シリーズ平成の「変」-面目躍如、“まんが太郎”の「変」-
今回の自民党人事の目玉的な存在となっている麻生太郎幹事長が、8月4日の挨拶回りの際、江田参議院議長に対し、民主党が政権を取るつもりであれば(国会審議を)しっかりやってもらわなくては困ると注文を付ける一方、「ドイツはナチスに一度やらせようということで政権を与えてしまった」と述べ、仮に政権が民主党に移った場合には「ナチス・ドイツ」のようになるかの発言をしたと伝えられている。
とんちんかんで「変」である。江田参院議長は、出身は民主党であっても、「議長」として三権の一つである参議院を代表しており、民主党を代表しているわけではない。参院では民主党が多数を占め、自民党が少数党になっているが、参院としての独自性を発揮しており、自民党が多数を占めていた時のように衆議院のクローン的存在でも、ゴム印を押すだけの存在ではなくなっている。参院でしっかりしなくてはならないのは自民党ではないのか?
更に「変」なのは、ヒットラーに率いられた「ナチス」は、ドイツ人純血主義を唱え、第二次世界大戦を引き起こしたが、民主党と比較するのは立党の経緯においても思想的にも適当ではない。政党史の上で強いて比較するのであれば、戦後ほぼ政権を保持し続けている自民党であろう。麻生幹事長自体も、同党において日本的新保守主義(ネオコン)に属し、A戦犯が祀られている靖国神社を参拝し、核武装論を容認する考えの持ち主である。
それはそれで一つの立場であろうが、不適当な比較をして他党を批判するのではフェアーではなく、与党幹部としての資質が問われても仕方が無い。今回、民主党の信頼を回復しなければいけない立場にありながら、改めて信頼を失った形となった。
同氏は、「まんが」好きで知られ、「アキバ族」や「オタク族」に人気があるようだが、取材する記者などからも上から目線で他人を見たり、見下したような物言いをすることでも知られている。今回の発言も、いわば野党を見下した本音の発言だったのであろう。“まんが太郎”の面目躍如である。
そもそも国会での健全な議論や運営は、与野党が国民の代表として相互に尊重し合わなければ成立しない。一般国民にとっては、与野党どちらとも等しく国民の代表であり、国民の意見が国会の場で反映されることを望んでいる。現在問題になっている年金問題や新年金機構の問題、後期高齢者医療費、同様の天引き問題を抱える介護保険料問題なども、与党の強行採決で国会を通過してしまったが、もっと十分に審議していれば通過してから問題とはならなかったはずだ。少なくても国民は問題点を知り、負担の重さなどを具体的に知る権利がある。それさえも出来ていなかったことを示している。「変」である。(08.08.) (Copy Right Reserved.)
今回の自民党人事の目玉的な存在となっている麻生太郎幹事長が、8月4日の挨拶回りの際、江田参議院議長に対し、民主党が政権を取るつもりであれば(国会審議を)しっかりやってもらわなくては困ると注文を付ける一方、「ドイツはナチスに一度やらせようということで政権を与えてしまった」と述べ、仮に政権が民主党に移った場合には「ナチス・ドイツ」のようになるかの発言をしたと伝えられている。
とんちんかんで「変」である。江田参院議長は、出身は民主党であっても、「議長」として三権の一つである参議院を代表しており、民主党を代表しているわけではない。参院では民主党が多数を占め、自民党が少数党になっているが、参院としての独自性を発揮しており、自民党が多数を占めていた時のように衆議院のクローン的存在でも、ゴム印を押すだけの存在ではなくなっている。参院でしっかりしなくてはならないのは自民党ではないのか?
更に「変」なのは、ヒットラーに率いられた「ナチス」は、ドイツ人純血主義を唱え、第二次世界大戦を引き起こしたが、民主党と比較するのは立党の経緯においても思想的にも適当ではない。政党史の上で強いて比較するのであれば、戦後ほぼ政権を保持し続けている自民党であろう。麻生幹事長自体も、同党において日本的新保守主義(ネオコン)に属し、A戦犯が祀られている靖国神社を参拝し、核武装論を容認する考えの持ち主である。
それはそれで一つの立場であろうが、不適当な比較をして他党を批判するのではフェアーではなく、与党幹部としての資質が問われても仕方が無い。今回、民主党の信頼を回復しなければいけない立場にありながら、改めて信頼を失った形となった。
同氏は、「まんが」好きで知られ、「アキバ族」や「オタク族」に人気があるようだが、取材する記者などからも上から目線で他人を見たり、見下したような物言いをすることでも知られている。今回の発言も、いわば野党を見下した本音の発言だったのであろう。“まんが太郎”の面目躍如である。
そもそも国会での健全な議論や運営は、与野党が国民の代表として相互に尊重し合わなければ成立しない。一般国民にとっては、与野党どちらとも等しく国民の代表であり、国民の意見が国会の場で反映されることを望んでいる。現在問題になっている年金問題や新年金機構の問題、後期高齢者医療費、同様の天引き問題を抱える介護保険料問題なども、与党の強行採決で国会を通過してしまったが、もっと十分に審議していれば通過してから問題とはならなかったはずだ。少なくても国民は問題点を知り、負担の重さなどを具体的に知る権利がある。それさえも出来ていなかったことを示している。「変」である。(08.08.) (Copy Right Reserved.)