飲酒ひき逃げをした車の助手席に乗っていた人についても賠償責任がある,札幌高裁は運転手のみに賠償責任を認めた1審判決を破棄し,二人に対する賠償責任を認めました。
江別ひき逃げ 同乗者にも救護義務 札幌高裁、初の認定(北海道新聞) - goo ニュース
完全なる賠償責任ではありませんが,大きな一歩です
まず,この判決のニュースを聞いて,誤解されている方がいましたので,少しだけ整理します。
この裁判は,「民事裁判」,すなわち被害者の遺族が運転手と同乗者に対して損害賠償を請求するものです。
したがって,この裁判の勝ち負けは,あくまでも「同乗者が賠償金を払うかどうか」であり,この裁判の結果で別に同乗者が刑務所に行くなどの刑事責任を問われるものではありません。刑務所に行くかどうかは,「刑事裁判」という別の裁判になります。
さて,この判決は,同乗者に対する道義上の救助責任があることを認め,同乗者に対する慰謝料のみを認めたというものです。すなわち,「事故直接の責任はさすがに同乗者には問えないが,事故を起こした後には,同乗者にも少なくとも運転手がちゃんとやるべきことをやるように見守る義務がある」ということになります。
したがって,この判決は,厳密には,同乗者に対する「事故それ自体の責任」を認めたのではなく,「事故後のアフターケアーの悪さに対する責任」を認めたに過ぎません。それゆえ,同乗者には慰謝料のみしか認められなかったなど賠償金額に大きな違いが生じたものと思われます。
分かりやすく言えば,事故後に,運転手が何らかの措置を講じた場合や,運転手に対して「逃げるな,助けろ」と身を挺して指示をしたなどの事情が認められれば,さすがに同乗者には賠償責任はない,ということになります。
とはいえ,従来は「助手席は事故と無関係」というスタンスであった損害賠償理論と比べれば,同乗者にも一定の責任を認めたという点で,大きな意味を持つものといえるでしょう。
いずれにしても,確実にいえることは,「飲酒運転の車に同乗することもだめだ」ということです。
「飲んだら誰も乗るな」,これを徹底するとともに,「引いたら逃げるな」,これも人として当然徹底したいものです。
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完全なる賠償責任ではありませんが,大きな一歩です
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この裁判は,「民事裁判」,すなわち被害者の遺族が運転手と同乗者に対して損害賠償を請求するものです。
したがって,この裁判の勝ち負けは,あくまでも「同乗者が賠償金を払うかどうか」であり,この裁判の結果で別に同乗者が刑務所に行くなどの刑事責任を問われるものではありません。刑務所に行くかどうかは,「刑事裁判」という別の裁判になります。
さて,この判決は,同乗者に対する道義上の救助責任があることを認め,同乗者に対する慰謝料のみを認めたというものです。すなわち,「事故直接の責任はさすがに同乗者には問えないが,事故を起こした後には,同乗者にも少なくとも運転手がちゃんとやるべきことをやるように見守る義務がある」ということになります。
したがって,この判決は,厳密には,同乗者に対する「事故それ自体の責任」を認めたのではなく,「事故後のアフターケアーの悪さに対する責任」を認めたに過ぎません。それゆえ,同乗者には慰謝料のみしか認められなかったなど賠償金額に大きな違いが生じたものと思われます。
分かりやすく言えば,事故後に,運転手が何らかの措置を講じた場合や,運転手に対して「逃げるな,助けろ」と身を挺して指示をしたなどの事情が認められれば,さすがに同乗者には賠償責任はない,ということになります。
とはいえ,従来は「助手席は事故と無関係」というスタンスであった損害賠償理論と比べれば,同乗者にも一定の責任を認めたという点で,大きな意味を持つものといえるでしょう。
いずれにしても,確実にいえることは,「飲酒運転の車に同乗することもだめだ」ということです。
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