ご友人への贈り物にと、オーダー依頼がありました。
その内容は、子猫で、三毛猫で、できるだけ大きく、できるだけ安くという内容でした。
もちろん、こういうオーダーもアリです。
ご予算に合うように、サイズや仕様をこちらからご提案致します。
そして今回は、10mmのスワロアイで高さ150mm、植毛無しでの製作になりました。
ポーズ的には、手足を作らなくて済む香箱座りが最も手間が少ないのですが、
サイズ的に大きな物をご希望という事でお座りポーズにし、
製作時間を短縮する裏技を使いました。それは後ほど。
高さ165mm(カゴなし150mm)
前後幅110mm
横幅75mm
重さ71.3g
総製作時間は30時間
内訳は、骨格を含むベースの製作に15.5時間、
メリノでの模様付けや混毛に11.5時間、
ヒゲの植毛に3時間です。
生後2~3ヶ月くらいのメス猫をイメージして作りました。
利発そうな感じにしようと思って作っていたら、少し大人っぽい顔になりました。
そしてこれが時間短縮の裏技、「カゴに隠れる所は作らない」です。
指や肉球の造形は非常に手間がかかりますので、どうしても値段が上がってしまいます。
そこでカゴに収まっているシーンにしました。
底の部分には固定用のネジを受けるアンカーを埋め込んであります。 今回が三毛猫初挑戦だったのですが、 製作するまでは「三毛猫なんて3色でブチ模様を書けば良いだけなので楽勝だ」と思っていたのです。 ところが、製作にあたっていろいろ画像検索や猫本で調べてみると、 ほとんどの場合、単なる3色ではなく、シマ三毛になっているんですよね。 つまりトラ柄+もう1色になるわけです。 茶トラに黒が追加されるパターンとキジトラに茶が追加されるパターンがあるようで、 毛色は4色、今回のように黒の部分にもシマがある場合だと最低でも5色必要です。 実際は茶のベース色をグラデーション用に2色追加し7色での製作です。 全然、楽ではありませんでした。 8色混毛し、使用したのはその内6色+コリデールトップ白の7色です。 ちょっと画像では分かりにくいのですが、今回の作品で注目して頂きたいのが耳の肉厚の薄さです。 羊毛フェルトの定めで、どんなに上手い人の作品でも耳だけは分厚く作られています。 強度的にどうしてもある程度の厚みが必要なので仕方がありませんが、でも本物の猫の耳はペラペラです。 それをなんとか再現できないかと思い、始めての手法に挑戦してみました。 それは糊付けです。 僕が開発した全く新しい手法という事ではなく、既に羊毛フェルトに取り入れていらっしゃる方を見た事があります。 ハマナカのニードルフェルト・スターターキットに付いているレッスン本の中にも、小鳥の小さなくちばしを作るのに、透明のボンドで繊維をまとめるという記述があります。
今回の場合は、普通ではふにゃふにゃで使えないような薄さで耳を作り、水溶性のボンドを水で希釈したものを霧吹きでスプレーしました。 ある程度固まってきたところで、指で挟んでプレスし、更に薄くします。 柄の色を両面に刺したので、少し厚みが出て本物の猫耳のようなペラペラではなくなってしまいましたが、 今までの僕の作品の中ではダントツの薄さになりました。 噴きすぎると硬くなりすぎるので、濃度と噴く量に注意が必要です。 硬くなりすぎた場合も、手で揉むと柔らかい風合いに戻る場合があります。 色をのせた後に、身体全体にもスプレーしてあって、手で触っても毛が取れにくくもしてあります。 この糊付け、上手く使えばいろいろ応用範囲は広そうです。 手乗り写真