12月20日夜、金剛バスが営業運行を終えました。ときおり小雨が降る中、地元の人や、バスファンが富田林駅前、喜志駅前に集まり、90年以上南河内を走り続けた金剛バスの最後の姿をカメラにおさめて別れを惜しんでいました。<宮原裕、大坪千成>
(写真:回送車両を撮影する人)
20時50分。小雨がぱらつくなか、富田林駅前から3つの系統の最終便が一斉に出発しました。ロータリーには、金剛バスの最後の姿を見ようと、20人ほどの市民がバスに向けてカメラやスマホのシャッターを切っていました。
そして、21時46分。富田林駅前着の最終便が駅前に入って来ました。22時すぎに、最後のバスが「回送」表示で車庫に戻るためにロータリーを出る場面では、「ありがとう」と大きな声をかけて、金剛バスの最後の姿に別れを惜しんでいました。
(写真:ロータリーを出発する金剛バス最後の便)
喜志駅前でも、21時20分、10人ほどのファンが最終便の到着を待ち受けました。運転手が車庫へ戻る行き先表示を「回送」ではなく「金剛バス」と表示する粋な計らいを見せると、バスをバックに記念写真を撮影する人の姿も見られました。
(写真:「金剛バス」表記の車両と記念写真を撮る人)
墓参りのときに、時折、富田林駅前から金剛バスに乗ることがあったという堺市の男性は、「『次はこの時間のバスを運転するから乗っていって』と運転手さんから話しかけられたことがある。この距離感が無くなるのがさびしい」と話してくれました。
(写真:堺市から来た男性)
金剛バスは、金剛自動車株式会社(本社・富田林市本町)が運行してきた路線バス事業で、富田林市、河南町、太子町、千早赤阪村の4市町村で15の路線を運行していました。バス事業は1925年(大正14年)から続いてきましたが、2023年9月11日付で、「乗務員の人手不足や売り上げの低下などを理由に、2023年12月20日をもって路線バス事業を廃止する」と公式サイトで発表。この日、90年以上の歴史に幕を下ろしました。
12月21日からは富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村の4市町村広域協議会が運営する「4市町村コミバス」に運営主体が変わり、路線や便数を減らしての運行が始まります。
▼参考記事=「12月21日運行開始の公共交通 仮称『4市町村コミバス』時刻表一覧」https://blog.goo.ne.jp/oua_journal/e/be932e9e0cbaa409420b82d02e4f7cde
【訂正】
「バス事業は1937年(昭和12年)から続いてきましたが……86年の歴史に幕を下ろしました。」とお伝えしましたが、正しくは「バス事業は1925年(大正14年)から続いてきましたが……90年以上の歴史に幕を下ろしました。」でした。お詫びして訂正いたします。(2023年12月21日12:00 編集部)
了
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