集合住宅の裏の道が、水戸街道から堀切へのクルマの抜け道になっています。
細い道ですが、近くの信号が変わった時など、何台も続くことがあります。
「ここへ来た頃は、クルマなんか殆ど通らなかったんだけどね~」と行商の魚屋さん。
来始めてからどのくらい経つ?
「もう25年くらい・・・・もっとも、その頃は砂利道だったけど」
えっ、砂利道? そうだった? 覚えてないなあ。
「そうですよ、そこの曳舟川は、まだ川が流れていたし・・・・」
うん、それは覚えている。桜並木で、けっこう風情があった。でも、ここが砂利道ね~。
ほぼ30年前のことですが、記憶の中の道は今のような舗装された道路です。
年が経つと、こんなふうに古い記憶が新しい記憶に置き換えられて、自分では気づかない。
あるいは記憶が空白になり、道の向かいの30世帯ほどの集合住宅、以前は町工場だったか?
夕方の5時過ぎ。あたりはすでに暗く、立っていると寒さが身にしみます。
風は秋声・・・・「秋声一払、青者化 紅」なんて漢詩が思い浮かび、これはいつ頃の記憶か。
齢70、その半分近くを今のところで過ごしたことになり、もうそんなに経つのか・・・・。
魚屋さん、25年経ったとは思えないほど、見た目は変わっていません。
最初から頭がハゲていたせいか・・・・なぜか、そういう記憶は確かで、ハゲは歳とらない。
そんなことを思いながら、曳舟川の通りを渡って、自販機のコーヒーを買いに。
30年前は、そこにせっせとタバコを買いに行っていました。
青い缶入りの両切りのピース、それがフィルター付きになり、ライトになり・・・・。
タバコ屋のおじさんはなぜか30年前からおじさん、その頃から胡麻塩頭だった記憶が。
向かい側にはスーパー。ここも30年前には・・・・何があったのでしょう?
そのスーパーも店変わりしていまは2店目です。近くの八百屋さんもとっくに店仕舞い。
店も人も街も記憶も変わって、変わらないのはただ季節の移り変わり・・・・。