「一体何を?」
勇者がそんな事をきいてくる。けど私はそれよりも今の勇者の状態に驚いてた。
(あらあら、これは……いい刺激になったみたいだね)
私達は言っちゃうとかなり強い。そこらの世界では実際、そんなに手を患う……ということ自体があんまりなさそうだなんだよね。ミレナパウスさんの世界でだってそうだ。そうそうピンチを感じることなんてなかっただろう。
それは安心ではある。なにせいつもハラハラドキドキしてたのなら、流石に心臓が持たないし? ある程度余裕ができるのはいいことただろう。一応私達強いって自覚があるから、そこら辺の安心感てっのある。
でもそれだと成長って奴がね。一応私は行く先々の環境とかに文化、そういうのに刺激を貰って色々とやってはいた。でもやっぱり戦いの中で……危機の中でしか得られないものもあると思う。
(私は嫌だけど……)
なにせ私は戦闘とかそんなのは好きじゃない。できるなら限りなくしたくないよね。G-01が圧倒できるのなら、それに越したことはない。でも勇者とか周りの子達には成長してほしいと思ってる。装備やら肉体は私が担当する部分ではある。
だからそこは残ってるエネルギーと相談しつつ、適宜彼らをちゃんと強化してる。それで基礎スペックは上がってるわけだけど、こうやって自身で強くなってくれてるのを見ると、感慨深い。
(もしかしてこれも母性?)
とか思った。
「アイの奴はうるさいですから。あれで少しは静かになるでしょう。すみませんね。あれを壊されるのは少し困るんですよ」
そういって私はG-01をギギギ――とまだなんとか動いてる腕の所へ……なんとか自己修復を試みてるようだけど、アイによっで大元から切り離されてしまってるから、なんとか稼働が停止してない状態で止まってるみたいだ。
「私が治してあげましょう」
瀕死の腕。いや、本体は後ろの輪っかだ。実際腕自体はどうでもいい。ならば腕はいらないか。私は輪っかだけを直してあげることにした。
「直すのですか?」
「必要な事なんです。この船を停止させるわけにはいきませんから」
勇者たちはまだ知らないだろうが。この船はギリギリなのだ。そしてこの船には独自の生態系を築いてる世界がある。それを維持するためにも、船の機能をこれ以上割くことはできない。
なので私のエネルギーを使ってでも、この腕……いや、輪っかを再生させるのだ。
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