2012年10月13日に、ウチで飼っていた猫のシロが、8ヶ月の闘病生活を経て亡くなりました。
享年18歳でした。
長い間ずっと一緒にいた所為でしょうか、なかなか寂しさが消えず、居ないとわかっていてもつい目が姿を探してしまいます。
例え、作り物であってもシロの姿をしたものが欲しいと思うようになりました。
そこで、一般に販売されている白猫の置物やフィギュアを買って、それにウチのシロの毛の模様を書き込もうと思い、そのベースとなる製品を探してみました。
ところが、リアルな造形で、猫の美しい姿を再現している希望にあった物がなかなか見つからないのです。
そんな時に「リアル」「猫」「人形」というキーワードが引っ掛かり、ある有名な猫人形作家の方のHPにたどり着き、そこで初めて羊毛フェルトという物を知りました。
本物かと思うようなすばらしい出来ばえの作品と、その方が出されている本の帯にある「初心者でも楽しく作れる」という言葉を見て「コレだ!!」と思いました。
しかし、羊毛(原毛)なんて触ったこともないですし、そもそも猫の姿を作るだけのデッサン力が僕にあるかどうかもわかりません。
羊毛フェルトの道具や材料を揃えようか迷っていると、たまたま近所にあるダイソーで画像のような羊毛フェルトのキットを見つけました。
これならダメでも大した出費ではないので購入しました。
とりあえず羊毛フェルトがどんなものなのか知りたくて説明書を読みながら小さなボールを作ってみました。
「なるほど、刺すと凹んで固まっていくのか」とチクチクしていると、なんとなく猫の顔のようになってきました。
するともう止まらなくて、どんどん羊毛を足して身体も作ってしまいました。
途中の画像がこれ1枚しか残っていないのですが、耳が付いてキットに付属のソリッドアイを入れると、それはもう可愛くてかわいくて。
しばらくニヤニヤして眺めていたのですが、可愛い猫ではあってもウチのシロにはあまり似ていないのです。
そこが段々不満になってきて、更にチクチクを繰り返します。
しかし、羊毛フェルト超初心者の僕が第1作目でいきなりそっくりに作れるはずがありません。
そこから泥沼が始まりました。
黒一色のソリッドアイがいけないのだと思い、羊毛で目の色を入れてみました。
少し似てきましたが、今度は目力が弱くて魅力半減です。
そこでプラモデルのクルマのライトなんかに使う小さなレンズを、羊毛で入れた目の上にはめてみました。
目力はアップしたものの、今度は目の形が気に入りません。
レンズの所為でものすごくギョロ目になっています。
目の角膜の球面のアールが緩すぎる所為でまぶたが被せにくくてギョロ目になってしまうので、4mmの半球アクリルラインストーンで作り直す事にしました。
ラインストーン裏の銀色を剥がし、PCで目を描いた紙に接着します。
それを入れてみたのですが、今度は左右の目が違う方向を見ていて気持ち悪いのです。
猫の特徴である縦長の瞳孔も、左右で微妙に角度が違ってしまいます。
仕方がないので、左右の目を1枚の紙から切り離さずにつながったままで入れることにしました。
鼻の奥では、目を描いた紙の目と目の間がつながっています。
これを入れる為に顔を大幅に作り直しました。
また、ワイヤーなどの身体の芯を入れずに羊毛だけで作ったので、身体を握って作業していた所為でいつの間にか首が伸びていた事もありました。
いろいろなトラブルもありながら、結局、製作開始から2ヶ月ほどかかってなんとかこんな感じになりました。
まだまだ不満なのですが、他の方のHPやブログを読み、小さい作品は作るのが難しい事を知り、ここで妥協してもう少し大きな作品に取り掛かることにしました。