Project Vegaさんより http://www.project-vega.org/2014/03/5_30.html
(1章序文より抜粋) この文章は様々な専門家が、インターネット、テレビ、本などで断片的に論じている出来事を集め、年代別に並べたSFである。可能な限り確実性の高い物的証拠やデータを優先的に集めているが、偽情報やノイズの判断が難しいこともある。特にチャネラーのチャネリングに頼った文章に関しては、本当かどうかは判断が難しい部分なので、この内容を鵜呑みにするのではなく、最終的には自分の頭で考え、確認して、正しいかどうか判断する必要がある。
5章 シュメールとアヌンナキ : 地球人のルーツ
(つづき)
■紀元前36万年頃
運命の石板を授かったエンリル--------------------------------------------------------------------------
運命の石板:エンリルがアヌから拝借したアヌ一族の貴重な宝物。ニビルと地球間のルートを随時表示したり、色々なことを可能にするme(メ)の装置。ブンブンという音を発する一種のバイオコンピューター
ティティル:小型ミサイル・me(メ)のミサイル
エンリルは、この願ってもない宝物の石板(タブレット)をアヌから手に入れ、それをニップールの居城に運び込み、大事に隠していた。その石板というのは、外見はいくようにでも変化するそれ自身が生きているような一種の有機質であり、あるときは特殊な水晶の板として現れ、また七色の光を放つ鉱石として現れることもあり、その表面のモチーフは、そのひとつひとつの呼吸と共に変化しながらブンブンと音を放つ不思議な石板であった。奇妙な暗号が図やシンボルとして現れたりして、さまざまな謎が埋め込まれている石板で、それをエンリルは特別に造らせた豪華な箱の中に入れて、それを厳重に鍵をつけて、さらには、その部屋の前に監視までつけて大切に保管した。この宝物を持つということ自体、エンリルが地球最高の地位にいるということを誇った。
運命の石板は、実はニビル次元をずっと超えてプレアデスのテクノロジーに由来するものであるが、これ自体はプレアデスからニビル星への移住が決まったとき、ニビルに初めて降りてきたアンに宇宙連合総司令官ソ・ラーラが特別に授けた宝物である。
それは創造主からの贈り物として渡された。まさに「神々の道具」といえるものだった。それがアヌ一族に渡り、一族の中でもアヌとエンリル以外には、だれもこのme(メ)については知らなかった。
エンリルは、この「運命の石板」を使って、ニビル星と地球間の通行ルートとそのタイミングを計算して、新しいルートを発見することができた。これによって、多量の金が以前よりもずっと楽にニビルに輸送されるようになった。それでニビルの大気層の亀裂が徐々に修復され、住民たちがまた安心して暮らせる時代を取り戻した。つまりニビル星を地球の金で救った神さまなのである。
エンリルの監視塔とプロビデンスの目------------------------------------------------------------------
地球で採掘された金はニビルで微細な粉にされ、天空に打ち上げられ、大気の裂け目は徐々に修復されていった。エンキはエリドゥに輝く住まいを造り、その地でマルドゥクに知識を授けた。ニブル・キでは、エンリルが圧巻的な“天と地球を結ぶもの”を設置した。その中央では、ひっくり返ることのないプラットホーム(平らな場所)の上に、天に向かって高くそびえる柱が設置されていた。そこから、エンリルの言葉が入植地に広がった。サーチライトの光線が高く上げられ、すべての土地の深奥部(しんおうぶ)を捜索することができた。その両目のレーダーはあらゆる土地をスキャンし、その網は望まないものの接近を不可能とした。
また「生命の樹」のケテル(王冠)のようなエンリルの監視塔が、そのそびえ立つ家の中心で遠い天空を凝視し、地平線を見つめ、天の頂点を完成させていた。これは「すべてを見通す目(プロビデンスの目)」である。これに対して、エンキは三日月と関連させ、「ニニギク、ニンイギク(目の清い神)」と言われた。ニニギノミコトやニギハヤヒの“ニニギ、ニギ”という言葉の原型である。
その暗く神聖な部屋には、太陽の家族が12個の紋章で表され、“メ”には天空の神々の秘密の公式が記録されており、“運命の石板”が光彩を放っていた。エンリルはそれらによって、すべての到着と出発を監督した。
“万物を見通す目”の根源は、エンキの“ニニギク(輝く目の支配者)”とエンリルの“すべてを見通す目”である。
また、覗いている目の下のピラミッドの段数は13段であり、ピラミッドの冠石に相当する三角形がピラミッドの頂上に接地しておらず、空中に浮かんでいる。この意味は、次の通りである。
「生命の樹」に於いて、マルクトからケセドまでの7個のセフィロト、6個のパス、合わせて13の段階を経ることにより、“知識の門”の前に達する。これ故、13は神聖数字であり、13段はこれに由来する。そして知恵を身に付けることにより、知識の門を通過して精神的に神界に達する。カッバーラは“一方的に授けられるもの”であるから、神界=至高世界に達することができるかどうかは、神の意思のみに依る。それ故、至高世界はそれより下の人間世界から隔絶され、浮かんでいるのである。
本来、石工の職人組合であったフリーメイソンにとって、ピラミッドは「生命の樹」そのものであるから、彼らにとって理想的で完璧な建造物である。しかし、フリーメイソン自体がサタニスト(悪魔主義者)たちによって乗っ取られ、“ルシファーの目”を植え付けられたことにより、「死の樹」へと変貌した。これが、1 ドル札に描かれ、現在のフリーメイソンの象徴として描かれるピラミッドと“万物を見通す目”の真相である。なお、ピラミッドは柱ではないため、「死の樹」に変貌したことが解りにくいが、“目の向き”で判断する。
地球に招待されたアンズ----------------------------------------------------------------------------------
さて地球の金の発掘現場はというと、アヌンナキたちが重労働に対して、いよいよ抵抗を表しだした。つまり、地球行きを希望して移住してきた直接金鉱で重労働を課されているアヌンナキたちが、エリキシル(万能薬)の配給が少なくなったとか、食事の質が悪くなったと文句を言いはじめた。さらには中間ステーションにいるイギギたちも、ラーム(火星)と地球間の往復の際に地球にゆっくり立ち寄れないことに不満を抱くようになった。
イギギたちはラームの指揮官のアンズと共に密かに、なにか暴動を起こす計画を練っているという噂が起きた。それはやがて、アヌンナキの耳にも入ってきた。エンリルはアヌとそのことで相談しあった。エンキも呼び寄せて、アヌンナキの緊急会議が開かれた。
まず、イギギたちの反乱を抑えなければならないことが提案された。そのためにもイギギの代表であり、優秀な操縦士であるアンズを地球に招待し、丁重にもてなすことが大事だと決まり、早速アンズはラームから地球に招待された。
地球に着いたアンズは、高い管制塔が立ち並ぶ地球上初の「宇宙観測センター」を見学することになった。むろんエンリル自らが同行した。アンズは興奮を隠せない様子で、エンリルもまた、アンズがイギギであることをつい忘れてお互い打ち解けた。そうして楽しんでいるうちに、ついにエンリルは城の塔がある最上級にあるチェンバーへとアンズを案内した。
エンリルはその部屋の前に立っている護衛兵にその部屋の扉を開けるように命令した。厳重に保管されている箱の中からエンリルは「運命の石板」を取り出しアンズに見せた。エンリルは自慢話をしながら、アンズがどう反応するか見てみたかった。そのときエンリルは、ラームの神アンズにアヌンナキの5つの都市計画について打ち明けた。そして当然のこととして、彼に苦境に暮らすイギギたちへの救済措置を約束した。
「運命の石板」は計画を具現化するための、そのシミュレーションをすばやく緻密なレベルまで計算できる。地球とニビル間の、スムーズな運行ルートが計算されるために、アヌンナキにとってはきわめて重要なツールであり、これがないとたとえ彼は神といえど物理的なニーズは満たされない。まさに「打ち出のこずち」のみならず、神さまたちはスーパーコンピューターどころか、それよりも数千倍すばらしい道具をもっていた。ニビル星人がまさに、創造主からさずかった神のツールだった。
運命の石板は、天然石がはめ込まれた石の板であるにもかかわらず、雲のような軽さだった。これを使うと、宇宙のあらゆる星との距離を正確に測ることができた。またこれは一瞬にして目的地に着くことができるタイムジャンプには欠かせない方程式が埋め込まれていたのだった。
エンリルは、秘密の部屋に篭って石板と向い合っていることが多かった。その石板に秘められた威力につい彼は圧倒された。
ところで、アンズがイギギのリーダーとなった理由は、彼がただ優秀な操縦士というだけではなく、アンシャガルの血を引く皇子だったからである。それもあって、アンズはエンリルに対して、常にライバル意識があった。彼はエンリルの自慢話を黙って聞いていたが、つまり表向きは誠実な家来を装いながらも、エンリルのポストを今か今かと常にその隙を狙っていた。そして、当然のこととして、「運命の石板」を奪いたいと思った。
(運命の石板さえ手に入れば、イギギだけではなくアヌンナキを支配することも朝飯前にちがいない・・・)
運命の石板の場所を知ったアンズはつぶやいた。
そのころになるとアヌもエンリルと同じように、よりダイレクトでニビルと地球間を往復できるルートを望んでいた。そうなると、ニビルに金を早く届けられるだけではなく、イギギとの問題も生まれない。そのためにはまず宇宙観測所が必要で、そこで金を確実にニビルに送り届けるという、重大な任務を背負っていた。しかしそれ以外はエンリルも、「運命の石板」に秘められた、あらゆる可能性を探ることに没頭した。
(今、「運命の石板」によって確実に、ラームの役割が終わろうとしている・・・)
とエンリルは心の中でそう希望を抱いていた。
運命の石板を奪い去ったアンズ--------------------------------------------------------------------------
アンズの心の中は邪な考えで一杯になった。アンズは王子の中の王子であり、天空と地球の指示系統を掌握し、エンリルから権限を取り上げようと目論んでいた。疑念の無いエンリルはアンズを聖域の入り口に立たせておき、聖域を離れ、泳ぎに出掛けた。ここぞとばかりに、アンズは“運命の石板”を奪い、“空の部屋”で飛び去った。“着陸場所”には、謀反(むほん)を起こしたイギギが彼を待っていた。彼らは、アンズが地球とラームの王であることを宣言する準備をしていたのである。聖域では輝きが衰え、ブンブンという音が静かになっていた。 アンズは、「運命の石板があればもう大丈夫。アヌンナキの腰ぬけどもに渡してたまるものか!」と盗んだ石板をシェムに積んで、シナイ半島の山々の上空を逃亡していた。彼は隠れ場所を探そうとした。
エンリルの息子ニヌルタのアンズ退治------------------------------------------------------------------
この落ちるアンズの話は、ギリシャ神話“イカロスとダイダロス”の原型となる。
【アヌンナキでの話】
エンリルらはアヌに助言を求め、石板を取り戻すこととなった。ニヌルタが母ニンマーにけしかけられ、反逆者に立ち向かう任務を負った。アンズは石板を持っているため、自分は無敵だと思っていた。ニヌルタは“稲妻の矢”をアンズに向けたが、矢はそれた。戦闘は膠着状態となり、エンキが助言した。「“つむじ風”で嵐を起こし、粉塵(ふんじん)でアンズの顔を覆い、彼の“空の鳥の羽”を逆立てるのだ!」
エンリルはティルル(ミサイル)を造り、「“嵐を起こす武器”に取り付け、翼と翼が近づいた時、撃て!」と指示した。ニヌルタはエンキの助言に従ってミサイルを放ち、アンズは地上に落下した。そして、アンズを捕虜とし、石板を取り返した。反逆していたイギギらは降参した。
なお、この部分はシュメール神話では次のように記述されている。翼が墜ちたズウがアンズである。
【シュメール神話】
ある時、エンリルがプールで水浴びしている最中に、ズウと呼ばれる者が、王であることの証である「神々」と人間の運命を定めた運命表“運命の平板”を奪った。ズウはムウ(空飛ぶ機械)で遠くの場所に隠れた。「神々」は緊急会議を開き、ズウを逮捕して処刑することを決定した。(中略)ニヌルタは任務に就いた。矢をズウに放ったが、ズウは“運命の平板”を持っていたので、矢はズウに接近することができなかった。そこで、エンキが指示した。チルルム(ヘブライ語でミサイル!)を撃ち込め、と。チルルムは命中し、ズウの翼は墜ちた。ズウは逮捕され、“運命の平板”はエンリルのもとに戻った。
【ギリシャ神話のイカロスの話】
ダイダロスはイカロスの父で、細工の名人であった。ダイダロスがミノス王のためにラビュリンス(迷宮)を造った。ダイダロスは後にミノス王から見放され、息子のイカロスと共に、ある塔に閉じ込められてしまった。
その塔を抜け出すために、鳥の羽を集めて、大きな翼を造った。大きい羽は糸でとめ、小さい羽は蝋(ろう)でとめた。翼が完成した。二人は翼を背中につけた。父ダイダロスは、息子のイカロスに言う。
「イカロスよ、空の中くらいの高さを飛ぶのだよ。あまり低く飛ぶと霧が翼の邪魔をするし、あまり高く飛ぶと、太陽の熱で溶けてしまうから。」
二人は飛んだ。農作業中の人々や羊飼いたちが二人の姿を見て、神々が空を飛んでいるのだと思った。イカロスは調子に乗ってしまった。父の忠告を忘れ、高く、高く飛んでしまった。太陽に近づくと、羽をとめた蝋(ろう)が溶けてしまった。イカロスは羽を失い、青海原に落ちてしまった。以後、その海はイカロスと名づけられた。
アンズの裁判-------------------------------------------------------------------------------------------------
その後アンズは、ニップールのアヌンナキの最高裁判所において有罪判決をいい渡された。その裁判は、アヌンナキの最高位にいる7名によって執り行われた。エンリルと配偶者のニンニル、エンキと配偶者のニンキ(前名ダムキナ)、ニンマー、ニヌルタと、エンキの息子マルドゥクという一族のトップによって行なわれた。
当然ながらニヌルタは、アンズの卑怯な行為を主張したが、マルドゥクは不当に扱われているイギギの苦しみについてを訴えながら微妙にアンズに肩をもつような発言をした。けれども結果として、アヌンナキとイギギの両方を陥れようとしたアンズの悪事は厳しく裁かれた。
「アンズに死刑を言い渡す。アンズの遺体はラームに葬ることは許されない。ハゲタカの餌食となるのだ。これで、この一件は終了。」
エンリルはそう皆に言い渡した。アンズに対する死刑宣告にアヌンナキ全員が同意した。しかし、遺体をハゲタカに処分させるのは残酷すぎるとエンキとマルドゥクは主張し、最終的に彼の遺体はラームの洞窟近くに埋葬された。
この作業を終えた後、エンキは息子マルドゥクに向かってこう言った。
「お前はそのままラームに残りなさい!アンズの後を継いで、ラーム(火星)の司令官としての任務に着くのだ!エンリルもそれを望んでいる。」
マルドゥクは、これをある程度予感していたので、素直に従い父に別れを告げた。
処刑されたアンズとその後--------------------------------------------------------------------------------
アンズが死刑されたのは、アヌンナキが地球に定住してから25番目のシャル(地球時間で9万年)が過ぎようとしていたころだった。裁判により、アンズは殺害光線(レーザー)により処刑された。同じ先祖の種子を受け継ぐアラルの横に埋葬すること、マルドゥクに遺体を運ばせて彼をラームの司令官とすることをエンキが提案した。エンリルはそれを認めた。
その後、マルドゥクがイギギの不満を抑え、ラームの基地が再び順調に機能を果たすようになるまで、さらに数シャルが経過したが、まだまだ安定期は訪れる気配はなかった。今度は地球のあちこちで、アヌンナキが反乱を繰り広げるようになったからである。
そのころ再びニビル星が太陽系に接近してくる時期だった。ニビル接近につれて地球は日照りに襲われ、十分な食料をアヌンナキの労働たちに配給できなくなった。これが原因でアヌンナキ労働者の反乱はさらに本格的になっていった。このパターンは残念にも現在の地球も受け継いでいて、まったく変わりはない。ニビル星とバイナリースター(伴星)であるかぎり、地球の人間も彼らと同じような道を辿る運命にあるのかもしれない。
やがて、アヌンナキの指導者や労働者階級が水面下で組織を形成し、アヌ一族に刃向うようになった。またしても、エンリルにとって頭の痛い災いが降りかかってきた。
運命の石板を授かったエンリル--------------------------------------------------------------------------
運命の石板:エンリルがアヌから拝借したアヌ一族の貴重な宝物。ニビルと地球間のルートを随時表示したり、色々なことを可能にするme(メ)の装置。ブンブンという音を発する一種のバイオコンピューター
ティティル:小型ミサイル・me(メ)のミサイル
エンリルは、この願ってもない宝物の石板(タブレット)をアヌから手に入れ、それをニップールの居城に運び込み、大事に隠していた。その石板というのは、外見はいくようにでも変化するそれ自身が生きているような一種の有機質であり、あるときは特殊な水晶の板として現れ、また七色の光を放つ鉱石として現れることもあり、その表面のモチーフは、そのひとつひとつの呼吸と共に変化しながらブンブンと音を放つ不思議な石板であった。奇妙な暗号が図やシンボルとして現れたりして、さまざまな謎が埋め込まれている石板で、それをエンリルは特別に造らせた豪華な箱の中に入れて、それを厳重に鍵をつけて、さらには、その部屋の前に監視までつけて大切に保管した。この宝物を持つということ自体、エンリルが地球最高の地位にいるということを誇った。
運命の石板は、実はニビル次元をずっと超えてプレアデスのテクノロジーに由来するものであるが、これ自体はプレアデスからニビル星への移住が決まったとき、ニビルに初めて降りてきたアンに宇宙連合総司令官ソ・ラーラが特別に授けた宝物である。
それは創造主からの贈り物として渡された。まさに「神々の道具」といえるものだった。それがアヌ一族に渡り、一族の中でもアヌとエンリル以外には、だれもこのme(メ)については知らなかった。
エンリルは、この「運命の石板」を使って、ニビル星と地球間の通行ルートとそのタイミングを計算して、新しいルートを発見することができた。これによって、多量の金が以前よりもずっと楽にニビルに輸送されるようになった。それでニビルの大気層の亀裂が徐々に修復され、住民たちがまた安心して暮らせる時代を取り戻した。つまりニビル星を地球の金で救った神さまなのである。
エンリルの監視塔とプロビデンスの目------------------------------------------------------------------
地球で採掘された金はニビルで微細な粉にされ、天空に打ち上げられ、大気の裂け目は徐々に修復されていった。エンキはエリドゥに輝く住まいを造り、その地でマルドゥクに知識を授けた。ニブル・キでは、エンリルが圧巻的な“天と地球を結ぶもの”を設置した。その中央では、ひっくり返ることのないプラットホーム(平らな場所)の上に、天に向かって高くそびえる柱が設置されていた。そこから、エンリルの言葉が入植地に広がった。サーチライトの光線が高く上げられ、すべての土地の深奥部(しんおうぶ)を捜索することができた。その両目のレーダーはあらゆる土地をスキャンし、その網は望まないものの接近を不可能とした。
また「生命の樹」のケテル(王冠)のようなエンリルの監視塔が、そのそびえ立つ家の中心で遠い天空を凝視し、地平線を見つめ、天の頂点を完成させていた。これは「すべてを見通す目(プロビデンスの目)」である。これに対して、エンキは三日月と関連させ、「ニニギク、ニンイギク(目の清い神)」と言われた。ニニギノミコトやニギハヤヒの“ニニギ、ニギ”という言葉の原型である。
その暗く神聖な部屋には、太陽の家族が12個の紋章で表され、“メ”には天空の神々の秘密の公式が記録されており、“運命の石板”が光彩を放っていた。エンリルはそれらによって、すべての到着と出発を監督した。
“万物を見通す目”の根源は、エンキの“ニニギク(輝く目の支配者)”とエンリルの“すべてを見通す目”である。
また、覗いている目の下のピラミッドの段数は13段であり、ピラミッドの冠石に相当する三角形がピラミッドの頂上に接地しておらず、空中に浮かんでいる。この意味は、次の通りである。
「生命の樹」に於いて、マルクトからケセドまでの7個のセフィロト、6個のパス、合わせて13の段階を経ることにより、“知識の門”の前に達する。これ故、13は神聖数字であり、13段はこれに由来する。そして知恵を身に付けることにより、知識の門を通過して精神的に神界に達する。カッバーラは“一方的に授けられるもの”であるから、神界=至高世界に達することができるかどうかは、神の意思のみに依る。それ故、至高世界はそれより下の人間世界から隔絶され、浮かんでいるのである。
本来、石工の職人組合であったフリーメイソンにとって、ピラミッドは「生命の樹」そのものであるから、彼らにとって理想的で完璧な建造物である。しかし、フリーメイソン自体がサタニスト(悪魔主義者)たちによって乗っ取られ、“ルシファーの目”を植え付けられたことにより、「死の樹」へと変貌した。これが、1 ドル札に描かれ、現在のフリーメイソンの象徴として描かれるピラミッドと“万物を見通す目”の真相である。なお、ピラミッドは柱ではないため、「死の樹」に変貌したことが解りにくいが、“目の向き”で判断する。
地球に招待されたアンズ----------------------------------------------------------------------------------
さて地球の金の発掘現場はというと、アヌンナキたちが重労働に対して、いよいよ抵抗を表しだした。つまり、地球行きを希望して移住してきた直接金鉱で重労働を課されているアヌンナキたちが、エリキシル(万能薬)の配給が少なくなったとか、食事の質が悪くなったと文句を言いはじめた。さらには中間ステーションにいるイギギたちも、ラーム(火星)と地球間の往復の際に地球にゆっくり立ち寄れないことに不満を抱くようになった。
イギギたちはラームの指揮官のアンズと共に密かに、なにか暴動を起こす計画を練っているという噂が起きた。それはやがて、アヌンナキの耳にも入ってきた。エンリルはアヌとそのことで相談しあった。エンキも呼び寄せて、アヌンナキの緊急会議が開かれた。
まず、イギギたちの反乱を抑えなければならないことが提案された。そのためにもイギギの代表であり、優秀な操縦士であるアンズを地球に招待し、丁重にもてなすことが大事だと決まり、早速アンズはラームから地球に招待された。
地球に着いたアンズは、高い管制塔が立ち並ぶ地球上初の「宇宙観測センター」を見学することになった。むろんエンリル自らが同行した。アンズは興奮を隠せない様子で、エンリルもまた、アンズがイギギであることをつい忘れてお互い打ち解けた。そうして楽しんでいるうちに、ついにエンリルは城の塔がある最上級にあるチェンバーへとアンズを案内した。
エンリルはその部屋の前に立っている護衛兵にその部屋の扉を開けるように命令した。厳重に保管されている箱の中からエンリルは「運命の石板」を取り出しアンズに見せた。エンリルは自慢話をしながら、アンズがどう反応するか見てみたかった。そのときエンリルは、ラームの神アンズにアヌンナキの5つの都市計画について打ち明けた。そして当然のこととして、彼に苦境に暮らすイギギたちへの救済措置を約束した。
「運命の石板」は計画を具現化するための、そのシミュレーションをすばやく緻密なレベルまで計算できる。地球とニビル間の、スムーズな運行ルートが計算されるために、アヌンナキにとってはきわめて重要なツールであり、これがないとたとえ彼は神といえど物理的なニーズは満たされない。まさに「打ち出のこずち」のみならず、神さまたちはスーパーコンピューターどころか、それよりも数千倍すばらしい道具をもっていた。ニビル星人がまさに、創造主からさずかった神のツールだった。
運命の石板は、天然石がはめ込まれた石の板であるにもかかわらず、雲のような軽さだった。これを使うと、宇宙のあらゆる星との距離を正確に測ることができた。またこれは一瞬にして目的地に着くことができるタイムジャンプには欠かせない方程式が埋め込まれていたのだった。
エンリルは、秘密の部屋に篭って石板と向い合っていることが多かった。その石板に秘められた威力につい彼は圧倒された。
ところで、アンズがイギギのリーダーとなった理由は、彼がただ優秀な操縦士というだけではなく、アンシャガルの血を引く皇子だったからである。それもあって、アンズはエンリルに対して、常にライバル意識があった。彼はエンリルの自慢話を黙って聞いていたが、つまり表向きは誠実な家来を装いながらも、エンリルのポストを今か今かと常にその隙を狙っていた。そして、当然のこととして、「運命の石板」を奪いたいと思った。
(運命の石板さえ手に入れば、イギギだけではなくアヌンナキを支配することも朝飯前にちがいない・・・)
運命の石板の場所を知ったアンズはつぶやいた。
そのころになるとアヌもエンリルと同じように、よりダイレクトでニビルと地球間を往復できるルートを望んでいた。そうなると、ニビルに金を早く届けられるだけではなく、イギギとの問題も生まれない。そのためにはまず宇宙観測所が必要で、そこで金を確実にニビルに送り届けるという、重大な任務を背負っていた。しかしそれ以外はエンリルも、「運命の石板」に秘められた、あらゆる可能性を探ることに没頭した。
(今、「運命の石板」によって確実に、ラームの役割が終わろうとしている・・・)
とエンリルは心の中でそう希望を抱いていた。
運命の石板を奪い去ったアンズ--------------------------------------------------------------------------
アンズの心の中は邪な考えで一杯になった。アンズは王子の中の王子であり、天空と地球の指示系統を掌握し、エンリルから権限を取り上げようと目論んでいた。疑念の無いエンリルはアンズを聖域の入り口に立たせておき、聖域を離れ、泳ぎに出掛けた。ここぞとばかりに、アンズは“運命の石板”を奪い、“空の部屋”で飛び去った。“着陸場所”には、謀反(むほん)を起こしたイギギが彼を待っていた。彼らは、アンズが地球とラームの王であることを宣言する準備をしていたのである。聖域では輝きが衰え、ブンブンという音が静かになっていた。 アンズは、「運命の石板があればもう大丈夫。アヌンナキの腰ぬけどもに渡してたまるものか!」と盗んだ石板をシェムに積んで、シナイ半島の山々の上空を逃亡していた。彼は隠れ場所を探そうとした。
エンリルの息子ニヌルタのアンズ退治------------------------------------------------------------------
この落ちるアンズの話は、ギリシャ神話“イカロスとダイダロス”の原型となる。
【アヌンナキでの話】
エンリルらはアヌに助言を求め、石板を取り戻すこととなった。ニヌルタが母ニンマーにけしかけられ、反逆者に立ち向かう任務を負った。アンズは石板を持っているため、自分は無敵だと思っていた。ニヌルタは“稲妻の矢”をアンズに向けたが、矢はそれた。戦闘は膠着状態となり、エンキが助言した。「“つむじ風”で嵐を起こし、粉塵(ふんじん)でアンズの顔を覆い、彼の“空の鳥の羽”を逆立てるのだ!」
エンリルはティルル(ミサイル)を造り、「“嵐を起こす武器”に取り付け、翼と翼が近づいた時、撃て!」と指示した。ニヌルタはエンキの助言に従ってミサイルを放ち、アンズは地上に落下した。そして、アンズを捕虜とし、石板を取り返した。反逆していたイギギらは降参した。
なお、この部分はシュメール神話では次のように記述されている。翼が墜ちたズウがアンズである。
【シュメール神話】
ある時、エンリルがプールで水浴びしている最中に、ズウと呼ばれる者が、王であることの証である「神々」と人間の運命を定めた運命表“運命の平板”を奪った。ズウはムウ(空飛ぶ機械)で遠くの場所に隠れた。「神々」は緊急会議を開き、ズウを逮捕して処刑することを決定した。(中略)ニヌルタは任務に就いた。矢をズウに放ったが、ズウは“運命の平板”を持っていたので、矢はズウに接近することができなかった。そこで、エンキが指示した。チルルム(ヘブライ語でミサイル!)を撃ち込め、と。チルルムは命中し、ズウの翼は墜ちた。ズウは逮捕され、“運命の平板”はエンリルのもとに戻った。
【ギリシャ神話のイカロスの話】
ダイダロスはイカロスの父で、細工の名人であった。ダイダロスがミノス王のためにラビュリンス(迷宮)を造った。ダイダロスは後にミノス王から見放され、息子のイカロスと共に、ある塔に閉じ込められてしまった。
その塔を抜け出すために、鳥の羽を集めて、大きな翼を造った。大きい羽は糸でとめ、小さい羽は蝋(ろう)でとめた。翼が完成した。二人は翼を背中につけた。父ダイダロスは、息子のイカロスに言う。
「イカロスよ、空の中くらいの高さを飛ぶのだよ。あまり低く飛ぶと霧が翼の邪魔をするし、あまり高く飛ぶと、太陽の熱で溶けてしまうから。」
二人は飛んだ。農作業中の人々や羊飼いたちが二人の姿を見て、神々が空を飛んでいるのだと思った。イカロスは調子に乗ってしまった。父の忠告を忘れ、高く、高く飛んでしまった。太陽に近づくと、羽をとめた蝋(ろう)が溶けてしまった。イカロスは羽を失い、青海原に落ちてしまった。以後、その海はイカロスと名づけられた。
アンズの裁判-------------------------------------------------------------------------------------------------
その後アンズは、ニップールのアヌンナキの最高裁判所において有罪判決をいい渡された。その裁判は、アヌンナキの最高位にいる7名によって執り行われた。エンリルと配偶者のニンニル、エンキと配偶者のニンキ(前名ダムキナ)、ニンマー、ニヌルタと、エンキの息子マルドゥクという一族のトップによって行なわれた。
当然ながらニヌルタは、アンズの卑怯な行為を主張したが、マルドゥクは不当に扱われているイギギの苦しみについてを訴えながら微妙にアンズに肩をもつような発言をした。けれども結果として、アヌンナキとイギギの両方を陥れようとしたアンズの悪事は厳しく裁かれた。
「アンズに死刑を言い渡す。アンズの遺体はラームに葬ることは許されない。ハゲタカの餌食となるのだ。これで、この一件は終了。」
エンリルはそう皆に言い渡した。アンズに対する死刑宣告にアヌンナキ全員が同意した。しかし、遺体をハゲタカに処分させるのは残酷すぎるとエンキとマルドゥクは主張し、最終的に彼の遺体はラームの洞窟近くに埋葬された。
この作業を終えた後、エンキは息子マルドゥクに向かってこう言った。
「お前はそのままラームに残りなさい!アンズの後を継いで、ラーム(火星)の司令官としての任務に着くのだ!エンリルもそれを望んでいる。」
マルドゥクは、これをある程度予感していたので、素直に従い父に別れを告げた。
処刑されたアンズとその後--------------------------------------------------------------------------------
アンズが死刑されたのは、アヌンナキが地球に定住してから25番目のシャル(地球時間で9万年)が過ぎようとしていたころだった。裁判により、アンズは殺害光線(レーザー)により処刑された。同じ先祖の種子を受け継ぐアラルの横に埋葬すること、マルドゥクに遺体を運ばせて彼をラームの司令官とすることをエンキが提案した。エンリルはそれを認めた。
その後、マルドゥクがイギギの不満を抑え、ラームの基地が再び順調に機能を果たすようになるまで、さらに数シャルが経過したが、まだまだ安定期は訪れる気配はなかった。今度は地球のあちこちで、アヌンナキが反乱を繰り広げるようになったからである。
そのころ再びニビル星が太陽系に接近してくる時期だった。ニビル接近につれて地球は日照りに襲われ、十分な食料をアヌンナキの労働たちに配給できなくなった。これが原因でアヌンナキ労働者の反乱はさらに本格的になっていった。このパターンは残念にも現在の地球も受け継いでいて、まったく変わりはない。ニビル星とバイナリースター(伴星)であるかぎり、地球の人間も彼らと同じような道を辿る運命にあるのかもしれない。
やがて、アヌンナキの指導者や労働者階級が水面下で組織を形成し、アヌ一族に刃向うようになった。またしても、エンリルにとって頭の痛い災いが降りかかってきた。
裁判にかけられたエンリル--------------------------------------------------------------------------------
イナンナは語る。
「あの出来事は、アヌンナキにとっても決して忘れることができません。それは灼熱の太陽が降り注いでいた真夏のことでした。」
エンリルはある時、レバノン杉に囲まれた場所にある城から森の中を散歩していた。そのあたりにはニンマーが創立した病院があり、その辺一帯の谷間を彼女は「シュルバク」と名づけた。低地には大きな湖が広がっていた。その畔に病院は建っていた。
アヌンナキへの看病が目的で、ニビルから地球にやってきたニンマーと一緒に地球に来た美しい乙女の看護婦たちがいた。彼女たちは夏の暑い盛りにはよく、湖畔に着ものを脱ぎ捨てて水浴びをした。
ちょうどエンリルがそのあたりにさしかかったときも暑い夏の盛りで、彼女たちは笑いながら水浴びをしていた。エンリルは足を止めるとその光景に見とれ、身を木陰にひそめてじっと眺めていた。舞を踊るように水の中で戯れるまさしくニビルの女神たちの姿は、彼をほとんど陶酔状態にしてしまうほどの光景だったので釘づけになってしまった。
そのとき、一人の乙女が白い砂浜に上がってきた。その乙女は、「スド」といい、ニンマーが特に可愛がっている看護婦であるが、年齢はなかでもいちばん若く、まだ幼さを残していた。もちろんエンリルは全裸のスドに心を奪われたまま、総司令官という立場も忘れて彼女に近づいていった。湧きあがる感情をどうにか抑えようとして、彼は何気ないふりをして彼女に近づいた。
とっさのことにスドは悲鳴をあげそうになった。慌ててなんとか近くに生えていた大きな葉で身を隠したが、硬直したままだった。そんな彼女をなだめるように見ながら、エンリルは彼女の前にひざまづいた。そして優しい声で自らの名を名乗り出ると、彼女の手を取ってキスをした。
「怖がらないでおくれ。ニンマーは私の妹さ。私の城には、ニビルのとっておきの果実酒がある。さあ、ドレスを身につけなさい。一緒に飲むのを付き合っておくれ?」
しばらくのあいだスドは茫然としていたが、徐々に和らいでいった。
(エンリル様って、怖い方だと思っていたけれど・・・こんなチャンスはまたとないかもしれない・・・)と、スドは思った。
エンリルの優しくて落ち着きがあり、なんとなく高貴さが漂う話し方にスドは魅力を感じていたが、エンリルのほうはすっかり自分が地球総司令官の立場にいることなどすっかり忘れ、彼女にひたすら惹かれていった。スドはというと、ニンマーが、「アヌンナキの男神には、くれぐれも注意するように」と、常に彼女たちに忠告していた事も無視して、エンリルについて行った。その道のりで彼らは楽しそうに会話し、レバノン杉の森をぬって、エンリルの城まで歩いてやってきた。
いつのまにかエンリルは、スドの手をしっかりと握っていた。城の中に導かれたスドは、窓からの景色が美しい部屋に案内された。エンリルは彼女に、豪華な椅子に腰をかけるように勧め、特別なニビルの果実酒を取り出し、彼女に注いだ。
(なんて、美味しいんだろう!ニビルを離れてから、こんな味は忘れていたわ・・・)
スドはそんなことを思いながら、たちまちグラスを空にした。するとたちまち湧き上がるような幸福感に満たされた。そして次の瞬間には、目を閉じてぐったりと彼女は椅子に倒れかかった。
彼女が目を覚ましたときには、事のすべてが終わっていた。スドはわめき泣きながら、エンリルの城を去った。まだほんの乙女にすぎないスドが受けた打撃は大きかった。この出来事で彼女は、エンリルの子を身ごもってしまった。
(このことはいずれ、ニンマー様にもバレてしまう・・・いったい私はどうすればいいの?)
スドは思い悩んだ末、すべてをニンマーに打ち明けることにした。その時点では彼女も、これが一族の大騒動を引き起こすことになるとは思ってもみなかった。
ニビル星人の妊娠期間は地球時間に換算すると約9日間という至って短縮妊娠であり、分娩も人間のように苦しみを伴わない。それにしても、スドからこの出来事を打ち明けられたニンマーは、エンリルを許せなかった。彼に対する思いがまだ残っていたこともある。なにしろ彼らは、「ニヌルタ」という息子までいる仲である。ニンマーはこの事件に対していくら冷静に対処しようとしても怒りが収まらなかった。
「ふしだらな男!強姦(ごうかん)は重罪よ。この犯罪行為がバレないとでも思ってるのかしら!」
ニンマーは哀れなスドを抱きしめると、ニンマーの胸の中でただすすり泣きするだけだった。
「もう泣くのはおやめ、スド。必ずあなたが納得する措置をとります。悲しむのはやめて、安心して元気な子を産むのです!」
ニンマーは自ら自身を落ち着かせてスドにそういった。
「あのとき、私が兄にあげたあの薬草エキスのせいでこんなことが起こったのかしら・・・!?」
ニンマーはエンリルだけを責められない気持ちも少し感じていた。しかし結論をいうと、この事件によってエンリルはアヌンナキ最大事件として裁判にかけられることになる。
ニビル星のトゥルバの木-----------------------------------------------------------------------------------
イナンナは語る。
「エリキシル(特効薬)の力を借りることは、ニビルの女神たちにとってごく普通のことで、その力を借りて男たちを誘惑するのです。これに関しては、私たちニビル星人の女たちには、まったく悪意のかけらもなく、ただ無邪気な戯れにすぎません。けれども、度が過ぎるのだけは許されないのです。だから、あのときのエンリルのように、レイプは私たちにとってどれほどの重罪であるか、その頃から問われていたのです。地球の男性の皆さんにもぜひこれをしっかりと理解してもらいたいのです。」
ニンマーは、デルムンの丘に建てた地球初の病院で、金の発掘現場で怪我を負ったアヌンナキたちを熱心に看病した。その上彼女は、アヌンナキらが地球という異なる環境の中でどうやって生き延びていくかという研究に力を注いだ。彼らが地球環境に馴染むことができるように、ニンマーはさまざまな薬草を調合しては、彼らに与える地上初の薬剤師であることは確かである。
そのころの地球はまだ、さまざまな危険が満ちていた。すっぽりと宇宙塵(ダスト)に包まれた星だった。ニンマーは、さっそく地球の大気圏を調べた。それからその星の住民のDNAをニンマーは、さっそく地球の大気圏を調べた。それからその星の住民のDNAを研究した。彼女もエンキに負けず、遺伝子学にかけてはすばらしい博士であり、そんな姿の女神をあまりだれも想像できない。
彼女の遺伝子に関する詳しい発見があったために、アヌンナキはニビル星以外の星で暮らせることができたといっても決しておおげさではない。ニンマーはまた、種(スピーシ)がどのようにして進化していくかに関心があった。さらにいえばニンマー(ニンフルサグ)は、アヌ一族のDNAに秘められた謎を明かすことに心を捧げた。
ニビル星から地球に移住するアヌンナキがニビルにいる者と同じように、どうしたら若々しさを保つことができるか、それについての研究に彼女は捧げていた。ニンマーが作ったエリキシル(特効薬)は、金の発掘現場で過酷な肉体労働を課せられているアヌンナキに配給された。それは、地球特有の病原菌やウイルスに打ち勝つことができるように、ニビルから取り寄せた薬草で配合されたものだった。
その薬は、エンキから特別にもらったme(メ)の攪拌機(かくはんき)を使ってニンマーは作った。このエリキシル(特効薬)を、ニンマーはいつも腰にかけているポーチの中にしまっておいた。いざというときには、それを必要とする者に与えた。エンキは、その攪拌機(かくはんき)のme(メ)以外にも、愛する妹のために幾つかのme(メ)をニンマーに贈ったという噂は、アヌンナキの間でも生き続けている。
さて、そのニンマーが作る特効薬のもとは、ニビル星のトゥルバという木である。地球と同じようにニビルにも木がある。その木からは赤いリンゴのような実がなり、その果実には毒がある。よって彼らはそれを食べない。しかし、その「トゥルバの樹」は、季節を問わずその大きな赤い見事な花を咲かせている。だからニビル星ではそれを観賞し、楽しむ樹としている。
トゥルバは大きな大木で、森の中に育つ。その太い幹には、たいてい濃い紫色のツタが周囲には絡んでいる。それがトゥルバの樹の赤い花の色と妙につり合いを見せ、なんともいえない調和を醸し出すので、ニビル星人はトゥルバの樹を好み、森に出る。トゥルバは、ニビル星の森ならどこにでも見つかり、また丈夫に生息している木である。
ニンマーは、このトゥルバの実から搾った汁を発酵させ、そして、ツタの幹から採れる樹液を混ぜ合わせた。その混合物をあの攪拌機(かくはんき)にかけると、ニンマーのご自慢のエリキシル(特効薬)が完成する。その薬は摂取する量によって、様々な効果が現れた。量によっては幻覚を起こさせることもある。意識を失わせることもできる薬なので、ニンマーはほんの少しでも量を間違えないように常に気をつけていた。
このエリキシル(特効薬)によって、深い眠りから永久に目覚められなくなることもある。それは大抵の場合、この上ないほどの幸福感を伴う幻想夢に次から次へと誘う、きわめて危険な薬ともなりうる。
そんなパワフルなエリキシル(特効薬)を、エンリルはニンマーからもらっていたので、それを酒に混ぜてスドに飲ませてから、強姦したという罪の重さにニンマーは責任も感じていた。しかしながらニンマーは、どうしてもエンリルを許すことができなかった。
(エンリルは、許されない罪を犯した。この事件はきっと宇宙連合のソ・ラーラさまは知るはず。どちらにしても兄のエンリルは裁かれるべきなのです・・・)
個々の自由意志を無視する「強姦(レイプ)」は、プレアデス星やニビル星では堅く禁じられている行為である。それは本来は、地球に移住したアヌンナキも当然、女の許されない星「ラーム(火星)」のイギギたちの間でも同じことで、許されないことなのである。
やがて文明化とともに地球人にもこの罪の重さは伝えられた。これは宇宙連合に所属する存在たちが定めた、宇宙で統一されている掟であるということを彼らはたしかに知っていた。
ニンマーはついに、エンリルの卑劣な行為を公にした。それによってエンリルは、裁判にかけられることになった。エンリルは自分のヘマは認めたがすでに遅すぎた。
この事件が公表されると、たちまち普段からエンリルに反感を抱いていたイギギが騒ぎ出した。わざわざラームから駆けつけてきてその裁判に立ち会った。アヌンナキの指導者も含めて、傍聴席に50名もの裁判人が並んだ。
「運命の石板事件」でのアンズに死刑を言い渡したあの七名のアヌンナキたちが前に並んだ。その裁判の結果、エンリルは地球を追放され、操縦士アブガルによってラームに連れていかれた。エンリルはラームの“戻れない土地”といわれている場所に放置された。しかし、操縦士のアブガルは去る前に、エンリルに一言いっておいた。
「ただ罰するためだけの理由で、王であるあなたを偶然ここに残していくのではありません」
とただ彼はそういって、またシェムに乗って去っていった。それから数日間、エンリルは戻れない地を彷徨い歩いた。そして彼はある洞窟に辿りついた。その中で彼は驚くべきものを発見している。
「おお、なんと、やっと見つけたぞ!これはあの噂の「恐怖の武器ガンディバ(核兵器)にちがいない。しかも7機もある。」
明るい声でそう叫んだエンリルは、疲れが吹き飛ぶほど喜んだ。7機のガンディバは、エンキが自分の義理の父であるアラルが生きていたころに、特殊運搬用シェムで2人でラームにニビルから運び込み、その洞くつの中に隠しておいたものである。死刑になったアンズの遺体近くにその洞窟はあった。ラームにある不毛の地の洞窟になら、決して誰にも見つからないだろうとエンキは思ったからだ。
ニップールでは、エンリルの二回目の裁判が開かれた。本人の出席なしにスドの証言だけでそれは執り行われた。内容はいたってシンプルな裁判となった。
「スド、おまえは、エンリルを配偶者として認めるか?」裁判官の質問はこれだけだった。いうまでもなく、背後にはアヌの計らいがあったからで、スドは少しためらったが、「はい」と答えた。
こうして、ニビルの若い女神によってエンリルは救われ、早速、迎えの者たちがラームに迎えに向った。この裁判の取り決めに従ってエンリルはスドを娶(めと)ると約束させられた。エンリルはレバノン杉に囲まれたニップールの自分の城に彼女を迎え入れた。
エンリルは総司令官である自分の面目を取り戻すために、派手な結婚式を開いた。そしてその披露宴では親族だけでなく、もちろん大勢のアヌンナキの労働者たちも招待した。エンキとニンマーは、スドに豪華な金製の記章を贈呈した。
そしてその日からスドはエンリルの王妃として、「ニンリル」“総司令官のレディー”とよばれるようになった。スドはやっと、今までの苦しみから解放された。果たしてこれは、最初から彼女の陰謀だったのか、それとも、純粋無垢な女神に運ばれてきた幸運だったかもしれない。このようなかたちでアヌンナキの主体の神さまであるエンリルとニンリルは結ばれた。そしてあの時スドが辱(はずかし)めを受けて身ごもった子が、イナンナの父ナンナールであった。彼は、初めて地球で誕生したアヌンナキの皇子だった。彼はエンリルとニンマーが生んだニヌルタとは、母違いの弟になる。ニヌルタは、父とニンリルが結ばれる宴の隅のほうで複雑な気持ちになり、遠くから幼い弟のナンナールを見つめていた。
イナンナは語る。
「エリキシル(特効薬)の力を借りることは、ニビルの女神たちにとってごく普通のことで、その力を借りて男たちを誘惑するのです。これに関しては、私たちニビル星人の女たちには、まったく悪意のかけらもなく、ただ無邪気な戯れにすぎません。けれども、度が過ぎるのだけは許されないのです。だから、あのときのエンリルのように、レイプは私たちにとってどれほどの重罪であるか、その頃から問われていたのです。地球の男性の皆さんにもぜひこれをしっかりと理解してもらいたいのです。」
ニンマーは、デルムンの丘に建てた地球初の病院で、金の発掘現場で怪我を負ったアヌンナキたちを熱心に看病した。その上彼女は、アヌンナキらが地球という異なる環境の中でどうやって生き延びていくかという研究に力を注いだ。彼らが地球環境に馴染むことができるように、ニンマーはさまざまな薬草を調合しては、彼らに与える地上初の薬剤師であることは確かである。
そのころの地球はまだ、さまざまな危険が満ちていた。すっぽりと宇宙塵(ダスト)に包まれた星だった。ニンマーは、さっそく地球の大気圏を調べた。それからその星の住民のDNAをニンマーは、さっそく地球の大気圏を調べた。それからその星の住民のDNAを研究した。彼女もエンキに負けず、遺伝子学にかけてはすばらしい博士であり、そんな姿の女神をあまりだれも想像できない。
彼女の遺伝子に関する詳しい発見があったために、アヌンナキはニビル星以外の星で暮らせることができたといっても決しておおげさではない。ニンマーはまた、種(スピーシ)がどのようにして進化していくかに関心があった。さらにいえばニンマー(ニンフルサグ)は、アヌ一族のDNAに秘められた謎を明かすことに心を捧げた。
ニビル星から地球に移住するアヌンナキがニビルにいる者と同じように、どうしたら若々しさを保つことができるか、それについての研究に彼女は捧げていた。ニンマーが作ったエリキシル(特効薬)は、金の発掘現場で過酷な肉体労働を課せられているアヌンナキに配給された。それは、地球特有の病原菌やウイルスに打ち勝つことができるように、ニビルから取り寄せた薬草で配合されたものだった。
その薬は、エンキから特別にもらったme(メ)の攪拌機(かくはんき)を使ってニンマーは作った。このエリキシル(特効薬)を、ニンマーはいつも腰にかけているポーチの中にしまっておいた。いざというときには、それを必要とする者に与えた。エンキは、その攪拌機(かくはんき)のme(メ)以外にも、愛する妹のために幾つかのme(メ)をニンマーに贈ったという噂は、アヌンナキの間でも生き続けている。
さて、そのニンマーが作る特効薬のもとは、ニビル星のトゥルバという木である。地球と同じようにニビルにも木がある。その木からは赤いリンゴのような実がなり、その果実には毒がある。よって彼らはそれを食べない。しかし、その「トゥルバの樹」は、季節を問わずその大きな赤い見事な花を咲かせている。だからニビル星ではそれを観賞し、楽しむ樹としている。
トゥルバは大きな大木で、森の中に育つ。その太い幹には、たいてい濃い紫色のツタが周囲には絡んでいる。それがトゥルバの樹の赤い花の色と妙につり合いを見せ、なんともいえない調和を醸し出すので、ニビル星人はトゥルバの樹を好み、森に出る。トゥルバは、ニビル星の森ならどこにでも見つかり、また丈夫に生息している木である。
ニンマーは、このトゥルバの実から搾った汁を発酵させ、そして、ツタの幹から採れる樹液を混ぜ合わせた。その混合物をあの攪拌機(かくはんき)にかけると、ニンマーのご自慢のエリキシル(特効薬)が完成する。その薬は摂取する量によって、様々な効果が現れた。量によっては幻覚を起こさせることもある。意識を失わせることもできる薬なので、ニンマーはほんの少しでも量を間違えないように常に気をつけていた。
このエリキシル(特効薬)によって、深い眠りから永久に目覚められなくなることもある。それは大抵の場合、この上ないほどの幸福感を伴う幻想夢に次から次へと誘う、きわめて危険な薬ともなりうる。
そんなパワフルなエリキシル(特効薬)を、エンリルはニンマーからもらっていたので、それを酒に混ぜてスドに飲ませてから、強姦したという罪の重さにニンマーは責任も感じていた。しかしながらニンマーは、どうしてもエンリルを許すことができなかった。
(エンリルは、許されない罪を犯した。この事件はきっと宇宙連合のソ・ラーラさまは知るはず。どちらにしても兄のエンリルは裁かれるべきなのです・・・)
個々の自由意志を無視する「強姦(レイプ)」は、プレアデス星やニビル星では堅く禁じられている行為である。それは本来は、地球に移住したアヌンナキも当然、女の許されない星「ラーム(火星)」のイギギたちの間でも同じことで、許されないことなのである。
やがて文明化とともに地球人にもこの罪の重さは伝えられた。これは宇宙連合に所属する存在たちが定めた、宇宙で統一されている掟であるということを彼らはたしかに知っていた。
ニンマーはついに、エンリルの卑劣な行為を公にした。それによってエンリルは、裁判にかけられることになった。エンリルは自分のヘマは認めたがすでに遅すぎた。
この事件が公表されると、たちまち普段からエンリルに反感を抱いていたイギギが騒ぎ出した。わざわざラームから駆けつけてきてその裁判に立ち会った。アヌンナキの指導者も含めて、傍聴席に50名もの裁判人が並んだ。
「運命の石板事件」でのアンズに死刑を言い渡したあの七名のアヌンナキたちが前に並んだ。その裁判の結果、エンリルは地球を追放され、操縦士アブガルによってラームに連れていかれた。エンリルはラームの“戻れない土地”といわれている場所に放置された。しかし、操縦士のアブガルは去る前に、エンリルに一言いっておいた。
「ただ罰するためだけの理由で、王であるあなたを偶然ここに残していくのではありません」
とただ彼はそういって、またシェムに乗って去っていった。それから数日間、エンリルは戻れない地を彷徨い歩いた。そして彼はある洞窟に辿りついた。その中で彼は驚くべきものを発見している。
「おお、なんと、やっと見つけたぞ!これはあの噂の「恐怖の武器ガンディバ(核兵器)にちがいない。しかも7機もある。」
明るい声でそう叫んだエンリルは、疲れが吹き飛ぶほど喜んだ。7機のガンディバは、エンキが自分の義理の父であるアラルが生きていたころに、特殊運搬用シェムで2人でラームにニビルから運び込み、その洞くつの中に隠しておいたものである。死刑になったアンズの遺体近くにその洞窟はあった。ラームにある不毛の地の洞窟になら、決して誰にも見つからないだろうとエンキは思ったからだ。
ニップールでは、エンリルの二回目の裁判が開かれた。本人の出席なしにスドの証言だけでそれは執り行われた。内容はいたってシンプルな裁判となった。
「スド、おまえは、エンリルを配偶者として認めるか?」裁判官の質問はこれだけだった。いうまでもなく、背後にはアヌの計らいがあったからで、スドは少しためらったが、「はい」と答えた。
こうして、ニビルの若い女神によってエンリルは救われ、早速、迎えの者たちがラームに迎えに向った。この裁判の取り決めに従ってエンリルはスドを娶(めと)ると約束させられた。エンリルはレバノン杉に囲まれたニップールの自分の城に彼女を迎え入れた。
エンリルは総司令官である自分の面目を取り戻すために、派手な結婚式を開いた。そしてその披露宴では親族だけでなく、もちろん大勢のアヌンナキの労働者たちも招待した。エンキとニンマーは、スドに豪華な金製の記章を贈呈した。
そしてその日からスドはエンリルの王妃として、「ニンリル」“総司令官のレディー”とよばれるようになった。スドはやっと、今までの苦しみから解放された。果たしてこれは、最初から彼女の陰謀だったのか、それとも、純粋無垢な女神に運ばれてきた幸運だったかもしれない。このようなかたちでアヌンナキの主体の神さまであるエンリルとニンリルは結ばれた。そしてあの時スドが辱(はずかし)めを受けて身ごもった子が、イナンナの父ナンナールであった。彼は、初めて地球で誕生したアヌンナキの皇子だった。彼はエンリルとニンマーが生んだニヌルタとは、母違いの弟になる。ニヌルタは、父とニンリルが結ばれる宴の隅のほうで複雑な気持ちになり、遠くから幼い弟のナンナールを見つめていた。
(つづく)