大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

ぽぽろはNPO大阪障害者センターの子育て・教育支援部門です。
大阪市鶴見区今津北にあります。

プロジェクトA

2011年09月19日 | 児童デイサービス
金曜日のぽぽろ
名付けて「プロジェクトA計画!!」バイトTaさんの誕生日が翌日ということで、サプライズをしようと、ぽぽろに子どもたちがくると、耳うちをしていきました。「明日、Taさんのお誕生なんだって、みんなで驚かそうか。」ホットケーキを焼いて、ハッピバスデーを歌うという企画です。
 まずは、Sくん。来るなり、ちょっと、ちょっと。と手招きをすると、「なに、なに?」と顔をよせてきました。Taくんの誕生日のことを話すと、早速カレンダーのところへ確認しに行きます。実は、そうするだろうなぁ。と、すでにTaさん自ら、カレンダーへお誕生の日を書いてもらっていました。
「ワア。」と笑顔で拍手。指で、「シー」内緒なんだよ。と伝えると、うんうん。と頷き頷きSくんも同じように、口元に人差し指をあて「内緒」の確認。

 Sくんは、今年の春から中学生になり、支援学校に行き始めました。それまでは、地域の小学校で通級というかたちをとっていました。去年末ごろから、ぽぽろや、家族の方をパチンとたたいたり、つねったりという行動がみられるようになり、Sくんへの関わりをスタッフ間で考え、学校を訪問したり、性教育の面でも考えてきました。Sくんがぽぽろにきはじめたのは、6年生の2学期。言葉がはっきり発音できず、スタッフも何度か聞き返す場面もしばしばありました。かといって、文字盤を使うやり方は、Sくんは嫌な様子で、言葉、ジェスチャーでのコミュニケーションを望んでいるようでした。
 これまで、自分の思いをどれだけ正確に相手に伝えてこられているのだろう。伝わらず、諦める場面の経験も多くしてきたのではないのかと、憶測でしかありませんが、考えてしまいます。
 
 このような背景もあり、Sくんへの、見通しのある取り組み、物を介する遊び、またそこには、Sくんが熱中できるもの、わくわくできるものを考えていこう、ということで今日だけではありませんが「プロジェクトA計画」にいたりました。 


 牛乳パックをまた、たくさん持ってきてくれたMoちゃんにも、同じようにサプライズの話を伝え、「4時半に出かけるからね。」といっておきました。スタッフとSくんで、買い物に必要なものを書き、お財布を渡し、4時半になると、Taさんにさとられないように、Sくん、Yちゃん、Uくんたちは靴を履き始め、Moちゃんも立ち上がりました。
 買い物班ではなかったので、写真がありませんが、ホットケーキの上にのっている、黄桃は、Moちゃんが選んだもののようでした。





 でかでかホットケーキをつくり、お皿に分けると、SくんからTaさんへ。買い物へ行かなかったもう一人のMoちゃんは、Taさんへ手紙をプレセント。
 今日の子どもたちのチームワークには、スタッフも感動をしました。見事に「サプライズ」を見せてくれました。

 自分のお誕生を祝ってもらうのは、本当にうれしいことです。また、今日のようにお友達のお誕生日を祝う姿には、子どもたちの成長を感じさせられた一日でした。



(Taくんは「もう本当に嬉しかった。今年の誕生日はみんなに祝ってもらって最高です。」と誕生日飲み会(土曜日)で私・Uに語っていました。一方、「この日、僕は「サプライズ」が終わってから、Sくんの「叩く」「つねる」のターゲットになりました。何でかなぁ~?」とも。なんでやろうね?その背景には彼のどんな発達への願いがあるのだろうね。
 排除しないで、投げ出さないで、対症療法にしないで一生懸命にお母さんも一緒にみんなで考えています。もうそろそろ一年くらいになるでしょうか?いや、まだ一年というべきなのでしょうか?自分の4月誕生会をしてもらったときには涙を流して泣いたSくんです。つねられると脇の下などに跡が残るくらいですから痛いです。今は男女関係なく誰に対してもやるようになりました。
 これに対して手首をつかんで止めると彼は反撃されたと思ってムキになって何度もやります。それに、女性スタッフは力ではもうかないません。「防御」「反撃」したその時・その人がアトでフラッシュバックしてよみがえることもあるようです。学校での出来事・バトルもよく訴えます。かなりストレスをため込んでいる様子です。ですから、私たちは頭髪や顔(今は滅多にありませんが)以外は防御しないようにして、終わらせるようにしています。
 激しいときは別室に移動し、クールダウンするように男性スタッフとこもります。聞くだけで落ち着くこともあります。しかし、Tさんも言っているように発音が不明瞭で私たちが十分に聞き取れていないのです。文字盤、マカトン、文字、携帯メール(文字)など色々やってみましたが、彼はストレートにことばを受けとめて欲しいのです。あうんの関係にあるお母さんにはよく理解できるようでが、我々にはとても難しい。
 どうも「たたく」などを自分がやって、それに対して相手が何もしなかったら彼の中では終わり、切り換えの儀式のようにも思えます。こんな時は「握手」や「ハイタッチ」もダメです。むしろ誘発になるときのほうが多いようです。一番激しいのは行動の切り換えの時、特に送迎のときに手が出ます。送りの時はお母さんに、迎えの時はスッタフに。大変な「あいさつ」ですが、笑顔で(対応に失敗してこちらの顔がひきつっているときもありますが…)「さようなら!またね~!」と送り出したいものだと思っています。笑顔でさよならと言ってお互いに分かれられるようになるまで…。この年になっても毎日が修行です。 スタッフU)

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