暇な弁護士の暇つぶし日記

若手弁護士の日常を書いていきます。

成年後見人のなり手がいない理由

2014-06-19 20:58:19 | 法律
今日の読売新聞の朝刊で、成年後見制度が一面になっていた。

市町村長による申し立てが増えてるという記事だった。

成年後見の申し立ては、親族等が行うのが原則だが、身寄りのない人もいるので、このような場合にも、後見人をつけることができるように、市町村長による申し立ても可能になってる。

成年後見制度とは、精神障害などにより、十分な判断能力を欠く場合に、後見人が本人に代わって契約締結などの法律行為を行うようにする制度です。物を買ったり、介護施設に入所したり、病院で診察を受けるのにも、契約を締結することが必要ですが、判断能力を欠いている場合には、契約を締結することはできません。このとき、後見人が、本人の代わりに契約を締結することで、本人を保護することができます。

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度がある。

任意後見では、被後見人が後見人と契約する。

これに対して、法定後見では、家庭裁判所が、後見人を選任する。

高齢化に伴い、成年後見制度の利用も増えているが、逆に成年後見制度には問題点もある。

成年後見制度には、後見人のなり手がいない、という問題がある。

親戚などが、成年後見人になってくれる場合がある。この場合は、問題はない。

しかし、親戚などの身寄りがない場合や親戚がいても後見人になるのを断る場合など、後見人のなり手がない場合もある。このような場合には、家庭裁判所は、弁護士などの専門家を後見人に選任することになる。

もっとも、家庭裁判所に後見人にならないか打診されても、これを引き受ける義務はなく、断ることができる。後見人になったとして報酬がもらえるかという点はやはり気になる。報酬がもらえなければタダ働きになってしまうから。

後見人の報酬は、家庭裁判所が、定めることになっている。

問題は、報酬がもらえる時期だが、この点はよくわからない。よくわからないとすれば、悪い場合を念頭に考えておくべきだろう。

1つは、本人が亡くなった時に、本人の遺産から支払われるということが考えられる。例えば、後見人に選任されてから本人が亡くなるまで10年間後見人の業務を果たしたとしても、本人が亡くなるまでの10年間は報酬がもらえないことになる。他方で、この間、後見人は他人の財産を管理するという重大な責務を負うことになる。

加えて、本人が何年生きるかはわからない。仮に30年生きたとすれば、30年間後見人の業務は続くがその間報酬はもらえず、責任は負うことになる。

そして、30年頑張って後見人としての業務を果たしたとしても、本人に遺産が残らなければ、報酬はもらえない。後見人の報酬は、あくまで本人の財産から支払われるからだ。

そうすると、後見人は、終わりの見えない、タダ働きになる可能性があるように見える。

後見人になりたいと思うだろうか。

なお、法人も成年後見人になることができるので、この点をうまく活用して後見人を確保できるかが現在の課題となっている。

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