米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880−1964年)が手掛けた、近江八幡市北之庄町のヴォーリズ記念病院旧本館「ツッカーハウス」の保存活用を進めようと、市民グループが耐震工事費などの確保に向けてクラウドファンディング(CF)を始めた。
「ツッカーハウス」は、キリスト教の宣教を目的に来日したヴォーリズが、全世界で結核が流行していた1918年(大正7年)、民間結核療養所として建てた。「多くの命を救いたい」というヴォーリズの思いに共鳴して、多額の寄付をした米国の有力支援者メアリー・ツッカーの名前にちなむ。
木造2階(1部3階)、地下1階延べ840㎡。八幡山の麓で自然に囲まれ、冬でも温かいよう、建物全体を南北軸に対して20度、東に向けた。風通しと採光に適した窓の配置など、暮らす人に優しいヴォーリズ建築の特徴が随所に現れている。
20年ほど前までは記念病院の管理棟として現役だった。2005年には緩和ケア病棟の建設に伴い、取り壊す構想が浮上。保存を求める市民らが署名活動を展開し、存続した。
更に老朽化が進み、当時の保存に携わった人らを中心に、認定NPO法人「ヴォーリズ遺産を守る市民の会」が設立。寄付を募り、中央大屋根の瓦のふき替えや玄関屋根の修繕、外壁窓周りの塗装、館内や外構の修復を重ね、2014年に国登録有形文化財となった。
保存活用には、耐震工事と内装の改修が必要。費用の一部を調達するため、市民の会は9月20日から、クラウドファンディングを始めた。
総工事費は約5千万円を見込んでおり、施設を管理する公益財団法人近江兄弟社が3千万円を負担し、残る2千万円のうち目標額500万円をクラウドファンディングと市民の会事務局への直接の申し出による支援を求めている。
辻友子会長は「建物は未来に残すだけでなく、活用してこそ意義がある。カフェやコンサートができる空間に再生し、若者をはじめ、みんなが集う場所にしたい」との願いを込め、協力を呼び掛ける。
結核療養所の歴史やヴォーリズの業績を紹介する展示資料室の整備も検討している。
辻友子会長は「建物は未来に残すだけでなく、活用してこそ意義がある。カフェやコンサートができる空間に再生し、若者をはじめ、みんなが集う場所にしたい」との願いを込め、協力を呼び掛ける。
結核療養所の歴史やヴォーリズの業績を紹介する展示資料室の整備も検討している。
クラウドファンディングは10月20日まで。500万円を目標とする。
支援は3000円から10万円の6コース。10万円コースの返礼品には、近江八幡市内のヴォーリズ建築の案内に加え、近江八幡市内のウォーターハウス記念館の1日利用などを用意した。
支援は3000円から10万円の6コース。10万円コースの返礼品には、近江八幡市内のヴォーリズ建築の案内に加え、近江八幡市内のウォーターハウス記念館の1日利用などを用意した。
募金の申込みと問い合わせ: NPO法人 ヴォーリズ遺産を守る市民の会(ヴォーリズ学園内)
TEL 0748―32―3444
クラウドファンディングのサイト
「キャンプファイヤー ヴォーリズ建築を未来に遺す」
https://camp-fire.jp/projects/view/439545?list=projects_fresh
<中日新聞より>