平成の「変」-「記憶に無い」で済むのか、「政府高官」の「変」-
政治資金規正法違反容疑で民主党小沢代表の公設第一秘書(資金管理担当)が逮捕され、資金管理団体等が強制捜査された事件に関連し、2月5日、「政府高官」が、記者との懇談において「捜査が自民党議員にまで拡大することはない」と述べたと報道された。報道振りは各紙により若干差があるが、理由として、公設秘書より会社側に「請求書」があったとしており、捜査上の具体的内容まで知り得る立場の「政府高官」の発言と見られた。
官房長官はこの発言を、漆間官房副長官(事務方のトップ、前警察庁長官)であることを明らかにしているが、同人は「言った、言わない」から、「認識の差」など、説明が迷走した後、「記憶に無い」との説明になっている。しかし、この問題は、内閣支持率が低迷する中で、衆議院選挙が時間の問題になって来ている今日、最大野党の党首の政治生命にも影響する現在最大の政治問題であるので、官邸の事務方のトップが記者の前で発言したことを「記憶に無い」では済まされない。アルツハイマーなどの病気であればお気の毒であるが、捜査中の重要な問題であり、公正を要すると共に、政治的に微妙な意味合いを持っていることは、「政府高官」でなくても理解出来ることであろう。
もっと深刻なことは、捜査に公正を期すことの重要性を十分知っている警察庁長官経験者が、記者懇談を通じて、民主党代表側の違反性のみを際立たせるよう世論操作している結果となっていることである。小沢代表はかねてより、官僚支配を打破し、抜本的な公務員改革を進め、予算の無駄遣いを無くし、予算の再配分を進めることなどを主張している。民主党のみに的を絞った捜査は、官僚にたてつく者は潰すという強い意志をも感じさせるものであり、「政府高官」はこのような官僚の意識を代弁しているように映る。総額で見れば、自民党議員が受領した献金額の方が明らかに大きいし、1議員3百万、4百万でも十分に高額である。
官僚出身の官房副長官は、官僚の取り纏め的な役割を担い、閣議を前にした事務次官会議を主宰する立場にもあると伝えられている。公務員改革が麻生政権の下で遅々として進まない背景には、このような官僚の意識があるからでもあろう。そもそも、国会に対し責任を持つ閣議の案件の最終的な確認作業を官僚が行うことにも疑問が残る。これでは閣議案件が官僚段階で実質的には決まっており、閣議が形式的なゴム印を押す場になっているようなものである。本来であれば、議員の中から指名された上席の官房副長官が事務の副長官の補佐を得て事務次官会議を主宰するなど、政治的な意志が十分に反映出来るような形に改善すべきなのであろう。(09.03.)(Copy Right Reserved.)
政治資金規正法違反容疑で民主党小沢代表の公設第一秘書(資金管理担当)が逮捕され、資金管理団体等が強制捜査された事件に関連し、2月5日、「政府高官」が、記者との懇談において「捜査が自民党議員にまで拡大することはない」と述べたと報道された。報道振りは各紙により若干差があるが、理由として、公設秘書より会社側に「請求書」があったとしており、捜査上の具体的内容まで知り得る立場の「政府高官」の発言と見られた。
官房長官はこの発言を、漆間官房副長官(事務方のトップ、前警察庁長官)であることを明らかにしているが、同人は「言った、言わない」から、「認識の差」など、説明が迷走した後、「記憶に無い」との説明になっている。しかし、この問題は、内閣支持率が低迷する中で、衆議院選挙が時間の問題になって来ている今日、最大野党の党首の政治生命にも影響する現在最大の政治問題であるので、官邸の事務方のトップが記者の前で発言したことを「記憶に無い」では済まされない。アルツハイマーなどの病気であればお気の毒であるが、捜査中の重要な問題であり、公正を要すると共に、政治的に微妙な意味合いを持っていることは、「政府高官」でなくても理解出来ることであろう。
もっと深刻なことは、捜査に公正を期すことの重要性を十分知っている警察庁長官経験者が、記者懇談を通じて、民主党代表側の違反性のみを際立たせるよう世論操作している結果となっていることである。小沢代表はかねてより、官僚支配を打破し、抜本的な公務員改革を進め、予算の無駄遣いを無くし、予算の再配分を進めることなどを主張している。民主党のみに的を絞った捜査は、官僚にたてつく者は潰すという強い意志をも感じさせるものであり、「政府高官」はこのような官僚の意識を代弁しているように映る。総額で見れば、自民党議員が受領した献金額の方が明らかに大きいし、1議員3百万、4百万でも十分に高額である。
官僚出身の官房副長官は、官僚の取り纏め的な役割を担い、閣議を前にした事務次官会議を主宰する立場にもあると伝えられている。公務員改革が麻生政権の下で遅々として進まない背景には、このような官僚の意識があるからでもあろう。そもそも、国会に対し責任を持つ閣議の案件の最終的な確認作業を官僚が行うことにも疑問が残る。これでは閣議案件が官僚段階で実質的には決まっており、閣議が形式的なゴム印を押す場になっているようなものである。本来であれば、議員の中から指名された上席の官房副長官が事務の副長官の補佐を得て事務次官会議を主宰するなど、政治的な意志が十分に反映出来るような形に改善すべきなのであろう。(09.03.)(Copy Right Reserved.)