大島恵真(おおしま・えま)の日記

児童文学作家・大島恵真の著作、近況を紹介します。
絵本作家・大島理惠の「いろえんぴつの鳥絵日記」もこちらです。

黒猫ノアール・ノア母の思い・2013年8月

2013年08月16日 | 黒猫ノアのはなし
こちらで4月にご紹介した黒猫のノアールは、おかげさまで元気にやっております。
この絵は家に来たばかりのノアを短時間クロッキーしたもの。
笑いながら?寝ています。絵でおわかりのように、太ももの発達がよくてモモハムのようなので、家の中では「黒ハム」と呼ばれることも…。

今回は、ノアールの母、ノア母についてお話します。
ノア母も黒猫ですが、黄色い目のノアとちがって緑色の目をしています。そしてとても小さな猫です。
ノア母がはじめてこの近所に姿をあらわしたのは、2011年の夏。
5,6匹の子猫をひきつれて、おとなりのお庭に住みつきました。
これより以前、5月頃に、ちょっと離れた農家の納屋で、ノア母と思われる黒猫が赤ちゃん猫をたくさんかかえているのを見ていたので、あんなところから(200mくらい離れてます)小さな子猫を1匹1匹くわえてきたのか、もしくは、注意深く歩かせてきたのか、と、か細い母猫の知恵とたくましさにおどろいたものです。

子猫たちは、黒と白黒。おとうさんは、このあたりのボス猫の白黒猫だと思われました。
このボス猫のことを、我が家では「ライバル」と呼んでいました。
またまた離れた近所に、外飼いのフレンドリーな白黒猫「フレンドリー」がいて、その猫の敷地をいつもうばっていたことから、フレンドリー猫に対する「ライバル」猫として命名したのです。

ライバルは目つきも悪く、とてもふてぶてしい感じの一匹狼(猫?)でしたが、こんなにかわいい妻と子ども達がいたなんて、と、ライバルの頭のケンカ傷を見る眼もちょっと変わったりしたものでした。

さてノア母と子猫たちです。
夏の間、うちの近隣で走り回って過ごしていました。
保護しようか…とも思ったのですが、うちには当時ボタンインコがいたのでちょっと無理でした。
子猫たちも、かしこいノア母の教えを受けてか、めったに人に近づきません。
秋になる頃には、そのうちのいちばん人をおそれなかった1匹の白黒を残して、他の子猫たちのゆくえはわからなくなりました。

1匹残された白黒子猫も、冬になる頃には、りっぱなおとな猫になり、おとうさん猫の「ライバル」と、体の大きさ白黒模様や目の形から歩き方までそっくりになりました。近くで見ると毛並みのきれいさから年齢がわかるのですが、ちょっと離れたところで見ると、どっちがどっちだかわかりません。

春先には、白黒猫どうしが畑でケンカしているのを見るようになりました。
子どもだと思われるほうが、鳴きながら道路に飛び出してくるのを何度か見ました。
これだけ派手に追いかけ回されるのだから、オスだろうと推測しました。

ノアが生まれたのも、病院の先生によれば、この春頃だろうとのこと。
その1年後、「ライバル」の姿を見なくなりました。
白黒子どもは、以前のライバルのなわばりをゆったりと歩くようになり、なわばり争いに勝ったのか、と思いましたが、
ライバルはもう何年も前からうちの近所にいた猫だったので、野良猫としての寿命がきたのかもしれません。

ノアを保護したのはこの頃です。
毎日、うちの庭や塀でくつろいでいくようになりました。
数週間前に、黒猫が畑で2匹でくつろいでいるのを目撃していましたから、ノアはそのときを最後に、ノア母になわばりを追い出されたのかもしれない、と思いました。

ノアのおじさん(と推測)の「白黒子ども」は、ノアを保護してしばらくしてから、近所のマンションのゴミ捨て場に、段ボールに入れられて、毛布をかけられておさめられていました。
毛布をどけてみたら、頭から出血していました。交通事故にあったのかもしれません。
その箱におさまっている姿が、ノアがよく私のひざの上で、エプロンに頭をうずめて寝ている姿と似ていて、涙が出そうになりました。
ノア母ファミリーは、ノアとノア母だけになってしまいました。

ノア母は、いまでもご近所のお庭でくつろいだり、うちの前を横切ったりします。
リードをつけてさんぽをしているノアと出会うと、シャー! と威嚇の声を上げて、ふりかえりふりかえり、逃げていきます。ノアのほうは、なんだかわからない様子です。
ノア母は、夕方、畑に座って、うちのほうをじっと見ていることもあります。

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後日談
ノア母は、新たにトラ猫との間に、また黒い子猫を産んだようです。
近所の方が、ファミリーで道で遊んでいるのを見た、と教えてくれました。
ノアのときもそうでしたが、人目につくときには、子猫は黒が一匹だけ、というのも不思議です。
いまはきっと、新しい子猫の教育に忙しいノア母。去年までの子どもの記憶はどこに行くのでしょうか。
力強くもせつない、母猫の人生(猫生)を見た気がしました。

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