長内敏之のブログ

その日の出来事など、いろいろ

「日本の伝統」の正体 藤井青銅著

2018-01-27 14:04:37 | 本と雑誌

 夫婦同姓はいつからか、古代から日本では、姓を名乗るのは一部の特権階級だけだった。江戸時代は苗字帯刀とは武士の証であった。庶民はというと、地名や屋号、あだ名のようなもの、時に苗字のようなものを名乗っても公的なものではなく私的なものだった。

1870(明治3)年、「平民苗字許可令」が出された。「名乗ってもいい」というものだから、名乗らなくても勝手だった。

1871(明治4)年、戸籍法が出された。続いて

1872(明治5)年に「壬申戸籍」が作られた。さらに苗字があってもなくてもいいとなるとわかりにくいということで。

1875(明治8)年、「平民苗字必称義務令」がだされた。しかし、結婚した女性の苗字はどうするのかと太政官に問い合わせがきて、

1876(明治9)年、太政官指令で「他家に嫁いだ婦女は、婚前の氏」とされた。つまり最初は「夫婦別姓」であったということだ。

1889(明治22)年、大日本帝国憲法が公布された。

1898(明治31)年、「旧民法」が成立してここで初めて「夫婦同姓」が決められた。「家父長制度」の民法では、家ごとに長を決めて、家ごとで国民を管理した。つまり婦人は「家長の管理下」となった。

1946(昭和21)年、日本国憲法が公布された。

1947(昭和22)年、「改正民法」が成立して家制度はなくなったが夫婦同姓は残った。ただし、夫の姓、妻の姓どちらでもいいということになった。

1970(昭和45)年「選択的夫婦別姓」の陳情が出された。

それ以来議論が続いている。ちなみに海外では、日本で旧民法が制定されたころ夫婦同姓の国があったが、その後順次改正されて、選択制や別姓となっており、「夫婦同姓」を義務付けている国は日本だけという。

 そもそも悪名高く現在は封印されている「壬申戸籍」の延長上であったのはわかる気がする。簡潔でわかりやすい、とてもいい本です。