シリーズ平成の本音―改革抵抗勢力の復活?! (その3)
2012年12月の総選挙で返り咲いた自民・公明の連立政権は、経済再生を優先し、新年早々の1月11日、10.3兆円規模の公共事業を中心とする緊急経済対策を決定した。経済停滞が長期化しているので迅速な対策を歓迎するところであるが、建設国債を5兆円強発行予定であり、今年度の国債発行が約50兆円に達することになる。小泉政権下で国債発行は毎年30兆円以下とされていたので、国債依存度が1.7倍近くに増加することになり、国債頼り経済運営になる恐れがある。公的債務はいずれ国民の負担となが、行・財政改革、財政健全化が後退するのではないかとの懸念が高まっている。
確かに安倍政権になってから、原子力発電所について再稼働や新規建設を肯定する発言がなされており、また25%の温室効果ガス削減目標を撤回するなど民主党政権下で示された政策を次々と変更している。
そして国家公務員の新規採用抑制方針については、官房長官が9日の記者会見で見直しの可能性を示唆している。民主党は、国家公務員人件費の2割削減を掲げ、2013年度の新規採用を09年度比で56%削減し3,870人とする方針を閣議決定している。
政権が交代したとは言え、長期の経済停滞の中で1,000兆円以上の公的債務を抱え、財政難である上、中・長期的に少子化、人口減の傾向であり、国民の租税負担能力も低下するという客観情勢は変わらないところであり、このような拙速な朝令暮改を行って良いものであろうか。
1、少子化、人口減、低成長等に備えた行政組織の簡素化の必要性 (その1で掲載)
2、中間採用、公募による国民への行政の門戸開放 (その2で掲載)
3、行政機能の中央管理から地方への移転など統治システムの改革
日本の行政システムは、戦後の統制経済から再出発し、高度成長期に急速に拡大したため、中央統制・管理型の組織、制度となっている。市販の薬品をネットで販売することが省令で禁止されていたが、今回最高裁において法律で規制されておらず、民間活動を根拠なく規制するものとして違法とされた。この種の省令や局、課レベルの通達、指導類が多数存在し、箸の上げ下げまで規制することが常態化すると共に、中央政府が地方に多くの事務所、施設を抱え、また地方行政に各種の指示、指導を行っていることから、民間活動や地方の自主性や活力を削いでいる面が指摘されている。政府の財政に制約がある場合、民間の活力や地方の創造性や活力を活かさなければ前進し難い状況になっている。
もとより戦後飛躍的に経済社会が拡大している上、厳しい財政難に直面しているので、中央官庁が何から何まで統制、管理することは無理であると共に、秩序を維持するため最小限の規制や罰則は必要であるが、民主主義、自由市場においては個人や地方の活動を原則として自由とし、それぞれの自主的努力を最大限に発揮出来るようにすることが望ましい。それが大きな発展のエネルギーとなる。同時に民間や地方も行政当局への依存心を捨て、自主性と創造力を発揮して事に当たり、その結果は自らで責任を取るという意識を一層強く持つことが望まれる。
今後の課題は、中央官庁の機能、組織等を簡素化すると共に、機能を地方に移管し、地方がそれぞれの責任においてエネルギーを最大限に発揮し、地域住民へ行政サービスを届けられるようにすることであろう。安易に中央官庁の新規採用を増加することではなさそうだ。
政権が変われば政策が変わることがこれで明らかになったが、前政権の閣議決定としてもそれを安易に朝令暮改することは、議員内閣制や政治への信頼性を低下させ、行政当局の相対的な力を強める結果となろう。それに応じることは楽であるが、その積み重ねが行政当局に甘くなる体質を作り上げる上、結局はその負担は国民にツケは国民に付け回されることになる。
5兆円強の国債を発行して緊急経済対策を実施し、経済回復の兆しが見え始めるとそれを根拠に2014年4月からの消費増税を実施に移すという行政当局としては景気の良い話である。しかし5兆円強の国債はいずれ国民の税金で返済しなければならないものであるので、国債発行と消費増税を前提として国家公務員の新規採用を増やせるというのであれば、独立行政法人など政府関係機関を含め連結ベースで新規採用を増やさず、国債発行を削減する方向で対応することが望ましい。
(2013.01.12.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
2012年12月の総選挙で返り咲いた自民・公明の連立政権は、経済再生を優先し、新年早々の1月11日、10.3兆円規模の公共事業を中心とする緊急経済対策を決定した。経済停滞が長期化しているので迅速な対策を歓迎するところであるが、建設国債を5兆円強発行予定であり、今年度の国債発行が約50兆円に達することになる。小泉政権下で国債発行は毎年30兆円以下とされていたので、国債依存度が1.7倍近くに増加することになり、国債頼り経済運営になる恐れがある。公的債務はいずれ国民の負担となが、行・財政改革、財政健全化が後退するのではないかとの懸念が高まっている。
確かに安倍政権になってから、原子力発電所について再稼働や新規建設を肯定する発言がなされており、また25%の温室効果ガス削減目標を撤回するなど民主党政権下で示された政策を次々と変更している。
そして国家公務員の新規採用抑制方針については、官房長官が9日の記者会見で見直しの可能性を示唆している。民主党は、国家公務員人件費の2割削減を掲げ、2013年度の新規採用を09年度比で56%削減し3,870人とする方針を閣議決定している。
政権が交代したとは言え、長期の経済停滞の中で1,000兆円以上の公的債務を抱え、財政難である上、中・長期的に少子化、人口減の傾向であり、国民の租税負担能力も低下するという客観情勢は変わらないところであり、このような拙速な朝令暮改を行って良いものであろうか。
1、少子化、人口減、低成長等に備えた行政組織の簡素化の必要性 (その1で掲載)
2、中間採用、公募による国民への行政の門戸開放 (その2で掲載)
3、行政機能の中央管理から地方への移転など統治システムの改革
日本の行政システムは、戦後の統制経済から再出発し、高度成長期に急速に拡大したため、中央統制・管理型の組織、制度となっている。市販の薬品をネットで販売することが省令で禁止されていたが、今回最高裁において法律で規制されておらず、民間活動を根拠なく規制するものとして違法とされた。この種の省令や局、課レベルの通達、指導類が多数存在し、箸の上げ下げまで規制することが常態化すると共に、中央政府が地方に多くの事務所、施設を抱え、また地方行政に各種の指示、指導を行っていることから、民間活動や地方の自主性や活力を削いでいる面が指摘されている。政府の財政に制約がある場合、民間の活力や地方の創造性や活力を活かさなければ前進し難い状況になっている。
もとより戦後飛躍的に経済社会が拡大している上、厳しい財政難に直面しているので、中央官庁が何から何まで統制、管理することは無理であると共に、秩序を維持するため最小限の規制や罰則は必要であるが、民主主義、自由市場においては個人や地方の活動を原則として自由とし、それぞれの自主的努力を最大限に発揮出来るようにすることが望ましい。それが大きな発展のエネルギーとなる。同時に民間や地方も行政当局への依存心を捨て、自主性と創造力を発揮して事に当たり、その結果は自らで責任を取るという意識を一層強く持つことが望まれる。
今後の課題は、中央官庁の機能、組織等を簡素化すると共に、機能を地方に移管し、地方がそれぞれの責任においてエネルギーを最大限に発揮し、地域住民へ行政サービスを届けられるようにすることであろう。安易に中央官庁の新規採用を増加することではなさそうだ。
政権が変われば政策が変わることがこれで明らかになったが、前政権の閣議決定としてもそれを安易に朝令暮改することは、議員内閣制や政治への信頼性を低下させ、行政当局の相対的な力を強める結果となろう。それに応じることは楽であるが、その積み重ねが行政当局に甘くなる体質を作り上げる上、結局はその負担は国民にツケは国民に付け回されることになる。
5兆円強の国債を発行して緊急経済対策を実施し、経済回復の兆しが見え始めるとそれを根拠に2014年4月からの消費増税を実施に移すという行政当局としては景気の良い話である。しかし5兆円強の国債はいずれ国民の税金で返済しなければならないものであるので、国債発行と消費増税を前提として国家公務員の新規採用を増やせるというのであれば、独立行政法人など政府関係機関を含め連結ベースで新規採用を増やさず、国債発行を削減する方向で対応することが望ましい。
(2013.01.12.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)