松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆政策起業家とは何か(5)政策起業の機会①委員会

2022-05-25 | 政策起業家
 政策起業は、自分では政策を実現せずに、政策決定者・執行者にその気になってもらわないといけない。ということは、その気になってもらう機会が必要になる。

 私の主な方法は、①本を書く、②アドバイザーを頼まれる、③委員会の委員になるの3つがある。①と②は、別に論じよう。ここでは委員会という機会を使うケースである。

 委員会は、附属機関の時と私的諮問機関の時がある。性質の違いであるが、政策起業では、法的性質はあまり関係ない。委員会でも、ルーチンの委員会、新たな政策づくりの委員会に大別できる。役職も、委員長の時と一委員の時とでは、やはり政策起業に与える影響力は違いがあるだろう。

 委員長としては、自治基本条例の制定が、大きな役割だった。ただ、うまくいったところは、限られている。委員長としては、次の自治体が面白い。

(1)相模原市南区の区民会議では、10年間委員長だった。ここでは若者参画政策を市民協働型で提案した。この顚末は、7月末に『若者をまちづくりに巻き込むための政策立案ハンドブック 多様な成功事例からよくわかる進め方のポイント』(第一法規)に詳しく書いた。それだけでなく、市民提案の政策提案のパターンをつくったように思う。言うだけの市民提案は、要求型なので、本来の政策提案とは言えない。実践しながら、行政を巻き込みながらの政策提案が本道である。暇になったら、この進め方をまとめてみよう。

(2)多摩市の子ども・若者委員会でつくった「子ども・若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」は、いい条例だと思う。多くが、子どもの権利にとどまっている。子ども・若者の権利まで広げ、チャレンジする権利(失敗できる権利)まで広げた。権利をお題目のように唱えるだけでは、子ども・若者の権利は守られない。自己肯定感、自己有用感の観点から、活躍まで広げた。10年後には、国も追いついてこれるだろう。

(3)白岡市は、行政評価委員会は、励ます行政評価である。これも全国で例がないだろう。とりわけ、白岡方式の宿題方式は、要求型ではない市民参加手法だと思う。これも、第一法規の本に少し書いた。本来ならば、新しい行政評価の仕組みとして、全国に提案したいが、とても余力がない。もっと広げて、提案する附属機関のあり方のような切り口で提案すると、面白いかもしれない。

(4)小田原の空き家対策委員会は、もう何年やっているのだろう。ただ、全国初や新規な提案は、できなかった。ともかく空き家対策計画をつくるので一杯だった。ただ、今年は空き家計画の改定時期で、空き家の利活用にテーマで移ってくるので、不動産屋さんや学識者、市民が集まった空き家対策NPOをつくり、商売と絡めながら、税金を使わず、公益活動として空き家対策を行うというアイディアを投げかけてみたいと思う。

(5)焼津市の自治基本推進委員会では、市民、行政、議会が揃ってまちの未来を考える「まちづくり市民集会」は、全国に誇るべきものだろう。条例設置では、新城市と焼津市にしかない制度である。これは、ぜひ全国に紹介したいと思う。推進委員会では、今年度は、新しいつながり方が模索できれば良いと思う。とりわけ地域住民組織のデジタル化と絡めて、新たな仕組みづくりが提案できるかもしれない。

 委員としては、厚木市の空き家対策委員会、横須賀市の景観審議会、戸田市の自治基本条例推進委員会があるが、戸田市では、まだまだ頑張らないといけないだろう。

 頼まれた委員会は、ずいぶんと少なくなった。今後は、減る一方だろう。頼まれている間は、新しい政策、どこでもできなかった政策に挑戦しようと思う。
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