松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆熟議の市長選挙㉚後援会(あるいは後援会の人たち)の公共性(三浦半島)

2017-08-03 | 1.研究活動

 山本さんの役員会からの返事。「準備委員会で何をやるのかわからないので、決められない」。

  前回までの話では、山本さんの意見は、8月3日の後援会役員会で検討するとのことだった。白井さんのブログにも書いているように、ここで「早急に話を進めましょう」ということになって、山本さんも参加し、いよいよ動き出すと思っていたら、来た返事は、「準備委員会の検討内容が不明のため、どのような決定権を持つ者を出したらいいのかを検討できません」だった。

 ポイントは、「準備委員会で何をやるのかわからない」ということであるが、これまでのいきさつを知らなくても、なぜ、今、公開政策討論会をやるのか、その基本を少し考えれば、容易に理解できるのではないか。別の言い方をすれば、新城市の市長選挙で、今、何が問題なのかという問題意識があれば、公開政策討論会、そしてその準備委員会をつくる意味は、すぐにわかるはずである。

 後援会として選挙にかかわっているので、すぐにわかると思うが、近年、住民の政治離れは、著しい。新城市でも、この10年で投票率が10%も落ちている。別の投稿にもあったように、普通の住民が日常的に政治を語る場面もぐっと少なくなった。その原因は、いくつかあるが、民主主義の基本である選挙が、他人事になってしまって、選挙に当事者性を持てなくなったことも一因である。つまり、投票に行ったって、仕方がないという人が増えたということである。

 その理由の多くは、候補者にある。選挙の時だけ、いいことを言う。「幸せに暮らせるまちをつくります」などと、問いに対して問いに答えるような「公約」を述べたり、夢のような、どうやって実現するのだろうといった「公約」を臆面もなく並べて選挙に臨む。

 直接、問いただす機会があれば、「どうやって実現するんですか」と聞いてみたいが、名前の連呼で、さっと通り過ぎるばかりである。そして、選挙に受かれば、できない公約を掲げたので、公約と反対のことを平気でやる。これでは誰も政治家を信用しなくなる。

 住民側にも問題がある。握手したから、頼まれたからといって、投票するから、自分でその人を選んだという自覚がない。ちょっと何かがあると、「そんなはずじゃなかったと」、選んだ責任を忘れて、文句を言う立場に変わる。

 こんなことを何度も続けてきたから、人々は、どうせ投票に行ったって、何も変わらないと思うし、本来は自分事でであるはずの市政や公共的なことを誰かがやってくれると他人任せになり、評論家のような発言をする人ばかりになる。

 言うまでもなく、民主主義とは、「まちのことを我がことのように考え、行動すること」である。このままでは、私たちが依って立つ民主政治の土台が基礎から崩れてしまうということである。この土台が崩れたら、為政者に白紙委任するか、あるいは、自分たちで、複雑な問題を〇か×かで、決めなければいけなくなる。これでいいわけはない。

 この依って立つ土台が崩れたら、誰が市長になっても、目指した政治などできるわけはない。

 そうした危機感から、他人事になりがちな選挙を自分事にしよう、市政を当事者として考える機会をつくろうという試みのひとつが、今回の公開政策討論会である。何度も書いているが、「候補者のための選挙」から「有権者のための選挙」にしようという試みである。

 公開政策討論会は、荒唐無稽な「公約」を出せば、論争にさらされるから、そんな「公約」は出せなくなる。厳しい批判を受ければ、それに負けまいと、ブラッシュアップして、実現可能性のある「公約」に磨かれていく。住民も、自分で考え、選んだ責任を実感できる。そんな試みである。

 後援会の第一義は、候補者を当選させることなのだろうから、候補者の選挙をやりつつ、「有権者のための選挙」についても、思いをはせる時期になったということだと思う。後援会も、社会やまちという公共性を考える時代になったということではないか。

 この点、企業を考えればよくわかる。企業だって、儲けが第一義の目的ではあるが、もはやそれだけでは企業は生き残れない。企業も、社会貢献という社会性には配慮しないと生き残れない。

 まちの未来、住民自治の未来という広い観点から、後援会(あるいは後援会の人たち)も、何をすべきなのかを考えてほしいと思う。

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2017年08月03日 山本たくや後援会から連絡が届きました

 8月2日に役員会の検討結果がメールされました。これで、準備会開始かと思えば、下記のメールです。そんなに難しいことをお願いしていないのですが、なかなか慎重です。山本氏本人が覚悟すれば、何の問題もないと思うのですが、いつまでも後援会次第では、もし市長になったら、どうするのでしょうか?など心配になります。

 しかし、後援会抜きには判断できないということであれば、その役員会の結論を待つしかありません。こんなことを続けていたら、市長選への期待が失望(公開政策討論会は言っただけ?)に変わってしまいます。穂積氏には、返信内容をメールしました。足りない部分は穂積氏からも補足をお願いしました。

【8月2日返信(山本たくや後援会から白井へ)】
 To 白井様 ㏄穂積様
 お世話になります。

 準備会の件、お願いしました正式なご提案がないので、内容がわからず、本日の役員会では次のような意見がでるに留まりました。
・3名を出すについては、準備委員会の検討内容が不明のため、どのような決定権を持つ者を出したらいいのかを検討できませんでした。
・日程調整については、前述の理由で3名の選出ができないので検討できませんでした。
・本会が公選法違反とならないことの確認をお願いしていますが、その答えのないままに進めていいのかと危惧する意見がでました。

 本討論会の実現のために、以上の点を早急にご回答ください。なお、本件につきましては、正式なご提案があり次第、臨時役員会を開きご回答します。よろしくお願いします。

 山本たくや後援会
【8月3日返信(白井から山本たくや後援会)へ】

 山本たくや後援会 殿

 ご検討ありがとうございます。以下ご回答です。赤字が回答です。臨時役員会の結論がいつ出るのか返信をお願いします。

 To 白井様 ㏄穂積様
 お世話になります。

 準備会の件、お願いしました正式なご提案がないので、内容がわからず、本日の役員会では次のような意見がでるに留まりました。
・3名を出すについては、準備委員会の検討内容が不明のため、どのような決定権を持つ者を出したらいいのかを検討できませんでした。
→公開政策討論会のあり方を純粋に検討する会です。どの様な進め方が市民への情報提供としてふさわしいか、市民の市政参加を広げるためにはどうしたらいいのかなど、市民自治のあり方を踏まえて検討することになると思います。先に形が決まっているわけでなく、3人の予定候補者だけでは、各自の思いが交錯し、結論が出ないと思いますので、それぞれが市民目線で検討して頂き、進める主体となる第三者委員会(仮称)の構成を結論してもらうものです。その結論に3人の予定候補者が従うことになります。準備委員の資格を問うものではありません。

・日程調整については、前述の理由で3名の選出ができないので検討できませんでした。
・本会が公選法違反とならないことの確認をお願いしていますが、その答えのないままに進めていいのかと危惧する意見がでました。
→メールで返信してありますが、公選法違反とならないような進め方を前提に準備委員会で検討してもらうことになります、新城市選挙管理委員会の判断では、新城市政の政策討論会であれば、問題なしということです。つまり、私に支持をお願いしますなどの発言がなければ、大丈夫との判断でした。



 

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