シリーズ平成の「変」-出るわ出るわ、埋蔵金の「変」-
政府与党は、これまで「埋蔵金」の存在を否定してきたが、2兆円に及ぶ「給付金」の財源は財政投融資特別会計の「余剰金」が当てられるようだ。また有料高速道路の地方料金等の引き下げにも財政投融資特別会計の「余剰金」が当てられると伝えられている。
いわゆる「埋蔵金」は、江戸時代に大判小判を蓄え隠すために行われていた歴史的な用語であり、今の政府にあるわけがないことは言うまでもない。しかし、国民の目に余り触れることの無い特別会計に隠し金的な巨額の「余剰金」があることが明らかになった。
特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)はこれだけではない。11月14、15の両日ワシントンで開催された主要経済20カ国による金融サミットに際し、政府は国際通貨基金(IMF)に1,000億ドル(約10兆円)の融資等を行うことを明らかにした。その財源として外国為替資金特別会計の積立金・準備金から当てると言われている。特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)を主たる財源として、民主党が13兆円規模の景気対策を提案しているが、政府与党が「埋蔵金」などは無いとして置きながらそれに群がっているようにも映る。「余剰金」や「積立金・準備金」を表に出した民主党の功績とも言えようが、「変」である。
国際金融危機に直面している現在、IMFの資金能力を増強することは必要なことであろう。それがばら撒きの拠出金などでなく、「融資・貸付」や「出資」であれば、国際的な資金協力であると共に、海外に保有する日本の資産となるので評価出来ないことではない。
しかし、日本自身が約800兆円の公的債務を抱え、毎年予算から利子だけでも約11兆円支払い、財政難の大きな要因となっている。その上、今後予想される社会保障費の増加などを勘案すると、外国為替資金特別会計の積立金・準備金の恩恵を国内に反映することなく、まず海外に融資・出資すべきなのであろうか。
更に、経済の後退により今年度の税収は歳出を下回ると予想されており、その穴埋めとして6兆円規模の赤字公債の発行が必要と言われ始めている。更に国の借金が増え、来年度はより巨額の利子支払いを強いられることになりそうだ。
そうであれば、特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)を「給付金」や有料高速度道路の地方区間料金の引き下げ、IMFへの融資など、内外にばら撒いている場合ではないのではないか。有料高速度道路の一律値下げであれば兎も角、ガソリン代が大幅に下がっているのに、地方区間料金等だけ値下げして地方支援であるとして余剰金を使うというのも何のためなのか良く分からない。「変」である。
IMFへの融資は良いが、結果として10兆円分の積立金・準備金を海外に移し変えることになるので、その前にまず国内での景気対策や財政健全化のためなど、使途を十分検討する必要があるのではなかろうか。特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)を内外にばら撒いてしまえば、効果的な景気対策や財政の健全化の財源とすることも出来なくなろう。(08.11.19.)(Copy Right Reserved.)
政府与党は、これまで「埋蔵金」の存在を否定してきたが、2兆円に及ぶ「給付金」の財源は財政投融資特別会計の「余剰金」が当てられるようだ。また有料高速道路の地方料金等の引き下げにも財政投融資特別会計の「余剰金」が当てられると伝えられている。
いわゆる「埋蔵金」は、江戸時代に大判小判を蓄え隠すために行われていた歴史的な用語であり、今の政府にあるわけがないことは言うまでもない。しかし、国民の目に余り触れることの無い特別会計に隠し金的な巨額の「余剰金」があることが明らかになった。
特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)はこれだけではない。11月14、15の両日ワシントンで開催された主要経済20カ国による金融サミットに際し、政府は国際通貨基金(IMF)に1,000億ドル(約10兆円)の融資等を行うことを明らかにした。その財源として外国為替資金特別会計の積立金・準備金から当てると言われている。特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)を主たる財源として、民主党が13兆円規模の景気対策を提案しているが、政府与党が「埋蔵金」などは無いとして置きながらそれに群がっているようにも映る。「余剰金」や「積立金・準備金」を表に出した民主党の功績とも言えようが、「変」である。
国際金融危機に直面している現在、IMFの資金能力を増強することは必要なことであろう。それがばら撒きの拠出金などでなく、「融資・貸付」や「出資」であれば、国際的な資金協力であると共に、海外に保有する日本の資産となるので評価出来ないことではない。
しかし、日本自身が約800兆円の公的債務を抱え、毎年予算から利子だけでも約11兆円支払い、財政難の大きな要因となっている。その上、今後予想される社会保障費の増加などを勘案すると、外国為替資金特別会計の積立金・準備金の恩恵を国内に反映することなく、まず海外に融資・出資すべきなのであろうか。
更に、経済の後退により今年度の税収は歳出を下回ると予想されており、その穴埋めとして6兆円規模の赤字公債の発行が必要と言われ始めている。更に国の借金が増え、来年度はより巨額の利子支払いを強いられることになりそうだ。
そうであれば、特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)を「給付金」や有料高速度道路の地方区間料金の引き下げ、IMFへの融資など、内外にばら撒いている場合ではないのではないか。有料高速度道路の一律値下げであれば兎も角、ガソリン代が大幅に下がっているのに、地方区間料金等だけ値下げして地方支援であるとして余剰金を使うというのも何のためなのか良く分からない。「変」である。
IMFへの融資は良いが、結果として10兆円分の積立金・準備金を海外に移し変えることになるので、その前にまず国内での景気対策や財政健全化のためなど、使途を十分検討する必要があるのではなかろうか。特別会計の「余剰金」や「積立金」(準備金を含む)を内外にばら撒いてしまえば、効果的な景気対策や財政の健全化の財源とすることも出来なくなろう。(08.11.19.)(Copy Right Reserved.)