不透明な時代、心配ごとあれこれ。悶々と過ごしていたある夜、夢に、詩の好きな妖精のElenがやってきて、私に電話がつながっていると言ってS社のスマートホンを差し出した。なんでマイナーなS社? 後で考えたら私が持ってるやつのコピーらしかった。私にとって違和感のないように、私の身辺の物をそのままコピーするらしい。rさて、電話の向こうはハツラツとした男の声。やや古ぼったいドイツ語で、妖精から私の事を聞いて興味を持ったと語った。お互いに自国語で話しているのに言ってる事が分かるのは妖精の力が働いていたからなのか?
この男。ゲーテと名乗り、自らが書いたという詩を朗読してくれた。
Sorge
Johann Wolfgang von Goethe
Kehre nicht in diesem Kreise
Neu und immer neu zuruck!
Las, o las mir meine Weise,
Gonn', o gonne mir mein Gluck!
Soll ich fliehen? Soll ich's fassen?
Nun, gezweifelt ist genug.
Willst du mich nicht glucklich lassen,
Sorge, nun so mach' mich klug!
人生いろいろな事があるだろうが人生とはそういうものだから逃げる事は出来ない。何にしてもいちどこっちに遊びに来ないか、と言われた。いつか行ってみたいと答えると、いつでも歓迎するとの事だった。このオヤジは日本がどこにあるのか分かって言ってるのか?
夢の中では何でもアリで誠に結構だ。時空を超えて名詩は語り継がれる。それも結構。
この詩を書いた頃のゲーテは40歳。まもなくフランス革命の嵐がヨーロッパ中を席巻し、彼が身を寄せていたワイマール公国もナポレオン軍に蹂躙されるはずだ。だが、強靭な精神力と類まれなバランス感覚の持ち主でもあったこの詩人はその後も現代まで伝わる名作を書き続けることになる。