還り見れば酔生夢死か?

80歳代の聾人でネットの話題を書いています。足が悪いので家で得ることが出来るネット情報と私自身の唯我独尊の偏向文です。

40才前後に起きた私の心の病気?④

2008-04-23 20:17:40 | 健康

そのような悩みに苦しんでいたある日、突然、本社の専務に呼ばれ過日、九州で開催された全店建築技術部課長会議で君が研究発表をした時に時々深いため息をついていたが?身体に何か異常はないのか?と尋ねられた。

「別にありません」 事実は話せなかった。

然し、専務は既に手配済みだったのか?

「君を本社技術本部の技術担当とする!いいな!」この専務には、それから随分と面倒を見ていただいた。

私の仕事は建築技術者(現場所長、支店建築技術担当者)の技術向上の講座を設定実施することであった。

お陰で各大学の著名な先生方との打ち合わせが連日続いた。

講座の講師には当時 日本でも第一級に属する専門の大学教授の方々にお願いしたものだ。

講座の受講者は講座内容により社内から約15~20名が全国から選出されて講座は始まった。

なかでも日本庭園講座など京都にあった会社の研修所に10日間も泊まり込みの連日の講義だった。

最初の3日は一日中、日本庭園の集中講義であった。

講義を担当して戴いたのは当時の日本庭園の権威者のS教授だった。

その後は午前中は講義、午後は京都の著名な日本庭園の見学である。

夜は、その日の講義内容を含んだ、その日に見た日本庭園の感想文のレポートを纏めて翌日の朝 講義が始まる前に提出するのだ。

このレポートを纏めるのには連日連夜が徹夜に近いものだった。

何しろ日本庭園など全くと言ってよいほど私は知識がなかった。

講義の内容は全て日本人として心に沁みこむような話だった。

庭園の形式から始まり、その歴史的な背景等は建築屋として設計担当でなくとも非常に興味溢るる内容だった。

茶室建築にも話は及び建築を専攻したものとして何も知らぬ私は恥ずかしいばかりだった。

庭石の一つにしても深い意味があり、およそ大学では学ばなかったことばかりだったのだ。

日頃は現場で職人相手に工事の段取りに忙しいだけの受講生の彼らにとっては、この授業は余りにも厳しかったようだ。

5~6日目アタリから生徒の様子がおかしくなり脱落者も出た。

現場が忙しいという申し出だ。

最初から分かっていたことだが?大切な社員が身体を壊しては、なんにもならない。それでは元も子もない。

あと2~3日残して現場に帰る者も出る。

講義の最終回は日本庭園の設計(完全なものでなくスケッチ的なもの)だった。

それでも平面図と鳥瞰図が必要だった。

私は茶室をモチーフとした庭園のスケッチを書いた。

頭には大徳寺の大仙院の小さな枯山水があった。

大仙院

これは3日くらい前から通達があり構想を練っておくようにと庭園見学のたびに念をおされていた。

最終の日本庭園の設計には毎晩徹夜に近い日が続いた。

図面を書き終わり提出が終わった時には“ほッ”としたものだ。

それでも最後まで頑張って京都の教授のお宅に招かれ茶の接待を受けた。

茶道には全く縁のない私にとっては、その出来事は、まるで別世界のようだった。

このお茶の接待には京都の茶道の先生が特別に来られてのお点前だった。

茶道の先生は我々の様子を見られて、「どうぞ気楽にして下さい」と言われたが・・・。

正座している、そのものが既に緊張を強いられる。

教授からも「お茶が少し苦いかも?先にお菓子を摘まんでみては?」と我々の気持ちをほぐして頂いたものだ。

私は作法も何も知らないで互いに、お互いの様子を見ながらお茶を戴いた。

落語の「本膳」の一席のようだったのでは?

この時の経験が後に“裏千家”を習うきっかけとなった。

その講座の最中にも時々私が呼吸困難になることは、以前と余りかわりがなかった。

然し誰にも語ることなくじっと講座が終わるまで耐えたものだ。

以下次回とします。



今回は心の病気とは余り関係はないようになりましたが、これがのちに結構関係あるのですね


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
講座設定 (沼じじ)
2008-04-23 21:21:05
厳しい現場で、連日連夜の努力凄さが偲ばれます。
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沼間じじさんへ (osamu)
2008-04-24 04:30:36
この講座を受け持ったために全ての講座を受講することが出来ました。思わぬ収穫でした。そうでなければせいぜい1~2科目しか受講できなかったでしょう?
特に、この「日本庭園」の講座は印象に残っています。京都でも一般の方の入れぬ庭を沢山拝見できました。それも教授の解説を受けながらです。幸運としかいいようがありません。
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