「ふぅ・・・」
ペンを置き、
ミーナはようやく終えた安堵から息を吐いた。
しかし、絶え間ない頭脳労働と、
同じ姿勢で長時間ペンを握って書類を処理していたため、
頭脳と体が疲労の声を叫んでおり、ミーナは力を抜き椅子に背を任せる。
「何とか間に合ったけどもうこんな時間なのね・・・」
窓の外を見れば既に太陽は半分以上水平線の彼方へ沈んでおり、暗闇が世界を包み込みつつあった。
「夕食、食べ損ねたわ」
腕時計の時刻はとっくに夕食の時間は過去のものであると表示しており、
仕事に没頭していたから感じなかったが、今になって空腹をミーナは感じ始めた。
「やあ、ミーナ。
夕食を持ってきたぞ!」
久しぶりに自分で作ろうかしら、
そう考え始めた時に坂本少佐が部屋に入室してきた。
手にはバスケットを抱えており、香ばしい香りが漂ってきそうだ。
「態々持ってきてくれたの、美緒?
丁度お腹が空いたところだから助かるわ」
「何、ミーナのお陰で我々は安心して戦えるからな。このくらいするさ」
「ふふ、ありがとう」
善性を帯びた笑みを浮かべる坂本少佐にミーナは微笑ましく感じる。
ふと、ネウロイと戦うよりも困難な軍官僚との戦争で幾度も挫けそうになった時。
不安を感じない彼女のこの笑みに何度も救われた事をミーナは思い出す。