手乗り猫はじめました

手のひらサイズのリアルな猫人形製作記
猫人形工房Progress Unlimitedのブログ

キッチリ収まる三毛猫

2014年06月19日 23時12分11秒 | 羊毛フェルト 子猫

 

ご友人への贈り物にと、オーダー依頼がありました。 

その内容は、子猫で、三毛猫で、できるだけ大きく、できるだけ安くという内容でした。 

もちろん、こういうオーダーもアリです。 

ご予算に合うように、サイズや仕様をこちらからご提案致します。

 

そして今回は、10mmのスワロアイで高さ150mm、植毛無しでの製作になりました。 

ポーズ的には、手足を作らなくて済む香箱座りが最も手間が少ないのですが、 

サイズ的に大きな物をご希望という事でお座りポーズにし、 

製作時間を短縮する裏技を使いました。それは後ほど。

 

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高さ165mm(カゴなし150mm

前後幅110mm

横幅75mm

重さ71.3g

 

総製作時間は30時間

内訳は、骨格を含むベースの製作に15.5時間、

メリノでの模様付けや混毛に11.5時間、

ヒゲの植毛に3時間です。

 

生後2~3ヶ月くらいのメス猫をイメージして作りました。

利発そうな感じにしようと思って作っていたら、少し大人っぽい顔になりました。

  

 

そしてこれが時間短縮の裏技、「カゴに隠れる所は作らない」です。

指や肉球の造形は非常に手間がかかりますので、どうしても値段が上がってしまいます。

そこでカゴに収まっているシーンにしました。

 

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底の部分には固定用のネジを受けるアンカーを埋め込んであります。

 

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今回が三毛猫初挑戦だったのですが、

製作するまでは「三毛猫なんて3色でブチ模様を書けば良いだけなので楽勝だ」と思っていたのです。

ところが、製作にあたっていろいろ画像検索や猫本で調べてみると、

ほとんどの場合、単なる3色ではなく、シマ三毛になっているんですよね。

つまりトラ柄+もう1色になるわけです。

茶トラに黒が追加されるパターンとキジトラに茶が追加されるパターンがあるようで、

毛色は4色、今回のように黒の部分にもシマがある場合だと最低でも5色必要です。

実際は茶のベース色をグラデーション用に2色追加し7色での製作です。

全然、楽ではありませんでした。 

 

8色混毛し、使用したのはその内6色+コリデールトップ白の7色です。

 

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ちょっと画像では分かりにくいのですが、今回の作品で注目して頂きたいのが耳の肉厚の薄さです。

羊毛フェルトの定めで、どんなに上手い人の作品でも耳だけは分厚く作られています。

強度的にどうしてもある程度の厚みが必要なので仕方がありませんが、でも本物の猫の耳はペラペラです。

それをなんとか再現できないかと思い、始めての手法に挑戦してみました。

それは糊付けです。

僕が開発した全く新しい手法という事ではなく、既に羊毛フェルトに取り入れていらっしゃる方を見た事があります。

ハマナカのニードルフェルト・スターターキットに付いているレッスン本の中にも、小鳥の小さなくちばしを作るのに、透明のボンドで繊維をまとめるという記述があります。

 

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今回の場合は、普通ではふにゃふにゃで使えないような薄さで耳を作り、水溶性のボンドを水で希釈したものを霧吹きでスプレーしました。

ある程度固まってきたところで、指で挟んでプレスし、更に薄くします。

柄の色を両面に刺したので、少し厚みが出て本物の猫耳のようなペラペラではなくなってしまいましたが、

今までの僕の作品の中ではダントツの薄さになりました。

噴きすぎると硬くなりすぎるので、濃度と噴く量に注意が必要です。

硬くなりすぎた場合も、手で揉むと柔らかい風合いに戻る場合があります。 

 

色をのせた後に、身体全体にもスプレーしてあって、手で触っても毛が取れにくくもしてあります。

 

この糊付け、上手く使えばいろいろ応用範囲は広そうです。

 

 

 

手乗り写真

 

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キジトラの母 後編

2014年06月09日 23時17分02秒 | 羊毛フェルト 猫

 

 ようやく完成しました。

 

 

 

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まずはグルっと1周を見て下さい。

 

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高さ126mm、前後幅 155mm、横幅(しっぽを除く)63mm

 

重さ 78g

 

総製作時間は212時間。

 

内訳は、本体のベースや肉球、ヒゲ植えなどの形状製作に38時間、

 

メリノでの模様の下書きに4時間、

 

植毛に66時間、

 

トリミング、モレ直し、グラデーションに104時間です。

 

 

今回はトリミングに時間がかかってしまいました。 

毛繕い中という事で、舌は出してるは、耳は後ろ向いてるは、ヒゲは前向いてるはで、今まで作った事のない表情だったので難しかったです。

 

美人猫を作りたくてメス猫にしたのに、ポーズの選択ミスでしたね。 

 

植毛前 

 

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 植毛完了 長毛猫さんみたいです。

 

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トリミング後

 

 

今回のテーマは毛をフワフワにする事でした。メレンゲや綿アメ、羽毛など、フワフワな物に共通するのは、そこに空気をたくさん含んでいる事です。

そこで、アルパカにコリデールを混毛し、そのクリンプ(毛のウネウネ)で毛先を広げ、

更に植毛の間隔をまばらにして毛と毛の間に空間を空ける事にしました。

前回はみっちり植えて、後からすきバサミで毛を少なくしたのですが、効率が悪いので改善する事にしました。

 

前編でも書きましたが、まばらに植えて地肌が見えてしまっても違和感がないように、植毛する毛と同じ色のメリノで着色もしました。

ところが、植毛をしたところまでは良い感じだったのですが、

短くトリミングしてみたら、やはり触るとペタっと潰れてしまってボリュームの無い部分ができて、身体のラインに綺麗な丸みが出ません。

そういう部分の毛を掻き分けてみると、決まって植毛していない部分が見つかります。

結局、意図的に作った植毛モレ部分に毛を追加し、前回同様みっちり植えてからすきバサミで毛先を軽くしました。

予定通りにはいきませんでしたが、すきバサミの使い方にも慣れてきたので、満足な仕上がりになりました。

 まばらに植毛する方法は失敗だったのですが、思わぬ収穫もありました。

地肌にトラ柄の着色をしていたおかげで、その下書きに従ってもくもくと植毛すれば良いので、

柄の位置を考えながら作業するよりも効率的でした。

ただ、メリノでは時間がかかるので、今後はアクリル絵の具やチャコペンのような物を使おうと思っています。

 また、背中の正中線に走るシマも、最初は下の画像のように単なる1本の線でしたが、

隙間に毛を追加する際に、違う色の毛を植毛する事で、本物の猫に近いボヤけたシマになりました。

更にキジ茶色も色数を追加し、背中側が濃い色になるようにグラデーションがかかっています。

ちょっと微妙すぎて画像では上手く写りませんでしたが。

 

学研の猫ムック本「猫の毛色&模様まるわかり100!」によると、

光が当たりやすい背中側は色が濃く、光が当たりにくいお腹側は明るい色になるそうです。

キジ猫の場合は、背中が濃い茶色で、お腹は薄い茶色です。

しっぽにもその法則は現れるので、画像検索で集めた画像を参考に、しっぽの下側は薄い茶色にしました。

この薄い茶色にもグラデーションがかけてあります。

お腹側は毛が柔らかくて薄いので、メリノをまばらに植毛しました。

下地にピンクを刺しておいたので、薄っすら透けて見えます。

何故「キジトラの母」かと言うと、

以前に作ったトラ猫4兄弟のおかあさんとして一緒に並べる為です。

(トラ猫4号は既に里親さんのところに貰われて行ったので、今は3匹です。)

 

 

前足をのけると舌も作ってありますので、

子猫をグルーミングしているような感じの画像も撮ってみました。

 

手乗り写真