シリーズ平成の「変」<改訂版>-お祭り気分、政権ボケの自民総裁選の「変」-
米国第4位の証券大手リーマン・ブラザースがサブプライム問題の影響から破綻し、ニューヨークの株式市場は2001年9月11日の同時多発テロ以来の下げ幅を記録した。
これを受けて、ロンドンはじめアジア、中南米等の株価も大幅に下落。日本においても、9月16日の株価は、05年7月以来の水準に下落した。米国発の世界同時株安とドル安が新たな局面を迎えている。
これは、米国の低所得者向けの高金利の貸付(サブ・プライムローン)と関連証券の破綻に端を発するものであり、それによる損失額の6割前後以上は米国であり、日本を含むアジアへの影響は限定的であり、過度な反応は混乱を助長するだけであるので冷静な対応が望まれる。伊吹財務相が、「危機やパニックという状況ではない」とし、また、自民党総裁選に立候補している与謝野経済財政担当相も「更に手を付けられない深刻さを持つとは考えられない」などとしていると伝えられており、冷静な対応を強調している点は評価される。
しかし、リーマン・ブラザースの日本法人も倒産手続きに入っており、負債総額は3兆4千億円にものぼる。大幅な株価の下落は、一般株主にとっても、企業にとっても、大幅な資産減となり、資金繰りの困難さや将来不安に拍車を掛けるものであり、欧米各国も追加的な資金供給など対応を急いでいる。日本経済は、本来であればもっと自信を持って良いと思われるが、消費は将来不安等から低迷しており、消費者心理の回復も望まれる。
このような状況において、自民党は総裁選で全国遊説のお祭り騒ぎを続け、党の総裁選でありながら、国民への露出度を高め、ただただ政権維持を最優先しているように映る。
「変」である。政権与党としての緊張感や危機意識に欠ける。国民感情からすれば、少なくても政権に就いている間は、総裁選に見せているエネールギーを年金問題や医療問題を含む国政に注ぎ、国民生活の改善や消費者心理の回復に注いで欲しいものだ。
今回の世界経済危機の震源地は米国であるので、まず米国官民が9.11同時多発テロ後に見せたと同様の決意をもって今回の難局を出来るだけ速やかに克服することが重要だ。そうでないと経済面で国際テロの攻撃に屈する結果となる恐れがある。
日本や欧州諸国は金融面での協調を当面求められることになろう。同時に、各国における局部的、限定的な問題に対処することが必要となるが、当面は中小企業金融を含む金融措置が中心となり、政府金融機関を含む金融機関が迅速な対応をとることが肝要だ。
政府は現在、「景気対策」のための「補正予算措置」を検討しているが、中小企業への政府金融を除けば、実質1.8兆円規模であり、効果に疑問が残る。現在必要としているのはこのような限定的な「景気対策」であるのか、より広い視野からの「経済対策」であるのか検討する必要がある。実物経済への影響は若干のタイムラグがあると予想されるので、拙速で「補正予算措置」を取る必要性はなく、影響する分野や規模を十分見極めた上で適切な措置をとることが大切だ。
更に、財源として5千億円規模の国債を発行するとしているが、軽々に国債に頼ることが経済の信頼性を回復することになるのだろうか。現在、国債の利払いだけで年間9兆円以上支出しており、地方債を含む公的債務全体の利払いは11兆円内外の規模に達している。積年の公的債務の利払いが財源難の大きな原因になっている。債務を解消すれば年間11兆円内外の財源が浮くことになる。更に国債に頼ることが経済の健全化に繋がるのであろうか。「変」ではある。
目先の「景気」対策か、より広い「経済対策」か、規模や財源をどうするかなど疑問は多い。党の総裁選に時間を浪費せず、早期に衆議院を解散し、国民の信を速やかに問うべきではないか。その上で、国民の信託を受けた新たな国会において、規模や財源を含め、広い視野から「経済対策」を検討、実施すべきではないだろうか。 (Copy Right Reserved.)
米国第4位の証券大手リーマン・ブラザースがサブプライム問題の影響から破綻し、ニューヨークの株式市場は2001年9月11日の同時多発テロ以来の下げ幅を記録した。
これを受けて、ロンドンはじめアジア、中南米等の株価も大幅に下落。日本においても、9月16日の株価は、05年7月以来の水準に下落した。米国発の世界同時株安とドル安が新たな局面を迎えている。
これは、米国の低所得者向けの高金利の貸付(サブ・プライムローン)と関連証券の破綻に端を発するものであり、それによる損失額の6割前後以上は米国であり、日本を含むアジアへの影響は限定的であり、過度な反応は混乱を助長するだけであるので冷静な対応が望まれる。伊吹財務相が、「危機やパニックという状況ではない」とし、また、自民党総裁選に立候補している与謝野経済財政担当相も「更に手を付けられない深刻さを持つとは考えられない」などとしていると伝えられており、冷静な対応を強調している点は評価される。
しかし、リーマン・ブラザースの日本法人も倒産手続きに入っており、負債総額は3兆4千億円にものぼる。大幅な株価の下落は、一般株主にとっても、企業にとっても、大幅な資産減となり、資金繰りの困難さや将来不安に拍車を掛けるものであり、欧米各国も追加的な資金供給など対応を急いでいる。日本経済は、本来であればもっと自信を持って良いと思われるが、消費は将来不安等から低迷しており、消費者心理の回復も望まれる。
このような状況において、自民党は総裁選で全国遊説のお祭り騒ぎを続け、党の総裁選でありながら、国民への露出度を高め、ただただ政権維持を最優先しているように映る。
「変」である。政権与党としての緊張感や危機意識に欠ける。国民感情からすれば、少なくても政権に就いている間は、総裁選に見せているエネールギーを年金問題や医療問題を含む国政に注ぎ、国民生活の改善や消費者心理の回復に注いで欲しいものだ。
今回の世界経済危機の震源地は米国であるので、まず米国官民が9.11同時多発テロ後に見せたと同様の決意をもって今回の難局を出来るだけ速やかに克服することが重要だ。そうでないと経済面で国際テロの攻撃に屈する結果となる恐れがある。
日本や欧州諸国は金融面での協調を当面求められることになろう。同時に、各国における局部的、限定的な問題に対処することが必要となるが、当面は中小企業金融を含む金融措置が中心となり、政府金融機関を含む金融機関が迅速な対応をとることが肝要だ。
政府は現在、「景気対策」のための「補正予算措置」を検討しているが、中小企業への政府金融を除けば、実質1.8兆円規模であり、効果に疑問が残る。現在必要としているのはこのような限定的な「景気対策」であるのか、より広い視野からの「経済対策」であるのか検討する必要がある。実物経済への影響は若干のタイムラグがあると予想されるので、拙速で「補正予算措置」を取る必要性はなく、影響する分野や規模を十分見極めた上で適切な措置をとることが大切だ。
更に、財源として5千億円規模の国債を発行するとしているが、軽々に国債に頼ることが経済の信頼性を回復することになるのだろうか。現在、国債の利払いだけで年間9兆円以上支出しており、地方債を含む公的債務全体の利払いは11兆円内外の規模に達している。積年の公的債務の利払いが財源難の大きな原因になっている。債務を解消すれば年間11兆円内外の財源が浮くことになる。更に国債に頼ることが経済の健全化に繋がるのであろうか。「変」ではある。
目先の「景気」対策か、より広い「経済対策」か、規模や財源をどうするかなど疑問は多い。党の総裁選に時間を浪費せず、早期に衆議院を解散し、国民の信を速やかに問うべきではないか。その上で、国民の信託を受けた新たな国会において、規模や財源を含め、広い視野から「経済対策」を検討、実施すべきではないだろうか。 (Copy Right Reserved.)