも神戸まで足を伸ばしてよかったと思います。
意外と幅広い作品を見ることができましたし、本展で大きくフィーチャーされている
マネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」は、さすがにウムを言わせぬ名品でございました。
セクションは5つに分かれております。
第1章 親密な時間 は、画家が家族や近しい人々を描いた作品で構成されております。
妻に抱かれる赤ん坊(長女)を、包み込むような深い群青色で描いたドニも良い。
モノクロームに近い静謐な画面に、年老いた母の横顔を収めたホイッスラーも素晴らしい。
しかしのろが最も心魅かれたのは
8歳になるひとり息子を描いたルドンの小品、「セーラー襟のアリ・ルドン」でございました。
繊細そうな少年の横顔は
縦長の画面の中にかなり右寄りに描かれ、
こめかみのあたりで切れてしまっております。
それに対して大きく空いた左側の空間には、特に何か描かれているわけでもなく
ルドン独特の色彩が神秘的にきらめきながら空をただよっております。
肖像画としては妙な構図です。
枠の中にきっちり収める構図をルドンがあえてとらなかったのは、
ものごころつく年頃のひとり息子を、四角な空間に閉じ込めてしまうことを嫌ったからではないかと想像いたします。
左側に大きく空いた空間は、画家であり父であるルドンにはしかと見ることができない
少年自身のもの思いを含んでいるように、のろには思えるのです。
(ポストカードが(案の定)なかったので、当のろやでは画像をupできませんが
こちらのブログさん ↓ が載せておいでです。ぜひご覧くださいませ。)
Windflowers オルセー美術館展
第2章 特別な場所
導線がもうひとつ良くない神戸市立博物館。
第2会場へは階段をちっとばかり長いこと上って行かねばなりません。
そして、とんとんとんとん上って行って最初に目に入る所に、いつもなかなかの目玉品を展示してあるのです。
「ナポレオンとヴェルサイユ」展 ↓ では、「アルコル橋のボナパルト将軍」が掲げられておりました。
のろや 2006年1月
今回は、陰影に無限の色彩を込めたかのようなモネの「ルーアン大聖堂」が迎えてくれます。
もっとも、のろはそのお向かいにあるマネの「ブーローニュ港の月光」の方が好みでございましたが。
こちら ↓ で見られます。ずーっと下までスクロールしてくださいまし。
ROSSさんの大阪ハクナマタタ オルセー美
術館展で展示された作品の作者1
月明かりに照らされた港で
畳まれた船の帆が黒々と夜空に突き刺さる下、
女たちの一団が船の帰りを待っています。
女たちの頭巾は月光をとらえて強く輝き
大きな風景の中で息づく、小さな、しかし力強い生命を代表しているようです。
軽快にして的確な筆致、みごとな白使い。
いよっ、さすがマネ御大! と声をかけたい所でございます。
御大ったって当時まだ36歳ですが。
などと申しておきながらも
当セクションで一番印象深かったのもやっぱりルドンの小品でございまして(はい、好きなのです)
「ペイルルバードの道」、上でご紹介したブログさんが、これもUPしてらっしゃいますね。
トルコ石の板ようなターコイズブルーの空に
黄金色に煙る樹木。
美しいけれども、何か心にひっかかる、奇妙なほどの静けさ。
遠い夢の中で見た風景のようです。
何の変哲もない田舎道を描きながらも、ルドンの筆は何かしら「あちら側」を感じさせずにはおきません。
そこがまたいいんだな。
次回に続きます。