裁判員制度のPRのため,いろいろなことをやっているようです。
一方で,国民の約8割が裁判員の消極的だそうで,その理由はやはり「人を裁く自身がない」ということのようです。
裁判員制度PRで映画第2弾が完成 最高裁(産経新聞) - goo ニュース
ちょっと頭の体操をしましょう
先日,長野県上田市の中学校で,「3匹のコブタ」をモデルにして,狼を食べてしまった子豚が罪になるかどうかという議論をしたようです。これにより,裁判や法律の考え方が身近になったという報告があります。
そこで,ここでそれをみなさんにも考えてもらいたいと思います。
みなさんは,裁判員です。被告人は子豚です。
3匹のコブタの事例を裁判風にアレンジましたので,コブタが有罪か無罪か,有罪ならばどんな刑がよいか,コメント覧に意見をください。もちろん,この問題,当然のことながら答えなんてありませんし,また,最低限の法律は用意しますが,あまり法律論にとらわれる必要はありませんので,「自分としての良心と常識」だけで考えてもらえれば結構です。
なお,「動物だから不処罰」なんていう夢のないオチはなしですよ!
1 事例(起訴状)
被告人のコブタは,平成19年2月10日午後3時頃,おとぎの国山の中所在の同人所有建物内において,煙突から侵入したオオカミ(当年20歳)を,鍋のお湯で煮て殺す意図の元,煙突下に鍋に入ったゆでたお湯を用意し,もってお湯に落ちたオオカミがゆでられて死亡したものである。
罪名及び罰条 殺人罪(刑法199条)
2 冒頭陳述(検察官の主張)
被告人は,長男,二男の家がオオカミによって壊され,オオカミに食べられそうになったところ間一髪のところで被告人宅に逃げてきて,その恐怖を聞かされた。そんな中,オオカミが被告人宅を襲撃してきたが,煉瓦造りの家で,すぐに壊されなかったものの,残るは煙突から入ってくるということを察した。そこで,「このままではオオカミに3匹とも食べられてしまう。ならば,煙突から侵入してきたオオカミを殺してしまおう。」と決意し,煮たお湯でゆで殺すことを実行した。
また,本来雑食であることから,この際だから茹で上がったオオカミを食べてしまえと決意し,本件犯行に及んだものである。
3 被告人と弁護人の主張
オオカミをゆで殺したことは認める。
しかし,オオカミの侵入を許したら自分たちの命が危なかったこと,また,オオカミの行為自体が殺人未遂罪(199条,203条)と住居侵入罪(130条前段)という違法行為であったため,それから我が身を守るためには,殺す以外に方法がなかった。
よって,正当防衛(36条1項)が成立し,無罪である。
決して,最初から「オオカミを食べる目的」で茹でたのではない。
4 証拠
長男,二男のオオカミからの恐怖体験の証言
被告人が日頃から獣の肉も食べていたという近所のウサギの証言
5 参照法令
殺人罪(199条)・・人を殺したら死刑,無期,3年以上の懲役
正当防衛(36条1項)・・急迫不正の侵害があり,それにより自分か誰かの権利が侵害されるおそれがあった場合,やむを得ずした行為は処罰されない。
過剰防衛(36条2行)・・防衛行為が過剰だった場合は,処罰するが,刑を軽減または免除できる。
執行猶予(25条1項)・・3年以下の懲役の場合,最大5年の範囲で執行猶予が付けられる。
6 争点(考えるヒント)
コブタには最初からオオカミを殺そうという殺意があったのか,それとも本当にテンパっていてオオカミを殺さざるを得なかったのか。
7 その他のルール
(1) こまかい設定は,「3匹のコブタ」を基準にします。ただし,私もまじめに読んだことはないので,もしあいまいなものがあれば,コメントで質問してもらえれば,設定を作ります。
(2) 起訴状事実以外は審理対象としない前提とします。したがって,死体損壊罪などは考える必要はありません。
(3) 考える上で必要な法律は,5の範囲で十分です。それよりも,むしろ「自分の常識」をメインに考えてください。
(4) 結論は「有罪か,無罪か」と「有罪の場合の罪はどの程度か」の2つです。有罪無罪については,理由も教えてください。
とまあ,おおざっぱながらこんな感じでしょうか。
是非とも,「なんちゃって裁判員」を体験してみてください。これによって,裁判員制度の是非や問題点などがもっと分かりやすくなるかもしれませんよ。
(2月12日追記)
さっそくに多くの方々からご意見いただきましてありがとうございました。
まだまだご意見や反論などをお待ちしています。
なお,頂きましたご意見については,わざと「意地悪な質問」をする予定です。いうなれば,「裁判員での議論」のプチ体験,という趣旨で,決してコメントを頂いた方が嫌いとか自分の考えと違う人がけしからん,という意味ではありませんので,その点はご理解の程,よろしくお願いします。
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ
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一方で,国民の約8割が裁判員の消極的だそうで,その理由はやはり「人を裁く自身がない」ということのようです。
裁判員制度PRで映画第2弾が完成 最高裁(産経新聞) - goo ニュース
ちょっと頭の体操をしましょう
先日,長野県上田市の中学校で,「3匹のコブタ」をモデルにして,狼を食べてしまった子豚が罪になるかどうかという議論をしたようです。これにより,裁判や法律の考え方が身近になったという報告があります。
そこで,ここでそれをみなさんにも考えてもらいたいと思います。
みなさんは,裁判員です。被告人は子豚です。
3匹のコブタの事例を裁判風にアレンジましたので,コブタが有罪か無罪か,有罪ならばどんな刑がよいか,コメント覧に意見をください。もちろん,この問題,当然のことながら答えなんてありませんし,また,最低限の法律は用意しますが,あまり法律論にとらわれる必要はありませんので,「自分としての良心と常識」だけで考えてもらえれば結構です。
なお,「動物だから不処罰」なんていう夢のないオチはなしですよ!
1 事例(起訴状)
被告人のコブタは,平成19年2月10日午後3時頃,おとぎの国山の中所在の同人所有建物内において,煙突から侵入したオオカミ(当年20歳)を,鍋のお湯で煮て殺す意図の元,煙突下に鍋に入ったゆでたお湯を用意し,もってお湯に落ちたオオカミがゆでられて死亡したものである。
罪名及び罰条 殺人罪(刑法199条)
2 冒頭陳述(検察官の主張)
被告人は,長男,二男の家がオオカミによって壊され,オオカミに食べられそうになったところ間一髪のところで被告人宅に逃げてきて,その恐怖を聞かされた。そんな中,オオカミが被告人宅を襲撃してきたが,煉瓦造りの家で,すぐに壊されなかったものの,残るは煙突から入ってくるということを察した。そこで,「このままではオオカミに3匹とも食べられてしまう。ならば,煙突から侵入してきたオオカミを殺してしまおう。」と決意し,煮たお湯でゆで殺すことを実行した。
また,本来雑食であることから,この際だから茹で上がったオオカミを食べてしまえと決意し,本件犯行に及んだものである。
3 被告人と弁護人の主張
オオカミをゆで殺したことは認める。
しかし,オオカミの侵入を許したら自分たちの命が危なかったこと,また,オオカミの行為自体が殺人未遂罪(199条,203条)と住居侵入罪(130条前段)という違法行為であったため,それから我が身を守るためには,殺す以外に方法がなかった。
よって,正当防衛(36条1項)が成立し,無罪である。
決して,最初から「オオカミを食べる目的」で茹でたのではない。
4 証拠
長男,二男のオオカミからの恐怖体験の証言
被告人が日頃から獣の肉も食べていたという近所のウサギの証言
5 参照法令
殺人罪(199条)・・人を殺したら死刑,無期,3年以上の懲役
正当防衛(36条1項)・・急迫不正の侵害があり,それにより自分か誰かの権利が侵害されるおそれがあった場合,やむを得ずした行為は処罰されない。
過剰防衛(36条2行)・・防衛行為が過剰だった場合は,処罰するが,刑を軽減または免除できる。
執行猶予(25条1項)・・3年以下の懲役の場合,最大5年の範囲で執行猶予が付けられる。
6 争点(考えるヒント)
コブタには最初からオオカミを殺そうという殺意があったのか,それとも本当にテンパっていてオオカミを殺さざるを得なかったのか。
7 その他のルール
(1) こまかい設定は,「3匹のコブタ」を基準にします。ただし,私もまじめに読んだことはないので,もしあいまいなものがあれば,コメントで質問してもらえれば,設定を作ります。
(2) 起訴状事実以外は審理対象としない前提とします。したがって,死体損壊罪などは考える必要はありません。
(3) 考える上で必要な法律は,5の範囲で十分です。それよりも,むしろ「自分の常識」をメインに考えてください。
(4) 結論は「有罪か,無罪か」と「有罪の場合の罪はどの程度か」の2つです。有罪無罪については,理由も教えてください。
とまあ,おおざっぱながらこんな感じでしょうか。
是非とも,「なんちゃって裁判員」を体験してみてください。これによって,裁判員制度の是非や問題点などがもっと分かりやすくなるかもしれませんよ。
(2月12日追記)
さっそくに多くの方々からご意見いただきましてありがとうございました。
まだまだご意見や反論などをお待ちしています。
なお,頂きましたご意見については,わざと「意地悪な質問」をする予定です。いうなれば,「裁判員での議論」のプチ体験,という趣旨で,決してコメントを頂いた方が嫌いとか自分の考えと違う人がけしからん,という意味ではありませんので,その点はご理解の程,よろしくお願いします。
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