”スローライフ滋賀” 

全国初の「交通税」導入の検討中(滋賀県)

 国初の「交通税」導入の検討が、滋賀県内で進む
利用者が減って経営が厳しい鉄道やバスなど、地域交通を支える財源を確保するのが目的で、県民税などへの上乗せを想定する。

 議論のきっかけの一つが、近江鉄道(彦根市)の経営難だ。
平日の昼間の八日市駅。東近江市の無職の男性がつぶやく。「車がないと生活しづらい。運転免許の返納なんて、体が動くうちは、できひん」
 八日市線の電車はおおむね30分に1本。自動改札はなく、交通系ICカードも使えない。近江八幡から八日市まで片道9.3km、460円。草津から京都まで22.2kmで420円のJRと比べて、割高感を拭えない。
 京都に行く用事で、約1カ月ぶりに利用した男性。「電車は必要やから税金でと言われたら、しゃあない。税金を余計に払ったとしても、車があるから毎回電車に乗ろうとは思えない気がする。難しいねえ」

↑写真:中日新聞より

 走る音から「ガチャコン」と呼ばれ、親しまれる近江鉄道
鉄道事業の赤字は1994年度から続く。利用者は1967年度の1126万人をピークに、2019年度には475万人に減っている。
 単独での維持が難しく、2024年度からは沿線自治体が駅やレールなどの施設・設備を保有し、運行は鉄道会社が担う「公有民営(上下分離)」方式になる。

 他の私鉄やバスも、人口減や新型コロナウイルス禍で厳しい
JRは昼間の新快速などを減便した。滋賀県土木交通部は「公共交通が不便で自家用車への依存度が高く、それが鉄道などの利用減につながる悪循環になっている」と受け止める。

 地域交通は、新たなあり方の模索に迫られている。
4月、滋賀県の諮問機関、税制審議会は「地域公共交通をこれまでの利用者負担の考え方で、全県的に維持することは相当困難」と結論づけ「県民税への課税などを検討すべきだ」と答申した。具体的な仕組みなどを今後検討する。
 県民全体で地域交通を支えるという考え方に、関西大の宇都宮浄人教授(交通経済学)は「今は乗っていない人でも、年を取ったら乗るかもしれない。商店街や学校が公共交通で支えられることで、地域に幅広い効果が期待できるはず」と話す。

 利用する側はどう受け止めているのか。人口が増加する草津市の駅前に住む30代の主婦は「車にそんなに乗らなくても便利だと思ったから、ここに引っ越して来た。交通税を導入したら、移住したいと思う人は減りそう」と話す。
 栗東市の20代の女性会社員も「物価が上がるばかり。また税金を払うのかと思うと…」と戸惑う。「家から駅まで遠く、バスも少なくて、すごく不便。税の導入の前に、もう少し乗りたくなるような交通システムを考えるべきでは?

 2021年度の滋賀県のアンケートでは、6割超の県民が滋賀県内の公共交通に不満を示した。
「京都や大阪の便利さと比べてしまっているのかもしれない」と近江八幡市の主婦松井ちか子さん。「税金を払うなら、本数を増やすとかICカードを使えるようにするとか、便利な交通機関にして欲しい」

<中日新聞より>
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