その１９１．時代は変わる

私が子育てに邁進したのは今から２５年ほど前だ。
当時はベビーカーをひく男性は少なく、
ましてや「おんぶだっこ」と呼ばれる、
赤ちゃんをおんぶしてもダッコしても使える
両用グッズを駆使して買い物に出る男性は皆無だった。
私は監督としての興味から周りの反応を知りたかったのと
娘が年子だったことで嫁にたまに休暇が必要だったのと
加えて元来の子煩悩から、
次女をダッコして長女をベビーカーに乗せて、
電車やバスで徘徊していた。
まだ自家用車を持てない貧乏監督だったため、
徒歩かバスを使ってよく銭湯巡りをしたものだ。
公園デビューもいち早く行ない、
そこで出会ったママさん達とのお茶会の常連で、男性は私一人。
次女が生まれた時は長女と二人で四国路を旅して、
旅館では誘拐魔や無理心中者に間違えられたものだ。

最近は男性一人っ子で女性が強くなったせいか、
はたまた男性が積極的に子育てに参加しているのかわからないが
町中ではベビーカーをひく男性が増えてきた。
しかし「おんぶだっこ」をしている男性はまだまだ少ない。
私の子育て時代は、百貨店の女性トイレには
ベビーベッドがあったが、男性トイレにはなく困ったものだった。
しかし、今では駅の男性トイレにもベビーベッドや、
対面に子供用椅子が備え付けられており便利になってきた。

あれから２５年、娘達も社会人になり、私の子育ては無事終了した。
今は孫の面倒を見る気はサラサラない。
会いたい時は私が会いに行くと娘達には宣言している。
本当に孫が出来たら撤回するかもわからないが、まだまだ現役なので、
いくら私が子煩悩だからといっても、
私の生活を邪魔をしないで下さい、お願いだから。