copyright (c)ち ふ
(これ以上のことは出来ない。
雪香の裸を見るだけでもよかったのだ。
裸のまま抱き合って口あわせ出来るなんて、
オレはもう大満足。
雪香のしとやかな黒髪を敷いて、一緒に寝られるだけで、
もうこれ以上の幸せはないのだから。
魂合わせの喜びよ。
これが、夢に見続けていた雪香の手枕か。
月の神よ、ゆっくり夜の空を渡って欲しい。
それにしても、恋というものは尽くしきれないものだ)
お母さん、私にいつも言っている。
もう耳にタコが出来るくらい。男には気をつけよって。
私は、四郎太さんと絶対結婚するわ。
だから、何をしてもいいの。
もし、結婚出来なくってもいい。
四郎太さんと結婚できないのなら、私一生ひとりで暮らすわ。
たった一人の、私の私だけの男の人。
(雪香が何もかも投げ捨てて、オレに尽くして
くれようとしている。
オレは、それに応えなければならない。
幸せにしてやりたい)
四郎太さんを感じるわ。
乳房や脇腹で。
もう恥ずかしくて、恥ずかしくて。
でも、とっても幸せ。
この幸せ、百世、八千年も続けば、いい。
(朝鳥も鳴き始めた。
夜の早く明けること。
あっという間に時間が過ぎた。
雪香と過ごす時の流れの速いこと!
しかし、この後には長い長い虚ろな時間が打ち続くのだ。
餌を集める蟻のように通いたいものだが)
{もう、帰るの?
お仕事にゆく時間なのね。
少しも寝ていないのに大丈夫?}
つづく