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ある。超能力に目覚めた件 第二章 第三十二話part5

2025-01-22 23:55:11 | 日記
 さっきまで黒いコケシみたいな見た目だっだのに、育代に触れたらその姿が変化した。その姿は大きな蛇。その気になれば育代を頭からパクっと飲み込めそうな……そんな蛇。
 だからこそ、「危ない」って小頭は思った。でも、どうやらあの蛇には育代を害する気はないようだ。なにせその口から出る細長い舌でチロチロと育代の頬をなめてる。襲うというよりも、なんか懐いてるように小頭には見えた。
 
「貴方は……ううん、貴方達は……」
 
 どうしたんだろうと小頭は思った。育代の目には涙がたまって
一筋、それが落ちる。実際、どこかの映画のワンシーンのような光景ではある。まるで美女と野獣。アジア版ならこうなるのかな? と思った。
 
「おばあちゃん……」
「ごめんなさい。大丈夫よ」
 
 そういって涙をぬぐう育代。すると彼女は意を決して手首にかみついた。しかも結構がぶっと……だ。
 
「おばあちゃん!?」
 
 ボタボタと彼女の腕から鮮血があふれ出る。ああいうのって確か指を噛んで血を出すとかでは? マンガとかではそうだ。でも育代がやった事は、そんなレベルじゃない。リストカットよりも酷そうだ。てかそんな躊躇いもなく自分の体を傷つけることができるのか? と小頭は思ってしまう。
 普通の神経ならそれは出来ない。普通に育ってきたら指を噛んで血を出すということだって勇気がいるというか、できないだろう。あれはフィクションだからなんか簡単にやってるのであって、本当にやろうとしたら、かなり怖いだろう。
 指の先でそれだ。なのにおばあちゃんは手首の血管をきずつける勢いでかみきった。それを躊躇いもなくやった育代の事……おばあちゃんの事、呪術師というのはあながち間違ってないのかもしれないと思った。
 
「おんやまた……くら……はくし……」
 
 何やら育代は呪文を唱えてる。ぼそぼそと唱えてるから、正確な詠唱が小頭には聞こえない。でもとても詠唱っぽいと思った。マンガやアニメでの王道的な西洋的な詠唱じゃなく、とても日本的な……まさに詠唱というか呪文という感じ。
 そこもやっぱり呪術師だからなんだろう。これで巫女服みたいなのを着てたら、なにかの儀式だと思えるだろう。すると……だ。
 
 何やら変化した蛇がおばあちゃんの差し出した腕……いや、正確にはその傷にすいこまれていってるのだ。
 
(え? 大丈夫それ?)
 
 思わずそんな風におもう小頭である。だってどうみても体によさそうには見えないのだ。