茫庵

万書きつらね

2012年10月03日 - ローマ風刺詩

2012年10月03日 08時01分26秒 | 詩学、詩論


 ローマ風刺詩を読み始めました。岩波文庫から出ているのですが、これが実に読み難いしろもので、これのどこが詩なのだろう、と思ってしまいます。散文体で訳してあるので仕方がないのですが、やはり散文は散文でしかない、という証明のような内容です。

 それを特に感じたのは、Google Book で同じ風刺詩の英語訳やドイツ語訳を見つけた時で、こちらは正真正銘の詩文となっていました。中世の訳では元のラテン語詩にはない脚韻まで揃えてあったりして、実に読み応えがあります。

 結局、ああいう風に、ヘキサメーターで書かれた元の詩文を置き換える詩文型が日本語には存在しない、つまり、志高き新体詩系詩人を排斥して主流になった口語自由詩の担い手(現代日本語詩の主流)が研鑽を怠ってきたせいで、日本語の詩学が未発達で、訳者もその現実を超えてまで訳詩に挑戦する力量と勇気を持ちあわせていなかった、という事だろうと思います。

 という訳で、意味合いはこの文庫本にもう少し付き合うとして、詩としての味わいはラテン語、ドイツ語、英語で味わう事としました。