白黒日活映画を見ました。映ってる舞台は雑多な戦後下町の風景ですが、そこに息づく人のはつらつさ、人懐こさにうっとりしました。なにより、白黒映画なのに華やかに見えるのです。シャープな画像に、ゆったりとした幅のあるグラデーション。それでいて「映り切れない」黒味はしっかり黒いままで、見えなくたって平気な「ありのまま」感のすがすがしさ。
全部が全部見えたりしなくたっていいんですよね。吉永小百合さんが先生に「大丈夫です」ってセリフ一つ言うのでも、本当は大丈夫じゃないものがこもってて、言葉の発し方、目の使い方、物腰がちゃんとしつらえられてて、端折ったものの方に多くの感情を見つけることのできる映画でした。
白黒映画なのに、カラーの映画よりも青空が青空に見えて、とっても気分がいいのでした。