２人の秘密

あっ…！


おいおい…


・・・。


ゲンさんこれ…


うん、そういうことだな…　いや驚いたな


みんなに知らせた方がエエか？


いずれわかることだ、騒ぎ立てるほどのことでもないだろう
チコの耳に入れると厄介なことになるだろうし…
黙っておく方が賢明だな


娘にもか？


ああ


ゲンさんオレ…話しには聞いたことあってんけど
実際自分の知り合いってのは初めてやわ。初めて見るわ


・・・。


アレやな、思ったよりショックやわ
…いやショック受ける必要なんてないことわかってるねん
わかってるけど…
何やうまいこと言われへん


わかるよ
俺はこっちに来てから長い付き合いがあったのはこいつくらいだった


…ごめんオレ気の利いた事何も言えなくて


いや…
１人のときじゃなくてよかった、もっと動揺してたかもしれない


うん、オレも


そうか…　親しくなるっていうのはこういう感じか


え？


昔な？　…ホラ息子覚えてないか？
娘ちゃんが俺に話したいことがあるからって探し回ったことあっただろ


ゴメン覚えてへん


その時娘ちゃんに聞かれたんだよ
気が合って仲良くしてた隣に住んでた動物が突然いなくなった、って
何もかもなくなって更地になったけどどうしてだろう、って


うん


あの時確かまだ娘ちゃんはこっちに来て１年も経ってなかったか…その頃だ
こっちで最初に出来た友達だったのかもしれないな


突然更地になったってことは飼い主が迎えに来たんやろ？


ああ


よかったやん


そうだな。その時娘ちゃんに天国のことを教えた
娘ちゃん、もう会えないってわかってるなら挨拶くらいしたかった、って答えて


娘が？！　よっぽど仲良しやったんやな


ってことだろうな？
あの時はただ天国の説明をして…
確か…
”自分に置き換えて考えれば寂しい事じゃないのがわかるだろう”
というようなことを言ったはずなんだよ
今思えば偉そうによく言うよな？　…参ったなこんな感じなんだな


・・・。


俺は「ここで出会って一緒に過ごせて楽しかった」だなんて一度も伝えたことはなかった
知らないヤツならこんなこと何ともないのに


オレもやわ　オレもやわゲンさん
でもオレらだって飼い主が迎えに来たら天国ってところに行くやん
そしたらあっちで飼い主と散歩中にすれ違うこともあるかもしれへんって
きっとまた…


ん、そうだな。きっとまた天国で会えるはずだよな


うん　


・・・。


・・・。
…天国ってあの月の向こうかな


さあな（笑）　
…娘ちゃんに話した日と同じだ、きれいな満月だ


そっか　
…天国でも見てるといいよな？ちょっとだけオレらのこと思い出して
ホラ、オレらが飼い主思い出すみたいに　…な？


そうだな　
…息子どうする。ここにいても仕方がないな、若草街道まで行くか


そやな、行こ行こ！







上記作品は次の作品の二次的著作物です。
Original Update by Yasser Alghofily
「So boring to be your model!」





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