UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第二十五話part1

2024-11-28 18:03:50 | 日記
「ちょっと! ちょっと放してよ!!」
 
 そんな風に野々野小頭は叫んでる。どういう状況なのかというと、走ってた。うん、もっと具体的にいうと、鬼が小頭をお姫様抱っこして高速で田舎道を走ってるのだ。
 
 どうしてそうなったのか……それは少し前にさかのぼる。つまりはあの――ベギャ!! ――である。あの音は自転車が亡くなった音である。いや、なくなったというのは大げさかもしれない。なにせペダル部分の部品を交換出来たら、直すことは出来るかもしれないからだ。
 けど、あいにくと家に変わりのペダルがある家なんて早々ないだろう。つまりは今はなおせなかった。そもそもがペダルの踏むところ……というか壊れたのはペダルの鉄の部分というか? 軸の部分というか、そんなのだった。
 だからきっと自転車屋にもっていかないとどうにもできないだろう。流石にそんな事になったら小頭は思わず声を荒げてた。
 
「ああー! ちょっとどうするのよ! 何やってんのあんた!!」
 
 とかね。でも思わず言ってしまったその言葉だが、言ってしまって小頭は「しまった」と思ったのも事実。思わずせめてしまったが、向こうが反撃に出てきたらどうしようもないのが実情だ。
 だって明らかに兄である足軽よりも屈強だ。足軽はお世辞にも屈強とは言えない。でも……目の前の鬼はどうみても屈強と言える体をしてる。なにせ筋肉がパンパンなのだ。
 だからまずいと思った。足軽なら……自身の本当の兄なら流石に妹に手を挙げる……なんてしないと思ってるが、小頭の前にいるのは今は鬼なんだ。
 なぜか母親は鬼を足軽と思ってるが、こいつは鬼だ。鬼なんて凶暴で凶悪……そんなイメージが小頭にはある。だからしまったと思った。
 でも……
 
(あれ?)
 
 なんか鬼は結構落ち込んでる? 背を丸めて地面を見つめるその姿はまるで後悔してるような? そんな風に小頭にはみえた。
 
「えっと……あの……」
 
 そんな事を口にするとその瞬間だった。バッと鬼が顔を上げる。その顔から感情を読み取ることは出来ない。だってただただ、鬼は真顔だったからだ。
 鬼といえば喜怒哀楽の『怒』が強調されてるような……そんな印象があった。常に怒ってるというか? 顔が怖いものだと……そんな風なイメージがあった。
 でも目の前の鬼は怒ってるような表情はしない。いや、もっといえば表情がない。まあだからこそ、小頭は余計に不気味だと感じてる。
 
 そしてそのまま鬼は素早く動いた。それが……
 
「きゃあああああああああああああああああ!?」
 
 驚いた小頭の声が響く。そう、それこそがお姫様抱っこだったのだ。いくら小頭が暴れてもそんなのは鬼にはなんの意味もなかった。だって鬼は筋骨隆々の体なのだ。
 それに対して小頭は女子中学生……力で抜け出せる訳はない。そしてそのまま鬼は走り出す。自転車が壊れたから、走っていく。きっとそんな単純な考え。
 普通は……いや人間だと人一人を抱えて走るなんて一キロも無理だろう。けど、鬼は違うようだ。鬼は風景が車よりも早く過ぎるスピードで走り続けてる。
 

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 121

2024-11-28 00:12:09 | 日記
「私は……あれは周囲の目玉も使ってると思います。信号……会話をしてるのはきっと私達の情報を共有してるからではないでしょうか?」
 
 コクリとアイ様が頷いてくれます。あれは腕だけなのにやたらと動きが正確です。その答えはきっとこの周囲の目玉たちなのです。彼らは目玉……そう目玉です。
 
 つまりは視界です。その視界が数えきれないほどここにはある。それをもしも全て使えるとしたら? それだけの目玉があったらたしかになんでも見えてしまうでしょう。
 腕だけなのに、やたらと正確にこっちの攻撃を受けたり避けたりできるのも、やっぱりだけどそれは「見えてる」からだったのです。
 
「私が目玉たちを相手にします! いえさせてください!」
「でもあれだけの数を一人じゃあ……」
「違いますよアイ様」
 
 私の言葉にアイ様はきょとんとします。できる女のほうけた顔はなんとも愛嬌があるものです。いつもは美人だな~という気持ちが前に出ますからね。けど今のアイ様はかわいらしい。
 私はそんな彼女に自信満々にいいます。
 
「私は一人じゃないです」
 
 そんな私の言葉にポニちゃんが答えて私の体にまとってる状態でわずかに手の形をとってグッと親指をたててくれます。きっと「その通り!」と言ってます。
 そう私は一人じゃないです。ポニちゃんが一緒です。
 
「それでもあの数ですよ?」
「うっ……それは……」
 
 そういわれるのも仕方ないでしょう。だって天井から降りてきて、更には今まさに生産されてますからね。目玉の数はこれまでの戦いで一番といってもいいでしょう。数ではきっと一番最初に外で戦ったときの方が多かったかもしれません。けど外は広かったです。
 密集度が違うから、今の方が多く感じます。確かにこれを私一り――ではなくポニちゃんと一緒に相手に……改めて考えるとできるかどうかで言えば無理でしょう。
 でも……そんなのをいえるでしょうか? 言えません!! だって私は腕との戦いでは役に立てません。けど目玉とはこれまで何回も戦って馴れてます。どっちを選ぶとなるなら……こっちしかないでしょう。
 それも碌な理由じゃない……というのはわかってます。ある意味、これも逃げでしょう。でも……それでもわずかでも自分が役に立つことができる事をしようとしてるんです。
 だから……
 
「任せてください!」
 
 私はアイ様にそう告げました。