その２５７．お泊まりクラス会（３）

男性なら仕事で接待は日常茶飯事だ。
しかし、いくらご馳走でも接待では味がわからない。
かしこまって上等な物を食わされるほど悲しいことはない。
だから落ち着いて食える家飯は旨い。
くつろいで大切な人と呑みながら、
大切な人が作ってくれた料理を食べる。最高だ。
３０年前に戻ったクラス会での食事も
家族の食事同様楽しいものだ。
そして思わぬ話も飛び出す。
つくづく人の数だけ苦労はあると感じる。
早期退職と子供の進学の狭間で悩む男性。
旦那との関係を悩む女性、離婚、再婚、子供の病気などなど、
私も大概だと思っていたが、
私が想像すらしたこともない修羅場や岐路に立つ彼ら。
こんな話は利害関係のない同級生にしか語れない。
決して弱音ではない。すでに達観の域。
淡々と状況を噛み締めるように語る。
真っ正面から向き合うが故に愛に包まれた大人の話は、
静かだが底知れぬ力強さがある。
中島みゆきの絶望の歌を応援歌と感じる人も多いが
今宵はまさに私にとって中島みゆきメドレーだ。
何だか生きる勇気と味わい方を教えられる夜となった。

宴席盛り上がったところで担任の先生に電話をする。
クラス会準備会打上では
必ず先生への出席願いを兼ねて電話をする。恒例だ。
今回初のお泊まりと遠方ということで
先生には出席の声を掛けなかった。
御歳６７歳。めいめい話をして私のところに携帯が
戻ってきたのは３０分後、次回は参加いただけそうな感触。
まったく手の掛かる教え子達であり、実に幸せな担任である。


　　後日、担任先生から送られてきたハガキ

さて今回の宿泊先は琵琶湖の湖畔に建つ国民休暇村 近江八幡。
宴会の料理は湖国膳。
滋賀県の旨いものをギュッと凝縮している。
近江牛ステーキあり、モロコあり、地元産野菜あり。
何故か海がないのに鯉の刺身と鮪、
イカの盛合刺身もついている。

あっていう間に２時間。宴会場での宴席はお開きになり、
引き続き男性部屋で２次回スタート。
何を話したかも意味不明のまま夢うつつの２３時半終了。
男性陣はとっとと布団を敷いて就寝。
しかし女性陣は朝まで徹夜でタベリングとのこと。
実にパワフル、実に呆れた女性陣です。

翌朝は５時から風呂に行く男性陣。
私は６時で二度寝して、
７時１５分から全員揃っての朝食バイキング。
ちょーみんな！旅行の時くらいユックリしようぜ。