松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地域分権を考える・倉田市長に煽られる(池田市)

2018-07-31 | 1.研究活動
 池田市で、地域分権を考えた。

 池田市がやっているウオンバット塾の講演・研修会である。最初に、池田市の倉田薫市長さんの話、ついで私の「住民力と協働」の話、その後、市長と私と会場を交えての対談となった。

 池田市の地域分権は、市内11の地域に、600万から700万円の予算提案権を認める制度である。今日では、こうした制度は珍しくないが、全国に先駆けて、池田市が始めた制度である。倉田市長さんから直に、そのいきさつを聞くことができた。

 印象に残ったことを簡単にまとめると、①こうした制度は、ボトムアップではできないので、トップダウンであったこと(そのいきさつも話してくれた)。②また、この制度は、みんなにこうしたサービスをしてあげますよという制度ではなく、民主主義の原点である地域のことは自分たちで考えようという、その意味では大変な制度なので、政治的に安定的なとき(もう少し具体的に言えば、選挙で負ける心配があまりないとき)に、こうした制度が出てくるというのが、印象的だった。

 今後については、地域の協議会の代表を選挙で選ぶ制度まで考えているということで、これには私よりもずっと先に行く意見で、私も煽られることになった。ただ私は選挙方式は、あまり評価しておらず、つまり地域の正統性は、選挙によって選ばれたということではなく、熟議にこそあると考えている。これは地域というものが、近代民主主義の多数決よりも、漸進的な合意で成り立つ組織と考えるからである。

 倉田市長さんの話を聞きながら、育ち方、出自の違いも大きいと感じた。私は横浜市で育ってきたが、横浜市の場合、対峙すべきは国であった。例えば、公害問題に対して、横浜や川崎で、要綱をつくり、行政指導の限りを尽くして、事実上のルールを作り、それを国が法として追認していくというのが、横浜市の役割だと教わってきたからである。

 そのためには、組織は大きい方がいい。小さくしすぎると交渉力を弱めるからである。

 これは失敗したが、国が1990年代に、容器包装リサイクル法を作ろうとしていた時、国は自治体が回収し・製品化は事業者が行う方式(これが現在の方式)で行こうと考えていたようだったので、私は、当時ドイツで始まった製造者責任方式のほうが良いと考えて、横浜市で、この条例を作り、それで国の政策をリードしようと考えたことがあった。

 結局はできなかったが、今考えると、その時、国や業界は、脅威に感じていたのだと思う。特に、懇願されたのが、これを当時の市長選挙に絡めないでほしいという要望であった。私は迷ったが、政治がらみにすべきではないと考えて、切り離したが、これを市長選の目玉にしたら、その後の展開はわからなかったと思う。ここが、私の勝負弱さなのかもしれない。

 この調査のために、私はドイツへ調査に行ったが、その旅をめぐるエピソードは、とても面白いが、ここに書くにはやはり憚れるので、研修の機会に譲るとしよう。

 こうした大横浜市で育ったので、頭を地域分権に切り替えるまで、だいぶ時間がかかったが、回り道も、無駄ではないであろう。

 さて、今回、新大阪駅で、お昼を食べた。東洋軒が新大阪駅にもあり、懐かしくて、ハンバーグを食べた。京都に住んでいた時、京都の植物園に行った帰りに、入り口近くにある東洋軒で、二人で遅いお昼をよく食べた。



 新大阪は、もう、百回も二百回も、数えきれないくらい降りているが、ここでゆっくり食事をしたことがない。京都駅もそうであるが、一本でも早い新幹線に乗るために、いつも走っていた。大学を退職して、これまで週2日間あった授業がなくなったので、その分、余裕ができたためだろう。これが退職したということなのだろう。

 池田市では、今回も上浦善信さんにお世話になった。大阪のマッセ以来のお付き合いである。上浦さんは、その後請われてマッセに転職し、5年前、定年退職するときに、引く手あまただったが、結局、古巣の池田市に残ったようだ。人事行政の第一人者で、そのお人柄には、お会いすると、いつもほっとする。私の年までは頑張るといっておられたが、そういわずに、大いに奮闘してもらいたい。

 出版社の方が読んでいたら・・・。上浦さんに人事関連の本を書いてもらったら絶対いいと思う。
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