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自・公政権でも福島原発への対応は出来なかった!?

2019-11-05 | Weblog
 シリーズ本音トークー自・公政権でも福島原発への対応は出来なかった!?
 9月9日、千葉市一帯を直撃した大型の台風15号は、千葉県全域、特に同県南部に大きな被害を与えると共に、被害が停電、断水、屋根の破壊などによることから長期化と2次被害の拡大が懸念されている。
 最大の問題は、広範囲にわたる停電で、40~60万戸以上が数日間停電となり、断水も続いた。東電は当初数日以内での復旧を予想したが、4日後の13日で40万戸、6日後の15日でも14万戸前後の停電が続き、被災者のいら立ちが募った。
 台風が去った後、多くの人は数日以内で復旧するのではと予想した。テレビの報道でも、市内はところどころ建物や樹木の破損が見られても、台風一過空気は澄み、川の決壊も洪水も、地滑りなどもなく、空は青く、目視できる範囲では被害は局部的で、それ程深刻とは映っていなかった。千葉県は、自衛隊の出動を求めたが、給水と風呂の提供程度で、救援活動は限定的なものであった。
 しかし復旧は遅々として進まなかった。電気の復旧作業が進むにつれ、作業を阻んだものがある。コンクリートの電柱や大木がなぎ倒され、電線を切り、道路をふさいでいた。また送電線の鉄塔がなぎ倒されていた。目や映像で分かり易い洪水や河川決壊、山崩れなどではなく、去ってしまえば澄んだ空気しか残らない「風害」だ。この状況は、東電の通常の能力を超えるものだ。
 東電の電力復旧の予想が甘かったと批判されているが、9月11日の政策課題もなく緊急性もない内閣改造を経て、被災3日後の12日時点でも、数十万戸の停電と断水が続き、熱中症による被害も出始めていた。広域な被害と長期化は明らかだった。被害状況は、一電力会社で対応できる範囲を超えるものであることは明らかだ。この時点で政府は、何故閣僚レベルの緊急対策会議を開催して、自衛隊の災害救援チームの本格派遣を含む、国レベルの対策を緊急に検討し、道路網、鉄道などの復旧に乗り出さなかったのか。千葉県も、何故国レベルの救援活動を政府に要請しなかったのか。
 9月12日には、新たに任命された経産相などが現地入りしたとの報道があったが、具体的対応には至っていない。
 野党が甚大災害指定を求めた中、菅官房長官は9月13日午前の記者会見で、激甚災害の指定に関連し、「その前提となる被害状況の調査について実施を指示した」旨と述べ、その上で「激甚災害と判断した場合は、迅速に対応していく」との考えを明らかにした。
 被害発生5日目にして「被害状況の調査を支持した」とは何とも悠長なことだ。台風による天災であるので、誰も批判はできない。しかし被害後の対策については、明らかに危機管理の初動動作の遅れ、甘さと言えよう。政府と千葉県庁の責任が問われる。
 安倍自・公政権は、このような状況の中で、9月11日、注目される政策課題も緊急性もない中、内閣改造を実施、発表し、報道では新大臣誕生、改造内閣の発足に浮かれていたように映っていた。小泉進次郎議員の環境相就任などは頻繁に報道され、40万戸余の千葉県民が暑さの中不自由な生活を強いられていた中で、同相は12日に千葉県をスルーして福島県を訪問した。あたかもタレント気取り、大臣気取りだ。新内閣を象徴するような行動と言えよう。同相はその後16日に同県を視察し、がれきの処理の重要性などを述べていたが、如何にも取ってつけたようなパーフォーマンスとしか映らない。
 そんな中安倍首相は、17日、官邸に自衛隊幹部を集め、訓示をしていた。自衛隊の内外での活躍に言及しつつ、「・・・台風15号、九州地方の豪雨、豚コレラ、その現場にはいつも自衛隊の姿があります。」と。更に、長々と新たな防衛大綱や航空宇宙自衛隊の創設などに言及し、「・・・いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしを守る。」などと自衛隊の使命感と責任感を鼓舞した。この時未だに千葉県では40万戸ほどの停電や断水で県民は不安で苦しい生活を強いられていた。無論、国全体の安全保障を考えることは必要だ。しかし、対応の遅れで隣接する地域の40万戸以上が停電と断水、屋根の破損等で苦しんでいる時に訓示でもあるまい。夏に千葉県と官邸で防災訓練をしているからもういいということなのか。言葉では「国民の命と平和な暮らしを守る」ときれいごとを言いながら、実際は守ってはいない。どうもこの政権は、言葉と行動の乖離が著しく、国民に不安と違和感を与えている。
千葉県知事も記者に対応の遅れを問われ、「市町村から情報が来ていなかったので、対応のしようがなかった」との趣旨を述べているが、責任の転嫁とも取れる。情報は届きようがなかった。広範囲に停電し、アンテナは破損し、通信網や交通は途絶えていたのだ。これが今回の「風害」危機の根本原因の一つで、地球環境の劣化により、今後これ以上の天災が予想される。大規模地震と津波も予想されている。情報が上がってこなかったでは済まされない。
 政府及び千葉県は、見えにくい「風害」という緊急事態への対応に遅れを取り、被害の長期化を招いた。それは過去には例を見ない威力の「風害」であり、「想定外」であったからである。自民党であれ、立憲民主、国民民主党であれ、どの政権であれ、「想定外」の緊急事態に遅れを取る恐れがあるということだろう。
 2011年3月、東北を襲った大規模地震・津波は思いもよらない大きな被害をもたらし、福島原発事故が起こった。この時、2つの想定外が発生した。一つは津波が防潮堤を越え、施設の電気系統を壊したこと。二つ目は、そのため冷却装置が作動しなくなり、炉心の融解(メルトダウン)が発生し、放射能が飛び散った。
 この2つの想定外に対し、直接の責任者である東電の対応は後手後手のとなった。東電の能力をはるかに越える事態だ。今回の台風15号の状況に近似する。これを受けた民主党政権も対応が遅れ、当時の野党自民党や保守系紙等は、民主党政権を批判し、政権から引きずりおろす結果となった。
 しかし、もし自・公政権であったとしても、この二つの「想定外」を前にして対応はそれ程違わなかったであろう。今回の台風15号への対応がそれを物語っている。自民党への批判は民主党政権以上となった可能性がある。戦後長期に政権の座を占めて来た自民党が、原子力の「安全神話」を旗印として、地方を交付金、補助金漬けにして原子力発電所を普及して来たからだ。「安全神話」は崩れた。自民党はその責任を問われたであろう。
 今回の台風15号により、「想定外」の風害脅威にさらされ、自・公政権の対応は遅れた。そのため熱中症被害や作物、養鶏等への被害、家屋への水漏れなどの被害へと拡大した。「想定外」は、対応においても想定することは困難であり、批判し合うのではなく、補い合って対応することが望ましい。
 このことを見ると、自・公政権は、大規模災害や緊急事態への対応を検討はしているが、目先の対応が中心であり、野党とも協力して対応しようとの本気度に欠けるように見える。
 南海トラフの大地震が首都圏を襲ったらどうなるのか。政府はしきりとその可能性を広報しているが、避難所の確保や交通規制などの対応はほとんど効果がない可能性がある。電気が消え、テレビ放送や電話・形態などの連絡網は途絶え、長期にわたる可能性がある。一部のビルや諸施設は倒壊する可能性がある。本気度が問われる。
皇居を京都御所に移し、江戸城址を保存、保護しつつ、そこを首都圏大規模災害の一時避難所などとして必要な期間活用できるようにするなど、統治機能の分散、改革を含む検討が必要のようだ。従来型の目先の措置では対応は困難であろう。
(2019.9.24.)
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台風15号被害、激甚災害指定の遅れ!!

2019-11-05 | Weblog
シリーズ本音トークー台風15号被害、激甚災害指定の遅れ!!
 9月8日から9日にかけて関東地方を襲った台風15号は、千葉市付近に上陸し、千葉県全域に大きな被害を出した。
 台風が去った後は熱波が入り込み暑さが続いたが、停電や断水が続き多くの人々がその影響を受けた。その中で熱中症による死者もでたため、安否が気遣われた。しかし固定電話は不通、携帯電話も電池切れなどで不通、内房線や外房線等は運休で、安否の確認は困難を極めた。
 最大の問題は、広範囲にわたる停電で、40万戸以上が数日間停電となった。東電は当初数日以内での復旧を予想したが、15日現在でも14万戸前後の停電が続き、被災者のいら立ちが募っている。
 台風が去った後、多くの人は数日以内で復旧するのではと予想した。テレビの報道でも、市内はところどころ建物や樹木の破損が見られても、台風一過空気は澄み、川の決壊も洪水も、地滑りなどもなく、空は青く、目視できる範囲では被害は局部的で、それ程深刻とは映っていなかった。
 しかし復旧は遅々として進まなかった。電気の復旧作業が進むにつれ、作業を阻んだものがある。コンクリートの電柱や大木がなぎ倒され、電線を切り、道路をふさいでいた。また送電線の鉄塔がなぎ倒されていた。目や映像で分かり易い洪水や河川決壊、山崩れなどではなく、去ってしまえば澄んだ空気しか残らない「風害」だ。この状況は、東電の通常の能力を超えるものだ。
 野党が甚大災害指定求めた。これに対し菅官房長官は9月13日午前の記者会見で、激甚災害の指定に関連し、「その前提となる被害状況の調査について実施を指示した」旨と述べ、その上で「激甚災害と判断した場合は、迅速に対応していく」との考えを明らかにした。
 被害発生5日目にして「被害状況の調査を支持した」とは何とも悠長なことだ。40万戸規模の停電や断水が発生し、猛暑の中の死者も出ているのに。台風による被害であるので、誰も批判はできない。しかし被害後の対策については、明らかに危機管理の初動動作の遅れ、甘さと言えよう。政府と千葉県庁の責任が問われる。
 政府については、このような状況の中で、11日に内閣改造を発表し、報道では新大臣誕生、改造内閣の発足に浮かれていたように映っていた。小泉進次郎議員の環境相就任などは頻繁に報道され、40万戸余の千葉県民が暑さの中不自由な生活を強いられていたなかで、同相は千葉県をスルーして福島県を訪問した。あたかもタレント気取り、大臣気取りだ。新内閣を象徴するような行動と言えよう。
 政府及び千葉県は、見えにくい「風害」を前にして、早急に「甚大被害」レベルの対応を決定し、自衛隊、消防を集中的に派遣し、道路網など、交通の復旧に当たらせるべきであったのだろう。(2019.9.15.)
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新天皇の祝賀パレードなどはこの状況で必要か??

2019-11-05 | Weblog
シリーズ本音トーク―新天皇の祝賀パレードなどはこの状況で必要か??
2019年5月1日の新天皇の即位を受けて、10月22日、「即位の礼正殿の儀」が行われ、新天皇即位が内外に宣明された。祝意を表したい。そして夕刻から外国からの賓客などを招いた「饗宴の儀」が開催された。
しかし台風15号による被害が未だ残る中、台風19号による広範かつ甚大な被害を考慮し、「祝賀御列の儀」と称される祝賀パレードは11月10日に延期する予定となっている。 外国からの賓客などを招いた饗宴の儀は艶やかに開催された。饗宴の儀は10月31日までに更に3回開催されるという。
式典は文字通り歴史絵巻のようであり、日本の古来の文化、歴史を伝承する上で大変興味深く、保存されて行くことが望ましいが、問題もありそうだ。
1、祝賀パレード「祝賀御列の儀」はこの大きな台風被害の中で必要か?
慶事であるので祝賀を開催できる状況であればパレードを開催したらよい。
しかし(1)台風15号、19号の被害はお膝元の千葉を含め、関東一円から東北地方にまで広がり、多くの被害者は苦しんでおり、到底11月10日までに解決しそうにない。新天皇は、即位を宣明された際、「・・国民の幸せと世界の平和を願い」と言われ「国民に寄り添って・・務める」と述べられているが、それは国家行事が優先するということなのだろうか。国民の間には、空疎な気持ちを抱く者も少なくない。
また(2)5月1日のご即位に際し、国民の祝意を既に受けられている。外国賓客は11月10日までには帰国しているので、更にこの状況で国民への祝賀パレードを強行すべきなのだろうか。
更に(3)2ヶ月後には新年の参賀があり、そこでも祝意を受けられる。
 また外国賓客などを招いた饗宴の儀は良いとしても、外国賓客が帰国した後に更に3回も祝賀晩餐会を開催すべきなのだろうか。日常生活にも困っている多くの国民がいる中でのことであるので、どうしても被災者のご苦労が気になってしまい、同情する声が聞かれる。

2、国家的行事にしても160億円強の予算は必要だったのか?!
英国の新聞が「簡素であるが、160億円も掛かっている」との皮肉った記事を掲げている。国家行事であるのでそのくらい掛かるのかもしれないが、高額だ。
 例えば、即位を宣明された「高御座」などを京都御所から解体、輸送するのに9億掛かっている。それなら何故、旧来通り京都御所で行わないのか。何と、明治、大正、昭和と京都御所で行っている。また十二単のあでやかな和装も皇后は良いとしても、宮家の女性すべてに必要だろうか。この種の無駄が多く、いわば‘ご祝儀予算’ではないのか。それだけの予算があれば、被災者をかなり救済できそうだ。‘政府の金’などは一銭もない。それは国民の税金であり、権威を示すためとしても、出来るだけ被災地に回して欲しいと国民は願うのではないか。予算の使い道が重要だ。「納税は国民の義務」とされ、脱税で摘発される者も少なくないが、皇室を含め政府は、支出の無駄や贅沢を無くし、節約する義務があるのだろう。
それでなくても、政府は1,100兆円以上の公的債務を負っているので、一般論として贅沢や無駄は許されない。

3、「国民統合の象徴」による神道形式の神儀の謎?
 同日午後1時から開始された「即位の礼正殿の儀」に先立ち、「宮中三殿」で神儀が行われた。「三殿」は皇居内の吹上御苑の東南にある宗教施設であり、賢所、皇霊殿、神殿で構成され、それぞれ神道の神を祀っており、宮中祭祀(皇室祭祀)の中心となっている。
この神道行事は、同日午前中に時間を掛けて行われたが、冒頭の入場風景を除き非公開で行われ、内部の状況は分からない。
「国は宗教行事を行わない」との憲法上の制約を配慮し、公式行事である「即位の礼正殿の儀」などとは切り離し、予算上も皇族の行事として「内廷費」を充当し、すみ分けている模様だが、一見違憲論を回避しているものの、厳密に言えば「内廷費」も国家予算から出ているので、国家による神道形式の宗教行事の実施と見ることもできる。
しかしもっと根本的な問題は、明治以来の旧帝国憲法が廃止され、現行憲になって、民主主義国家となり、国家による宗教活動が禁止されてからも、皇居内に神道行事を行う「三殿」が維持されていたとは驚きである。旧帝国憲法の下では、天皇はいわば祭政一致の専制君主であったが、新憲法の下では「国及び国民統合の象徴」であって、天皇が神道という特定の宗教施設を保持し、日常的に神道行事を行うことは、国による宗教活動が禁止されている以上許されて良いものではない。無論、天皇も個人として神道を信じることは許されようが、それは私的に行われるべきで、公的な天皇の居所である皇居の外で行われるべきであろう。本来であれば、終戦後、新憲法が制定された段階で、少なくてもこれら「三殿」を公的な居所の外に移設するか、外部の神道施設を利用すべきであった。
 これが平成以降既成事実として保持され、更に既成事実が重ねられると、神道が日本の象徴的単一宗教となり、国教に近い宗教となり、天皇が祭政一致の「象徴」となって行く可能性がある。これは憲法の規定、精神を歪曲することになる。民主主義の根幹は多様性に他ならない。
 本来であれば、明治維新以降、江戸幕府打倒(倒幕)に成功し日本の支配者となり、専制君主、軍の統帥としての天皇制は、旧帝国憲法が廃され、現行憲法が制定された段階で、もはや支配者でも専制君主でもなくなり、主権在民となった段階で、江戸城趾内に居を構え皇居とされたものを京都御所に戻すなりしつつ、新憲法の下での「象徴天皇」のあり方を検討すべきであったのであろう。今でも遅くはない。

 4、「万歳三唱」から想起されること
 「正殿の儀」の最後に首相が祝辞を述べ、新天皇に向かい「万歳三唱」を行った。参列していた日本人は女性を含めて皆起立し、両手を挙げ「万歳」を三唱した。200名以上の外国の賓客は、座したまま身動きもしない。異様な光景だ。
 「万歳」を三唱する姿は、北朝鮮の国民が金正恩委員長に‘バンゼエ’を連呼する光景を連想させる。
 歴史的には、第2次世界大戦において、多くの将兵たちが‘天皇陛下万歳’を唱え戦地に向かい、戦争末期には特攻隊が戦闘機や魚雷艇で敵艦船に突入する際、‘天皇陛下万歳’と唱え散っていったと語り伝えられていることを思い出させる。
第2次世界大戦では、210万人ほどの将兵が死亡し、100万人にも及ぶ一般市民が命を失っている。(2019.10.25.)
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韓米軍事同盟に日本は参加すべきではないー再掲

2019-11-05 | Weblog
シリーズ本音トーク―韓米軍事同盟に日本は参加すべきではないー再掲
 韓国の康京和(カン ギョンファ)外交部長官は2017年10月30日、議会での外交関係の国政監査において、対北朝鮮防衛強化のため配備された米国の迎撃ミサイルTHAADを巡り悪化している中国との関係について、中韓首脳会談開催への期待を表明しつつ、次の3つの立場を明らかにした。
・THAADの追加配備は行わない。
・米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない。
・韓日米安保協力は軍事同盟に発展しない。
 これはTHAADの配備を巡り悪化している中韓関係の‘復元’、正常化を狙った発言と見られており、‘三不’政策とも言われている。
 これに対し中国外務省は、同日午後に報道官が康長官の発言に関連して、「韓国側のこうした3つの立場を重視する」とし、韓国側がこれを実際に行動に移すことを願う旨述べた。しかし中国側が、韓国外交部長官の発言を‘約束’との表現を用いたため、韓国内でも議論となっている。
 中国側は、韓国におけるTHAAD配備と共に、米韓日の軍事同盟化を強く警戒していると見られ、中国が10月の全人代で習体制を固めて以降、日本との関係を改善する姿勢になっているのはこれを阻止するためとも思われる。
 韓国が、米韓日の軍事同盟を望んでいなければそれに参加する必要はない。日本側がそのような意向を表明したこともない。もっとも軍事同盟については、一方の同盟国への北朝鮮を含む第三国からの攻撃は日本への攻撃とみなされ、参戦しなくてはならなくなるので、日本の現行憲法ではそのような軍事同盟に参加することは困難であろう。従って韓国側から言われるまでもない。
 そもそも朝鮮戦争は1953年の休戦協定により軍事対決こそ回避されているが、米韓両国と北朝鮮は現在でも敵対関係にあり、北の核、ミサイル開発は基本的に米韓への対抗措置として進められているものである。日本は、朝鮮戦争の当事国でもない。また第二次世界大戦後、北朝鮮とは平和条約を締結していないが、2002年9月に小泉首相(当時)と金正日総書記(当時)とで調印された日朝ピョンヤン宣言において、拉致家族問題の他、日朝国交正常化交渉の開始などが盛り込まれており、この宣言は自・公連立政権において破棄はされていない。
従って政策論としても、朝鮮半島有事の場合には米軍への必要な後方支援は行うことになろうが、日本及び日本国民の安全のためにも、米韓との軍事同盟に参加しないことが賢明な選択肢と言えよう。(2017.11.23.)シリーズ本音トーク―韓米軍事同盟に日本は参加すべきではないー再掲
 韓国の康京和(カン ギョンファ)外交部長官は2017年10月30日、議会での外交関係の国政監査において、対北朝鮮防衛強化のため配備された米国の迎撃ミサイルTHAADを巡り悪化している中国との関係について、中韓首脳会談開催への期待を表明しつつ、次の3つの立場を明らかにした。
・THAADの追加配備は行わない。
・米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない。
・韓日米安保協力は軍事同盟に発展しない。
 これはTHAADの配備を巡り悪化している中韓関係の‘復元’、正常化を狙った発言と見られており、‘三不’政策とも言われている。
 これに対し中国外務省は、同日午後に報道官が康長官の発言に関連して、「韓国側のこうした3つの立場を重視する」とし、韓国側がこれを実際に行動に移すことを願う旨述べた。しかし中国側が、韓国外交部長官の発言を‘約束’との表現を用いたため、韓国内でも議論となっている。
 中国側は、韓国におけるTHAAD配備と共に、米韓日の軍事同盟化を強く警戒していると見られ、中国が10月の全人代で習体制を固めて以降、日本との関係を改善する姿勢になっているのはこれを阻止するためとも思われる。
 韓国が、米韓日の軍事同盟を望んでいなければそれに参加する必要はない。日本側がそのような意向を表明したこともない。もっとも軍事同盟については、一方の同盟国への北朝鮮を含む第三国からの攻撃は日本への攻撃とみなされ、参戦しなくてはならなくなるので、日本の現行憲法ではそのような軍事同盟に参加することは困難であろう。従って韓国側から言われるまでもない。
 そもそも朝鮮戦争は1953年の休戦協定により軍事対決こそ回避されているが、米韓両国と北朝鮮は現在でも敵対関係にあり、北の核、ミサイル開発は基本的に米韓への対抗措置として進められているものである。日本は、朝鮮戦争の当事国でもない。また第二次世界大戦後、北朝鮮とは平和条約を締結していないが、2002年9月に小泉首相(当時)と金正日総書記(当時)とで調印された日朝ピョンヤン宣言において、拉致家族問題の他、日朝国交正常化交渉の開始などが盛り込まれており、この宣言は自・公連立政権において破棄はされていない。
従って政策論としても、朝鮮半島有事の場合には米軍への必要な後方支援は行うことになろうが、日本及び日本国民の安全のためにも、米韓との軍事同盟に参加しないことが賢明な選択肢と言えよう。(2017.11.23.)
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トランプ大統領の訪日に際し望まれたこと

2019-11-05 | Weblog
トランプ大統領の訪日に際し望まれたこと
5月25日より28日までトランプ大統領が国賓と訪日する。心より歓迎すると共に、快適で良い訪日であることを期待する。
訪日中には、天皇との会見の他、日・米首脳会談が行われ、朝鮮半島非核化を含む国際問題、安全保障問題や通商問題などにつき協議されると予想される。
日米安全保障問題については、両国首脳の良好な関係に沿って両国間の良好な同盟関係が再確認されよう。しかし日・米首脳間の関係が良好であれば、折角の機会であるので、次の潜在的な懸案につきトランプ大統領に提起し、理解と英断を求めることが期待される。
1、沖縄普天間米軍飛行場の迅速な返還と辺野古移設の再検討
普天間米軍飛行場の日本返還が合意されて20年以上経つ。またその代替として埋め立てが行われている辺野古沿岸の米海兵隊航空基地については、沖縄県民の一貫した反対で未だに目途が立っていない。その上20年以上経った今日でも、知事選や2019年衆議院議員補選についても与党は敗退している上、辺野古に関する県民投票(2019年2月24日)では7割以上が建設に反対している。
沖縄県民の民意は明らかであり、普天間米軍飛行場の即時返還と辺野古沿岸の軍用航空基地建設を中止し、代替地を検討することが望ましい。
安全保障問題は、中央政府の‘専管事項’とされているが、日本国内の特定県に外国の軍事基地を建設することは、県民生活に更に大きな影響を与えると共に、完成後の円滑な運用にとっても県民の理解と協力が必要であるので、沖縄県民の民意が尊重されるべきであろう。現状では、県民が示した民意と共に地方自治が完全否定されたに等しい状況であり、米国としても沖縄県に基地を持つ以上、民意をくみ取るべきであろう。
2、米軍横田基地上空の制空権の返還
米軍横田基地上空の制空権は、現在米軍に与えられているが、羽田空港を利用する民間航空の航路を制限しており、直ちに日本側に返還し、日本側航空当局との協議により使用されるべきであろう。
独立国で制空権を米軍に与えているのは世界で日本のみであり、速やかな是正が不可欠である。
3、日本駐在の米国軍人の職務外の犯罪の裁判権の日本への返還
日米地位協定において、米国軍人の職務外の行動における犯罪についても、日本側に裁判権はないという、植民地支配の状況が続いていることは驚きである。
米軍横田基地上空の制空権だけでなく、米国軍人の職務外の行動における裁判権についてもNATO諸国並みの対応が望まれる。
日・米が対等な同盟関係にあると言うのであれば、これらの不平等性について早急な改善が望まれる。
日米安全保障条約では、米国が第3国から攻撃されても日本は米国を防衛する義務はなく、不平等性が存在する。しかしこれは憲法上の制約によるものである一方、日本側は、米国に基地を提供すると共に、年によっても増減はあるが、年間約3,000億円近くの経費を負担しており、更に米国より多量の武器類を購入しているので、不平等性は相殺されていると言えよう。
両国首脳間に真の信頼関係があるのであれば、トランプ大統領の訪日を契機に上記の諸点につき進展することを期待したい。

日・米関係は、日本の外交、安保政策の礎であるが、軍事同盟化を強めれば強めるほど、ロシア等が反発を強めるのは十分予想ことであり、そうなれば北方領土問題の解決は益々遠のくことが予想される。米・ロが関係を修復し、日・米・ロ3国間の関係改善と交流の促進が望まれる。
ロシアのプーチン大統領は、北方領土は『戦争で取得したもの』であり、ロシアの領土としているが、だからこそ北方領土問題を解決し、平和条約を締結しようとしていることを、ロシア側は理解すべきであろう。(2019.5.24.)(All Rights Reserved.) トランプ大統領の訪日に際し望まれたこと
5月25日より28日までトランプ大統領が国賓と訪日する。心より歓迎すると共に、快適で良い訪日であることを期待する。
訪日中には、天皇との会見の他、日・米首脳会談が行われ、朝鮮半島非核化を含む国際問題、安全保障問題や通商問題などにつき協議されると予想される。
日米安全保障問題については、両国首脳の良好な関係に沿って両国間の良好な同盟関係が再確認されよう。しかし日・米首脳間の関係が良好であれば、折角の機会であるので、次の潜在的な懸案につきトランプ大統領に提起し、理解と英断を求めることが期待される。
1、沖縄普天間米軍飛行場の迅速な返還と辺野古移設の再検討
普天間米軍飛行場の日本返還が合意されて20年以上経つ。またその代替として埋め立てが行われている辺野古沿岸の米海兵隊航空基地については、沖縄県民の一貫した反対で未だに目途が立っていない。その上20年以上経った今日でも、知事選や2019年衆議院議員補選についても与党は敗退している上、辺野古に関する県民投票(2019年2月24日)では7割以上が建設に反対している。
沖縄県民の民意は明らかであり、普天間米軍飛行場の即時返還と辺野古沿岸の軍用航空基地建設を中止し、代替地を検討することが望ましい。
安全保障問題は、中央政府の‘専管事項’とされているが、日本国内の特定県に外国の軍事基地を建設することは、県民生活に更に大きな影響を与えると共に、完成後の円滑な運用にとっても県民の理解と協力が必要であるので、沖縄県民の民意が尊重されるべきであろう。現状では、県民が示した民意と共に地方自治が完全否定されたに等しい状況であり、米国としても沖縄県に基地を持つ以上、民意をくみ取るべきであろう。
2、米軍横田基地上空の制空権の返還
米軍横田基地上空の制空権は、現在米軍に与えられているが、羽田空港を利用する民間航空の航路を制限しており、直ちに日本側に返還し、日本側航空当局との協議により使用されるべきであろう。
独立国で制空権を米軍に与えているのは世界で日本のみであり、速やかな是正が不可欠である。
3、日本駐在の米国軍人の職務外の犯罪の裁判権の日本への返還
日米地位協定において、米国軍人の職務外の行動における犯罪についても、日本側に裁判権はないという、植民地支配の状況が続いていることは驚きである。
米軍横田基地上空の制空権だけでなく、米国軍人の職務外の行動における裁判権についてもNATO諸国並みの対応が望まれる。
日・米が対等な同盟関係にあると言うのであれば、これらの不平等性について早急な改善が望まれる。
日米安全保障条約では、米国が第3国から攻撃されても日本は米国を防衛する義務はなく、不平等性が存在する。しかしこれは憲法上の制約によるものである一方、日本側は、米国に基地を提供すると共に、年によっても増減はあるが、年間約3,000億円近くの経費を負担しており、更に米国より多量の武器類を購入しているので、不平等性は相殺されていると言えよう。
両国首脳間に真の信頼関係があるのであれば、トランプ大統領の訪日を契機に上記の諸点につき進展することを期待したい。

日・米関係は、日本の外交、安保政策の礎であるが、軍事同盟化を強めれば強めるほど、ロシア等が反発を強めるのは十分予想ことであり、そうなれば北方領土問題の解決は益々遠のくことが予想される。米・ロが関係を修復し、日・米・ロ3国間の関係改善と交流の促進が望まれる。
ロシアのプーチン大統領は、北方領土は『戦争で取得したもの』であり、ロシアの領土としているが、だからこそ北方領土問題を解決し、平和条約を締結しようとしていることを、ロシア側は理解すべきであろう。(2019.5.24.)(All Rights Reserved.)
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インフレターゲット2%は賞味期限切れ、必要になった政策転換ー再掲

2019-11-05 | Weblog
インフレターゲット2%は賞味期限切れ、必要になった政策転換ー再掲
 総務省は、2月17日、2016年の総世帯の家計調査の結果として、1世帯当たりの消費支出(平均24万2千円/月)が実質で前年比1.8%減となったことを公表した。前年割れは3年連続で個人消費の不振が長期化している。
 中央銀行は、2013年1月から、インフレターゲットを2%とし‘異次元の通貨供給の量的緩和’を実施し、デフレマインドを払拭し、経済成長を促す政策をとって来た。1世帯当たりの消費支出の前年比実質1.8%減、そして3年連続の前年割れは、インフレターゲット2%目標の破たんを意味する。インフレターゲット2%を目標とする量的緩和は、アベノミクスの第一の矢であり、同時に第二の矢である円安を誘導するものであるので、アベノミクス自体が成果を出しておらず、破たん状態となっていることを意味する。財政再建と言いながら、予算節減は行わず、補正予算に赤字国債まで使っている。
 また2016年前半に、中銀が窮余の策としてマイナス金利を導入したが、それで進んだのは借り入れの切り替えであり、貸し出しは進んでおらず、逆に預金者のデフレ感を煽ると共に、金融機関の収益を圧迫するなど、逆効果となっている。更に、米国が一昨年より金利引き上げを含む金融、通貨の正常化に向かおうとしている時期に、日本がマイナス金利を導入することは米国の動きに逆行する政策と言える。黒田中銀総裁は、意地でもこれまでの金融、通貨政策の継続を主張するであろうが、日本も金利の正常化が必要になっている。そもそも同総裁は、法学部出身の財務官僚であり、実体経済を知らず、法律や規則を定めれば物事が規制できると考えているのではなかろうか。
 アベノミクスは4年を経過して目標を達成出来ないばかりか、言葉や説明とは反対に、事実上破たんし、デフレ下の景気停滞であるスタグフレーションに入っていると言えそうだ。金融政策頼みの景気対策には限界があり、実体経済は各種規制に縛られ停滞しており、これまでの政策を継続しても好転は望めそうもない。政策の抜本的転換と消費者、国民の年金給付減や医療・介護などへの負担感と世代横断的な将来不安への真摯な対応が望まれる。(2017.2.19.)(All Rights Reserved.)
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マイナス金利はアベノミクス失敗の証し!ー再掲

2019-11-05 | Weblog
シリーズ平成の本音―マイナス金利はアベノミクス失敗の証し!ー再掲
2月16日、日銀はマイナス金利を導入した。マイナス金利については、政府も住宅ローンの金利低下などによる効果に期待を表明しており、短期的には一定の刺激策になる。しかし他方で、低迷している銀行・金融業を更に圧迫すると共に、国民は預金金利のゼロ化に加え、手数料と物価上昇を加味すると実質マイナス金利が拡大し、負担が増える上行き場を失った金は停滞する経済には還流せず、たんす預金や海外逃避として市場から消える可能性が更に強まるなど、中長期的にはマイナス効果が大きくなろう。住宅ローンの金利低下についても、借り換え需要は増えても、建設費・新規物件が高騰しているなかでの大口支出となるので効果はそれ程期待出来なさそうだ。
 しかしマイナス金利政策の最大の問題は、通貨供給の大幅緩和、2%のインフレ目標によるデフレからの脱却、賃金・物価の好循環というアベノミクスの失敗を意味することだ。賃金・物価の好循環が実現すれば、需要は上がり、景気回復と共に預金金利も上昇して行かなくてはならない。2013年1月から異次元の金融緩和、円安誘導が実施され3年強、輸出産業を中心とする景気の回復、賃金・物価の好循環が期待されると言われて来たが、マイナス金利政策は、自・公連立政権が自らアベノミクスではこのようなシナリオを実現出来なかったことを宣言しているに等しい。
アベノミクスでは、異次元の金融緩和による円安と放漫な財政支出いう2つの矢は放たれたが、第3の矢として期待された規制緩和などの成長戦略については見るべき成果は無かった。2015年9月の改造内閣で表明された‘GDP600兆円達成’などの‘新3本の矢’も‘矢’では無く、目標としての‘的’でしかないと言われている。その上、一億総活躍社会を目指すとして補正予算で低所得老齢者に3万円給付(総額3,500億円内外、補正予算の約1割)を打ち出す一方、多数の待機児童問題を放置し、働く女性の活躍の機会を奪うなど、的を得ていない選挙目当ての政策に終始している。政権側は、中国など世界経済環境の厳しさを上げているが、アベノミクスとはその程度のものだったと言いたいのだろうか。
更に、自・公連立政権によって法律で定められた2017年4月からの10%への消費税再増税について延期が検討されている。もし消費税再増税が延期されるようなことになれば、自・公連立政権の読みの甘さ以上に、アベノミクスの失敗を自らが認めることを意味する。
個人消費の低迷は、8%への消費税のためではない。3%の増税分は、3~5%内外のポイント還元や割引で相殺されており基本的な影響は少ない。国民の消費節約はもっと根深く、インフレ容認による生活用品の実質的便乗的な値上げと年金の目減り、消費増税・復興税・マイナス金利などの負担増を含む家計所得の実質減、将来不安であろう。政府のインフレ容認により飲食料他の生活用品などは、価格が軒並み2~3割内外高騰しており、消費増税率を遥かに上回る。価格が据え置かれているように見える商品も、ボトルやサイズが縮小し、実質的な値上げをしている。好例はバターで、2014年10、11月頃より高騰している上、棚から商品が消えている。酪農など農業失政の一例と言えよう。
(2016.4.9.)(All Rights Reserved.)
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新天皇の祝賀パレードなどはこの状況で必要か??

2019-11-05 | Weblog
シリーズ本音トーク―新天皇の祝賀パレードなどはこの状況で必要か??
2019年5月1日の新天皇の即位を受けて、10月22日、「即位の礼正殿の儀」が行われ、新天皇即位が内外に宣明された。祝意を表したい。そして夕刻から外国からの賓客などを招いた「饗宴の儀」が開催された。
しかし台風15号による被害が未だ残る中、台風19号による広範かつ甚大な被害を考慮し、「祝賀御列の儀」と称される祝賀パレードは11月10日に延期する予定となっている。 外国からの賓客などを招いた饗宴の儀は艶やかに開催された。饗宴の儀は10月31日までに更に3回開催されるという。
式典は文字通り歴史絵巻のようであり、日本の古来の文化、歴史を伝承する上で大変興味深く、保存されて行くことが望ましいが、問題もありそうだ。
1、祝賀パレード「祝賀御列の儀」はこの大きな台風被害の中で必要か?
慶事であるので祝賀を開催できる状況であればパレードを開催したらよい。
しかし(1)台風15号、19号の被害はお膝元の千葉を含め、関東一円から東北地方にまで広がり、多くの被害者は苦しんでおり、到底11月10日までに解決しそうにない。新天皇は、即位を宣明された際、「・・国民の幸せと世界の平和を願い」と言われ「国民に寄り添って・・務める」と述べられているが、それは国家行事が優先するということなのだろうか。国民の間には、空疎な気持ちを抱く者も少なくない。
また(2)5月1日のご即位に際し、国民の祝意を既に受けられている。外国賓客は11月10日までには帰国しているので、更にこの状況で国民への祝賀パレードを強行すべきなのだろうか。
更に(3)2ヶ月後には新年の参賀があり、そこでも祝意を受けられる。
 また外国賓客などを招いた饗宴の儀は良いとしても、外国賓客が帰国した後に更に3回も祝賀晩餐会を開催すべきなのだろうか。日常生活にも困っている多くの国民がいる中でのことであるので、どうしても被災者のご苦労が気になってしまい、同情する声が聞かれる。

2、国家的行事にしても160億円強の予算は必要だったのか?!
英国の新聞が「簡素であるが、160億円も掛かっている」との皮肉った記事を掲げている。国家行事であるのでそのくらい掛かるのかもしれないが、高額だ。
 例えば、即位を宣明された「高御座」などを京都御所から解体、輸送するのに9億掛かっている。それなら何故、旧来通り京都御所で行わないのか。何と、明治、大正、昭和と京都御所で行っている。また十二単のあでやかな和装も皇后は良いとしても、宮家の女性すべてに必要だろうか。この種の無駄が多く、いわば‘ご祝儀予算’ではないのか。それだけの予算があれば、被災者をかなり救済できそうだ。‘政府の金’などは一銭もない。それは国民の税金であり、権威を示すためとしても、出来るだけ被災地に回して欲しいと国民は願うのではないか。予算の使い道が重要だ。「納税は国民の義務」とされ、脱税で摘発される者も少なくないが、皇室を含め政府は、支出の無駄や贅沢を無くし、節約する義務があるのだろう。
それでなくても、政府は1,100兆円以上の公的債務を負っているので、一般論として贅沢や無駄は許されない。

3、「国民統合の象徴」による神道形式の神儀の謎?
 同日午後1時から開始された「即位の礼正殿の儀」に先立ち、「宮中三殿」で神儀が行われた。「三殿」は皇居内の吹上御苑の東南にある宗教施設であり、賢所、皇霊殿、神殿で構成され、それぞれ神道の神を祀っており、宮中祭祀(皇室祭祀)の中心となっている。
この神道行事は、同日午前中に時間を掛けて行われたが、冒頭の入場風景を除き非公開で行われ、内部の状況は分からない。
「国は宗教行事を行わない」との憲法上の制約を配慮し、公式行事である「即位の礼正殿の儀」などとは切り離し、予算上も皇族の行事として「内廷費」を充当し、すみ分けている模様だが、一見違憲論を回避しているものの、厳密に言えば「内廷費」も国家予算から出ているので、国家による神道形式の宗教行事の実施と見ることもできる。
しかしもっと根本的な問題は、明治以来の旧帝国憲法が廃止され、現行憲になって、民主主義国家となり、国家による宗教活動が禁止されてからも、皇居内に神道行事を行う「三殿」が維持されていたとは驚きである。旧帝国憲法の下では、天皇はいわば祭政一致の専制君主であったが、新憲法の下では「国及び国民統合の象徴」であって、天皇が神道という特定の宗教施設を保持し、日常的に神道行事を行うことは、国による宗教活動が禁止されている以上許されて良いものではない。無論、天皇も個人として神道を信じることは許されようが、それは私的に行われるべきで、公的な天皇の居所である皇居の外で行われるべきであろう。本来であれば、終戦後、新憲法が制定された段階で、少なくてもこれら「三殿」を公的な居所の外に移設するか、外部の神道施設を利用すべきであった。
 これが平成以降既成事実として保持され、更に既成事実が重ねられると、神道が日本の象徴的単一宗教となり、国教に近い宗教となり、天皇が祭政一致の「象徴」となって行く可能性がある。これは憲法の規定、精神を歪曲することになる。民主主義の根幹は多様性に他ならない。
 本来であれば、明治維新以降、江戸幕府打倒(倒幕)に成功し日本の支配者となり、専制君主、軍の統帥としての天皇制は、旧帝国憲法が廃され、現行憲法が制定された段階で、もはや支配者でも専制君主でもなくなり、主権在民となった段階で、江戸城趾内に居を構え皇居とされたものを京都御所に戻すなりしつつ、新憲法の下での「象徴天皇」のあり方を検討すべきであったのであろう。今でも遅くはない。

 4、「万歳三唱」から想起されること
 「正殿の儀」の最後に首相が祝辞を述べ、新天皇に向かい「万歳三唱」を行った。参列していた日本人は女性を含めて皆起立し、両手を挙げ「万歳」を三唱した。200名以上の外国の賓客は、座したまま身動きもしない。異様な光景だ。
 「万歳」を三唱する姿は、北朝鮮の国民が金正恩委員長に‘バンゼエ’を連呼する光景を連想させる。
 歴史的には、第2次世界大戦において、多くの将兵たちが‘天皇陛下万歳’を唱え戦地に向かい、戦争末期には特攻隊が戦闘機や魚雷艇で敵艦船に突入する際、‘天皇陛下万歳’と唱え散っていったと語り伝えられていることを思い出させる。
第2次世界大戦では、210万人ほどの将兵が死亡し、100万人にも及ぶ一般市民が命を失っている。(2019.10.25.)
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