松下啓一 自治・政策・まちづくり

【連絡先】seisakumatsu@gmail.com 又は seisaku_matsu@hotmail.com

★条例立案(市町村アカデミー)

2014-11-19 | 2.講演会・研修会

 市町村アカデミーの法令実務研修Bである。この研修には、ある程度の法務経験者が参加している。

 11日間の研修のうち、私の担当は、最後のほうで「条例立案」である。どのように条例をつくるのかという話しになる。この研修のメインは、一部改正を改め文でやる研修であるので、私の位置づけは、寄席で言えば、色物、私の本で言えば余談といった位置づけなのだろう。そのように考え、気楽な話を中心に、思いつくままの話となる。

 今回は、受講生の目が輝いたのが、地方自治法138条の4③の附属機関の話である。条例作りの体験のなかで、懇話会を作って障壁を乗り越えていく話をしたが、ここにうなづいたので、やや詳しく話をすることにした。

 地方自治法138条の4③には、附属機関は条例によらなければ設置してはいけないと書いてある(そう読める)。ではなぜ条例で設置しなければいけないのか。その答えは容易ではない。法律にそう書いてあるでは答えにならない。こんな話をしたら、うなづく人が何人もいたので、今回は、二元代表制にさかのぼって、地方自治の本質から説明した。二元代表制にさかのぼると、条例で何でもできるわけではなく、条例による統制は一定の限界があることがわかる。

 休憩時間に、この話の続きとなった。法律に条例設置と書いてあるのに、なぜ要綱で設置するのか、不思議に思っていたが、腑に落ちたということである。二元代表制を基本に考えると、附属機関条例が、よく整理できると思う。

 この研修では、いつも改め文方式を止めて、新旧対照表方式に変えた自治体があるか聞いている。今回は、周知のさいたま市、四日市市のほか、富里市、開成町もそうだという。手を上げてもらうと、いつも1割の人から手が挙がるが、ということは新旧対照表方式は、100団体から150団体くらいの自治体が行っているのだろう。数年前に『新旧対照表方式の意義と展望』という論文を自治体法務研究(ぎょうせい)に書いたが、そのときは、約50団体くらいだった。静かに広く、方向転換しているのだろう。

 では、なぜ新旧対照表に変えるのか。この点の説明は、時間がなく唐突で理解できなかったのかもしれない。それは、改め文方式が難しいからではない。要するに市民に理解できないようなやり方をやっていること問題だからである。多くの市民を自治の当事者にしなければならないときに、いつまでも市民を蚊帳の外においている場合ではないからである(この点に興味がある人は、拙著『協働が変える役所の仕事、自治の未来』(萌書房)を呼んでみてほしい。

 この点も、自治の理念は何かという基本から話をしないと、うまく理解できないところである。自治体法務の世界も、内閣法制局のくびきから逃れて、自治の基本から再構築しなければいけなくなったという話であるが、これは半日程度の研修ではとても説明できず、おそらく、うまく理解してもらえなかったのだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★政策形成合同研修2回目(茅... | トップ | ☆2025年時代の総合計画(本郷... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

2.講演会・研修会」カテゴリの最新記事