東近江市に伝わる郷土玩具「小幡人形」を受け継ぐ細居家の10代目として活動する細居禎浩さんが、聖徳太子薨去(こうきょ)1400年の節目を記念し、太子をモデルにした小幡人形を制作した。
2月14日、東近江市に寄贈した細居さんは「手に取った皆さんにほほ笑んでもらえたら」と思いを話した。
↑写真:滋賀報知新聞より
「小幡人形」は、約300年前の江戸時代から五個荘小幡で受け継がれてきた土人形の郷土玩具。
当時飛脚だった初代の細居安兵衛が京都の伏見人形に着目し、その製法を修得して小幡人形を考案。五個荘小幡の自宅が中山道に面していたことから、お土産や玩具として行き来する多くの人に親しまれてきた。
現在は東近江市指定無形民俗文化財・選定技術保持者の9代目、細居源悟さんが受け継ぎ、10代目となる禎浩さんは造園業を営む傍らその技術伝承に励んでいる。
このほど聖徳太子の薨去1400年を迎え、細居禎浩さんと同級生で、親交を深める観音正寺の岡村遍導住職から「この記念を盛り上げるために何か一緒にできないか」と提案があった。観音正寺に伝わる伝説をもとにした人魚の小幡人形が作られた縁もあったことから、賛同した禎浩さんが約1年かけて制作した。
「他にはない聖徳太子像を小幡人形で」と、全体的に丸みがあり、赤や白など独自の色彩美豊かな色をあしらった小幡人形の特徴を生かした。大きさは10cmほどで、小幡人形では珍しいとされる騎乗する様子を表現した。
この日、細居禎浩さんは岡村住職とともに小椋正清東近江市長のもとを訪れ、制作過程や今年いっぱいまで続く同記念事業について歓談。禎浩さんは「笑顔で喜んでもらえるようにと、制作する全ての人形に思いを込めている。多くの人が手にとって親しんでもらえれば」と話す。
<滋賀報知新聞より>