手乗り猫はじめました

手のひらサイズのリアルな猫人形製作記
猫人形工房Progress Unlimitedのブログ

初オーダー作品 完成

2014年01月31日 21時56分35秒 | 初オーダー作品

半年以上かかって、ようやく完成しました。

以前、叔母の家で飼われていたサリーちゃんの羊毛フェルト人形です。

大きさは床から耳の先端までが約19cm、重量は約157gです。

 

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本物のサリーちゃんの画像です。

 

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名前は「サリー」と女の子っぽいですが、去勢されていないれっきとしたオス猫です。

オス猫には珍しくとても子煩悩で、自分の娘をとても大事にしてずっと一緒にいたそうです。

 

 

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屋外飼育されていたそうで、夏毛と冬毛で別人(別猫?)のように顔が変わります。

夏毛は顔がほっそりです。

 

 

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冬毛だとモサモサで太って見えますね。

季節によって顔が変わるので、預かった写真の中から一番男前に見える夏毛と冬毛の中間の頃をモデルにする事にしました。

交通事故で左後足を切断したそうで、画像では分かりにくいですが左後足はありません。

しかし、叔母の要望で人形には左後足も作ってあります。

また、「あまりデブにはしないで」という事も言われていたので、人形は本物よりもちょっとスリムです。

製作途中その4でトリミングして以降も、ヒゲの素材が見つかるまでの間、植毛モレへの追加を50時間程行い、顔も少しは猫らしくなりましたが、正直、もう少しモデル猫のサリーちゃんに似せたかったところです。

初のオーダー製作の僕では、これが限界でした。

将来的には娘ネコちゃんの人形も製作し、生前と同じように寄り添うように並べて飾れるようにする予定なので、同じ白猫でもそれぞれの区別がつくように、オス猫らしさが出るように気を付けて製作しました。

上の画像にもありますが、カゴに入るのが好きだったそうなので、適当なサイズのカゴを見つけてきました。

模型用のケースに入れて納品です(まだ養生のビニールがかかったままです)。

お約束の手乗り写真です。


初オーダー 製作途中 その5 細部編

2014年01月26日 17時34分55秒 | 初オーダー作品

いよいよ完成が近づいてきました。

細かな部分を仕上げていきます。

〇首輪

モデルの猫さんは首輪をしていたので、それを作ります。

お借りしている資料写真ではピンク色のノミ取り首輪のように見えます。

恐らくゴムのような素材だと思うのですが、ゴムで製作するには、型を起こしたりしなければならず、材質の再現は断念しました。

そこでフェレットやリスなどの小動物用の首輪を流用しようと思いましたが、ネットで探してもサイズ的に合いそうな物がありません。

仕方がないので革で一から作ろうと思い、近所の手芸店に行きますが、ピンク色の革はありませんでした。

せめて色だけは近い物にしたいのですが、良い材料が無く途方に暮れていた時に、100均でこんなのを見つけました。

 

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帽子が風で飛んでいってしまわないようにする物のようです。

良い感じの色だったので、これを流用します。

必要な幅は5mmなのですが10mmもあるので、一度解体します。

 

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接着されている所を全部剥がし、

 

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必要な幅にカットしてから再接着します。

長さの余った部分でバックル部分も作り、鈴も付けて完成です。

 

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首輪を装着する部分は、植毛した毛を抜きました。

 

 

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装着するとこんな感じです。

 

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〇ヒゲ

今回も実際の猫のヒゲのように、先端が細くなっていくテーパー加工のされている物を使用しました。

保管してあった今は亡き愛猫のヒゲを採寸すると、最も太い所で0.3mmでした。

今回製作している猫人形は1/2サイズですので、太さ0.15mm、長さ50mm以上の物を探すのですが、なかなか見つからず、ヒゲの材料の入手に2ヶ月も掛かってしまいました。

材質はPBTという合成繊維で、先端がテーパー加工されていて筆や刷毛、有名なところでは歯ブラシ(極細毛)なんかに使われています。

0.15mmだと大体刷毛になると思うのですが、最近は本物の動物繊維のようにウネウネと波加工されているものが主流のようで、ストレートな物を探すのに苦労しました。

しかし、先端が消えるように細くなっていると、とても雰囲気が良いです。

そんな細かな所を気にする方は多くはないかもしれませんが、こだわっていきたいです。

爪でしごくとカーブしますので、重力で垂れ下がっている感じに曲げて接着します。

 

 

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〇耳

猫の耳の縁には皮が二重になって袋状になった部分があります。

通称“耳袋”、正式には縁皮嚢(えんぴのう)と言うそうです。

今回はそれも再現してみました。

 

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耳毛には羊毛のロムニー(トップ)を使いました。

直毛に近く、コシがあって耳毛には良い感じだと思います。

 

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〇ツンツンした毛

前回、猫の毛には上毛と下毛があるという事を書きましたが、逆光の時に上毛が飛び出してツンツンしているのがよくわかることがあります。

そういうのを再現してみたかったのですが、画像ではわかりにくいですね。スミマセン。

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初オーダー 製作途中 その4 トリミング編

2013年10月12日 22時48分53秒 | 初オーダー作品

バリカンや電動トリマーを使用してトリミングを進めると、一部に身体のラインのおかしな所が出てきます。 

そういう所には大抵、植毛のし忘れ、植毛モレがあります。

下の画像、赤丸の部分に不自然な影があります。

 

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こういう所の毛を掻き分けると、必ず植毛モレが見つかります。

 

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植毛モレしている部分はボリュームが無くなって凹んでしまうので、身体のラインがキレイに出ません。

 

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↓植毛モレ部分に植毛を追加。

 

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トリミングしたら影は消えました。

 

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延々とコレを繰り返すわけですが、

有るわ、有るわ、何故、こんな大きな面積を見落としたんだろうと思うくらいの大きな物がそこら中に。

違和感を覚える所を掻き分けては植毛をし、掻き分けては植毛をし、を繰り返します。

周りの毛を掻き分けながら植毛するので、普通に植毛するよりも時間がかかります。

植毛モレはほぼ退治できたのですが、今度は別の問題が。

密度が上がった分、フワフワ感が無くなってしまったのです。

なんか柴犬みたいな感じに毛がびっしり生えていて、毛先に柔らかさがありません。

猫毛というように、猫はやはり毛が柔らかい感じでなければいけません。

そこで、すきバサミを使って毛の量を減らしました。

これはホームセンターで買ったペット用ですが、100均の散髪用品の所なんかにもあります。

 

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折角植えた毛を切ってまた減らすのは二度手間の様にも思えますが、

根元から全て切ってしまうのではなく、毛先から3~5mmだけをすく訳です。

そうすると切られた短い毛が長い毛を支えるので、ペシャンコに潰れにくいフワフワの毛が出来るのです。

実際、本物の猫の毛も長くて硬い上毛と、短くて柔らかな下毛の二重構造(正確には下毛が2種類の三重構造)なんだそうです。

更に全体を均一にすくのではなく、メリハリをつけてすけば、

縞状に見える毛の密度のムラも再現できます。

↓背中の部分の縞が見えるでしょうか?

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これで一応、トリミングは終了です。

次は耳毛などの細かな部分と、更にモデルの猫さんに似せる仕上げ作業です。


初オーダー 製作途中 その3 油粘土

2013年09月30日 23時13分47秒 | 初オーダー作品

頭部から植毛を開始したのは、植毛後の頭部に合わせて身体のバランスを調整する為だった訳ですが、もう一つ、顔がそっくりに作れれば、その後の作業のモチベーションも上がり、製作もはかどると思ったのです。

ところが、モデルの猫さんの写真を見ながら植毛済みの頭部をトリミングしてみたのですが、全然似てこないのです。

まぁ、いきなり初心者の僕が似せられないのは仕方がないとして、困ったことに何処を切ったり、何処のボリュームを追加すれば良いのかが全く見えてこないのです。

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闇雲に切ったり植えたりしても似てくるはずもなく、その労力もバカになりません。

いじる箇所が分からないのは、モデルの猫さんの顔を立体として理解できていないから、もっと言えば猫そのものの形をまだ完全に理解できていないからです。

そこで、羊毛フェルトを知るきっかけとなった有名な猫人形作家の先生のHPやブログで見た油粘土での造形に挑戦し、モデル猫さんの顔の形の把握から始めてみる事にしました。

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適当な物が無かったので、ロートをひっくり返して台にしています。

油粘土は重いので、しっかりとした台がないとすぐに倒れてしまいます。

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粘土だと盛ったり削ったりが容易ですし、油粘土は固まらずいつまでも柔らかいのでじっくり作業できます。

これを作ってから、なんとなくですが、どこに手を加えれば良いのかが分かるようになってきました。

やっぱり、素晴らしい作品を作る方が薦めている勉強方法というのは、どんどん真似てみるべきだと思いました。


初オーダー 製作途中 その2 植毛編

2013年09月23日 22時55分18秒 | 初オーダー作品

ベースが完成し植毛を開始しようと思ったのですが、

手元にあるアルパカ(白)が10gしかなく、途中で使い切ってしまう事に気が付きました。

その時点で新たな毛を注文すると、天然の素材ですから微妙に色が違ってしまう可能性があります。

そこで手元の10gは使用せず、新たに100gを群馬の羊毛専門店「羊の工房パオ」さんに発注しました。

迅速に手配して頂き、植毛用の毛が手元に届き、作業を開始したのが8月10日の事でした。

それから1ヶ月以上が経ち、ようやく第一段階の植毛が終わりました。

帯状疱疹で途中1週間程作業が中断していましたが、植毛だけで100時間以上が掛かってしまいました。

初の20cmクラスの作品で探り探り作業していた所為もありますが、時間が掛かりすぎです。

これではオーダーを受けられるようになったとしても、とても値段が高くなってしまいます。

もっと手早く作業できる様に改善が必要ですね。

今回は白猫という事で、できるだけ純白に近くなるよう、刺しにくくなる事はガマンして、羊毛をブレンドする事なくアルパカ100%で植毛しました。

まず、最初に頭から植毛しました。

植毛後の頭部の大きさを確認してから、植毛前に胴体の太り加減のバランスを調整する為です。

下の画像の状態までで約10時間、その後、耳部分の植毛や植毛モレ部分への追加など頭部だけでトータル20時間くらい掛かりました。

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シッポの植毛は8時間くらいです。

細いので簡単そうに思いますが、全周囲なので展開すると結構な面積になります。

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植毛途中

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指や肉球の周りも植毛します。

顔やこういう毛の短い所は、より密に植毛する必要があり時間が掛かります。

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前足の肘から下だけで、片側1213時間掛かりました。

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植毛の間隔は2.5~3mmくらいです。

顔や指などの毛の短い部分はこれよりも密に、背中などの毛の長い部分は荒くしています。

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お腹以外の植毛(第一段)が終了。

この後、トリミングと植毛モレしている所への追加植毛を行います。

トリミングした時点でモデルの猫さんよりも痩せていた場合、切開して羊毛を詰めて太らせる為にお腹は最後に植毛する予定です。

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今回は各ブロックの植毛が完了する毎に、大雑把にトリミングをしておきました。

というのは、不必要に長いままの毛を残しておくと、フェルト化しにくいアルパカと言えども絡まって固まってしまうからです。

ある静電植毛の会社のHPで見たのですが、毛は細いほど、また、長いほど絡まりやすいそうです。

植毛前と比較。

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トラ猫4兄弟と記念撮影

親子と言うには、少し大人猫が大きすぎましたね。

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つづく