松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆愛知県新城市はなぜ次から次とヒットを飛ばせるのだろう(2)自治基本条例の使い方①(新城市)

2019-06-07 | 新城市がヒットを飛ばせる理由

 まずは自治基本条例の使い方である。


 大別すると、①自治基本条例を起点にこれから取り組むべき政策を見つける(若者政策など)、②自治基本条例の制定過程で学んだ市民協働文化を実際に仕事に活かす(ニューキャッスル事業など)、③新しい仕事のよりどころを自治基本条例に求める(市民まちづくり集会、公開政策討論会条例の検討など)である。


 まず①である。自治基本条例は、使える条例だと思う。


 自治基本条例には、ニセコまちづくり基本条例のような「民主的統制」型と、この新城市の自治基本条例のように「民主的統制+協働」型の条例がある。


 民主的統制型は、役所をチェック、監視すれば、自治は進む(市民はハッピーになる)という発想である。それに対して後者は、民主的統制も必要であるが、市民も存分に力を発揮してこそ、自治は進む(市民はハッピーになる)というものである。


 私は、長いこと役所にいて、実務をよく知っているから、役所をチェックし監視すれば、市民はハッピーになることはないことをよく知っている。むしろ、過ぎたる監視は、法に決まったことしかしないほうが無難という消極主義を生み、みすみす課題があるのに、出ていかない役所をつくっている。


 そこで、私は「励ます地方自治」を標榜している。


 新城市の自治基本条例では、今後の自治経営のあり方として、行政のほか、市民、地域団体、NPO、企業等がその持てる力を発揮して(存分に力を発揮して)、自治の諸問題に立ち向かっていくことを明確にしている。


 そう考えると、現在、その持てる力を発揮して(存分に力を発揮して)いないのは誰かということになる。


 そうすると、①次世代の担い手として期待されながらも、これまで地域とは疎遠であった若者、②男性優位社会の中で、出番が少なかった女性、③身近な自治を実践する仕組みでありながら、行政の下請け的機能にとどまっている地域、④同じ市民でありながら、まちづくりに縁が遠い企業や事業者が浮かび上がってくる。


 これを反転させて、①若者の出番をつくる若者政策や若者議会、②女性の出番をつくる女性議会、③身近な自治を実践する地域自治区の改革、充実、④企業や事業者の奮闘を期待する地域産業総合振興条例などが、新しい政策メニューとして出てくる。簡単な話である。


 自治基本条例は、理念条例といわれるが、条例は使ってなんぼである。新城市は、自治基本条例をうまく使っていると思う。

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