両脚の付け根にある股関節の痛みに悩む人は多い。その原因として目立つのが「変形性股関節症」だ。症状が進行すると、立つ・座る・歩くといった日常動作に支障を来すようになる。早めに対策を講じたい。
骨盤と大腿骨をつなぐ股関節は上半身の重みを支え、脚を様々な方向に動かすのに欠かせない。
神奈川リハビリテーション病院(神奈川県厚木市)の杉山肇病院長は「股関節には片脚で立つと体重の3倍、速足で歩くと10倍もの負荷がかかる」と話す。
股関節は寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるおわん状のへこんだ部分が球状の大腿骨頭を包み込む構造をしている。寛骨臼と大腿骨頭の表面は弾力のある関節軟骨で覆われ、骨同士が直接ぶつかるのをクッションのように防いでいる。
長年の負荷で軟骨がすり減る
この関節軟骨が長年の負荷で徐々にすり減り、炎症や痛みを起こすのが進行性の変形性股関節症だ。初期は歩き始めるときに痛む程度だが、放置するとやがて痛みが治まらなくなる。
杉山病院長は「かなり悪化すると関節軟骨がほとんど消失し、土台の骨も変形する。安静時も痛み、症状がある方の脚が短くなることもある」と指摘する。
骨盤と大腿骨をつなぐ股関節は上半身の重みを支え、脚を様々な方向に動かすのに欠かせない。
神奈川リハビリテーション病院(神奈川県厚木市)の杉山肇病院長は「股関節には片脚で立つと体重の3倍、速足で歩くと10倍もの負荷がかかる」と話す。
股関節は寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるおわん状のへこんだ部分が球状の大腿骨頭を包み込む構造をしている。寛骨臼と大腿骨頭の表面は弾力のある関節軟骨で覆われ、骨同士が直接ぶつかるのをクッションのように防いでいる。
長年の負荷で軟骨がすり減る
この関節軟骨が長年の負荷で徐々にすり減り、炎症や痛みを起こすのが進行性の変形性股関節症だ。初期は歩き始めるときに痛む程度だが、放置するとやがて痛みが治まらなくなる。
杉山病院長は「かなり悪化すると関節軟骨がほとんど消失し、土台の骨も変形する。安静時も痛み、症状がある方の脚が短くなることもある」と指摘する。
日本人では女性に多く見られ、40~50代で発症する例が多い。
北里大学大学院医療系研究科長の高平尚伸教授(整形外科学)は「もともと股関節の形に異常があると、関節軟骨がすり減りやすい。日本では『寛骨臼形成不全』が原因となっているケースが目立つ」と語る。
寛骨臼形成不全とは寛骨臼が小さく、大腿骨頭を十分に包み込めない状態をいう。体重を支える面積が狭くなり、負荷が一部に集中。変形性股関節症を発症しやすくなる。股関節の形が正常でも、負荷をかけ過ぎれば発症する。
高平教授は「過度の肥満、激しいスポーツ、重量物を扱う仕事などでリスクが高まる。若いときは問題なくても、加齢とともに症状が出かねないので要注意」と警告する。
股関節に異変を感じたら、できるだけ早く整形外科を受診したい。変形性股関節症と診断されれば、進行させないためにも股関節の負荷を減らす生活を心がけよう。
生活スタイル変えて負担軽減
杉山病院長は「床にしゃがむ・立ち上がるといった動作は股関節への負荷が大きい。生活スタイルは和式より洋式が望ましい」と話す。階段を上り下りする際は手すりを使う。早歩きをしない。肥満の人は適正体重に減量する。これらも負荷軽減につながる。
生活改善とともに取り組みたいのが「運動療法」だ。
股関節の安定性を保つには周辺の筋肉を強化する必要がある。運動を通じ、股関節の可動域を広げる効果も期待できるという。
例えば両脚で立って「骨盤回し」。高平教授は「股関節に痛みがあると、周辺の筋肉がこわばりがちになる。骨盤をゆっくりと大きく回す動的ストレッチで筋肉をほぐせる」と説明する。
横向きに寝て、上側の脚を上下に動かす「サイドキック」はお尻の横にある中殿筋を鍛えるトレーニング。「変形性股関節症の人は中殿筋が弱っている。股関節を支えるこの筋肉をしっかり鍛えてほしい」と高平教授。横になった姿勢ででき、股関節に体重の負荷がかからない。
水中ウオーキングも 改善しなければ手術検討
プールで「水中ウオーキング」をする手もある。股関節の痛みのために陸上では長時間歩けなくても、水中ならば浮力を利用して楽に歩ける。
杉山病院長は「無理のない範囲で、水中だからこそできる大股歩きなどを実践してみてほしい」と提案する。
それでも症状が改善しない場合は「骨切り術」「人工股関節置換術」といった手術を検討することになる。術後も股関節をいたわる生活と運動療法を続けるのが大切だ。
<日経新聞カラダつくりより>