シリーズ平成の「変」-改革潰しの「変」-
党3役人事・内閣改造後の福田体制が徐々にその反改革の姿を現し始めている。
8月3日、笹川新総務会長は、テレビの報道番組において、内閣改造で直ちに人気が上がり選挙に勝つとは考えられないとしつつ、「小泉元総理がドラスチツクな(過激な)ことをした反作用をどう直そうかという最中だ。3ヶ月間見守って欲しい」と述べた。
非常に分かりやすい。要するに、自民党の政策の取りまとめ役である総務会長が「小泉改革」を過激なこととし、手直しすることを明言している。「変」である。ドラマチックに言えば、“改革潰し”の“反小泉クーデター”だ。
また麻生新幹事長も、各紙とのインタヴューにおいて、2011年度に基礎的財政収支を黒字にするとの政府目標を堅持するか否かについて、「プライマリーバランスを優先することにより、景気が更に悪くなるということは取るべき選択ではない。(目標の先送りは)選択肢としてあり得る」との趣旨を述べたと報じられている。衆院総選挙を年内にも実施しなくてはならないことを念頭に置いて、“景気優先”の財政出動、そのための公的債務削減の先送りを明言している。福田総理もプライマリーバランス達成目標を維持するとしているが、従来の政府の政策とは異なる姿勢を明らかにしている。「改革なくして成長なし」という改革路線から、自民党の旧来路線である“景気対策優先、債務削減先送り”そして増税への路線転換であり、利益誘導型への先祖返りの色彩が強くなる。党3役から横滑りした財務、国土交通、経済産業各大臣も基本的には景気対策派、道路建設など公共事業派、消費税増税派を代表している。従って、党の考え方と主要閣僚や郵政造反派閣僚等の考え方が一致しており、路線転換は必至だ。今回は顔触れだけからの推測ではなく、路線転換が公言されている。
財政出動し「景気対策」をするのは良いが、借金や増税等により行うのであれば誰にでも出来る。誰のお金だと思っているのか。また「景気後退」と言うが、米国のサブプライム問題は既に昨年秋以降に表面化しており、原油高、食料物資の高騰は3月以来顕著になっていたところであるが、“経済無策”に終わっている。逆にガソリン等の暫定税率が4月に失効した際に、「10年間の全額再復活」を強行し、物価高に拍車を掛けた。“暫定税率一部復活、一部減税”との提案も出されていたはずであり、物価対策を講じる好機を逸している。当時、「道路が必要」として暫定税率の復活を主張していた多くの知事も一端の責任があろう。地方財政も類似の問題を抱えている。
改革を止め、財政出動に踏み切れば、官僚を含む得権益グループは「なーなー、やーやー」で「和」が保て、財源が足りなければ公債発行や増税などで歳入を図れば良い。しかし、それは仲間内の「和」や省益等のために、国民に負担を強い、或いは将来世代に負担を先送るだけである。それだけでなく、“行政メタボ”に更に財源をつぎ込み、国の財政や経済の健康を害することになろう。それは、仲間内の「和」や省益等のために国民の利益、国益を害することに等しい。「変」である。
現在の衆議院は、05年9月、郵政改革を中心とする改革継続の是非を問う選挙で、郵政改革を訴えた小泉政権が大勝し、改革路線が信任された形で成り立っている。その改革路線を「過激な」として「手直し」するとしているので、改革は継続する云々などと口で言っても、大きな路線転換がなされることは明らかだ。それはそれとして一つの政治的な選択肢ではある。しかし、それは05年に国民に信任された改革路線を転換するということであるので、遅滞なく国民の信が問われなくてはならないのではなかろうか。(08.08)
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党3役人事・内閣改造後の福田体制が徐々にその反改革の姿を現し始めている。
8月3日、笹川新総務会長は、テレビの報道番組において、内閣改造で直ちに人気が上がり選挙に勝つとは考えられないとしつつ、「小泉元総理がドラスチツクな(過激な)ことをした反作用をどう直そうかという最中だ。3ヶ月間見守って欲しい」と述べた。
非常に分かりやすい。要するに、自民党の政策の取りまとめ役である総務会長が「小泉改革」を過激なこととし、手直しすることを明言している。「変」である。ドラマチックに言えば、“改革潰し”の“反小泉クーデター”だ。
また麻生新幹事長も、各紙とのインタヴューにおいて、2011年度に基礎的財政収支を黒字にするとの政府目標を堅持するか否かについて、「プライマリーバランスを優先することにより、景気が更に悪くなるということは取るべき選択ではない。(目標の先送りは)選択肢としてあり得る」との趣旨を述べたと報じられている。衆院総選挙を年内にも実施しなくてはならないことを念頭に置いて、“景気優先”の財政出動、そのための公的債務削減の先送りを明言している。福田総理もプライマリーバランス達成目標を維持するとしているが、従来の政府の政策とは異なる姿勢を明らかにしている。「改革なくして成長なし」という改革路線から、自民党の旧来路線である“景気対策優先、債務削減先送り”そして増税への路線転換であり、利益誘導型への先祖返りの色彩が強くなる。党3役から横滑りした財務、国土交通、経済産業各大臣も基本的には景気対策派、道路建設など公共事業派、消費税増税派を代表している。従って、党の考え方と主要閣僚や郵政造反派閣僚等の考え方が一致しており、路線転換は必至だ。今回は顔触れだけからの推測ではなく、路線転換が公言されている。
財政出動し「景気対策」をするのは良いが、借金や増税等により行うのであれば誰にでも出来る。誰のお金だと思っているのか。また「景気後退」と言うが、米国のサブプライム問題は既に昨年秋以降に表面化しており、原油高、食料物資の高騰は3月以来顕著になっていたところであるが、“経済無策”に終わっている。逆にガソリン等の暫定税率が4月に失効した際に、「10年間の全額再復活」を強行し、物価高に拍車を掛けた。“暫定税率一部復活、一部減税”との提案も出されていたはずであり、物価対策を講じる好機を逸している。当時、「道路が必要」として暫定税率の復活を主張していた多くの知事も一端の責任があろう。地方財政も類似の問題を抱えている。
改革を止め、財政出動に踏み切れば、官僚を含む得権益グループは「なーなー、やーやー」で「和」が保て、財源が足りなければ公債発行や増税などで歳入を図れば良い。しかし、それは仲間内の「和」や省益等のために、国民に負担を強い、或いは将来世代に負担を先送るだけである。それだけでなく、“行政メタボ”に更に財源をつぎ込み、国の財政や経済の健康を害することになろう。それは、仲間内の「和」や省益等のために国民の利益、国益を害することに等しい。「変」である。
現在の衆議院は、05年9月、郵政改革を中心とする改革継続の是非を問う選挙で、郵政改革を訴えた小泉政権が大勝し、改革路線が信任された形で成り立っている。その改革路線を「過激な」として「手直し」するとしているので、改革は継続する云々などと口で言っても、大きな路線転換がなされることは明らかだ。それはそれとして一つの政治的な選択肢ではある。しかし、それは05年に国民に信任された改革路線を転換するということであるので、遅滞なく国民の信が問われなくてはならないのではなかろうか。(08.08)
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