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男女平等を支持、だが個人の平等も未達成の日本!

2021-05-23 | Weblog
シリーズ平成の本音―男女平等を支持、だが個人の平等も未達成の日本!
  2021年2月3日に開催されたJOC臨時評議会におけるオリンピック組織委森会長の発言が、女性蔑視的発言としてマスコミ等に報道されたことを端に発し、日本国内での批判が多方面に及んだため、森会長(当時)が釈明会見を行った。しかし謝罪はメモを読むような形で行われ、また記者との質疑応答も高圧的とも見られるやりとりがあったため、批判は更に広がった。国際オリンピック委員会(IOC)も、当初は「謝罪したからよい」との姿勢であったが、米国はじめ国際世論が厳しさを増したため、同会長の発言はオリンピック規定に沿わないとの見解が出されるに至り、辞任に追い込まれた。
 更にその後森会長側が特定者を後任候補に指名、推薦したことが報道され、不透明な指名等として批判されるに至り、2月12日、オリンピック・パラリンピック組織委・評議会合同会議が急遽開催され、森会長が正式に辞任を表明する一方、後任候補については検討委員会において行われることになった。
ここまでの経緯についても、同組織委の右往左往振りは拙劣であり、事務局の事務的トップであり、また森会長慰留に奔走した事務総長の責任が問われている。また同組織委についてが、事務局職員は月収20万程度から200万円となっているようだが、多数のボランテイアが無報酬或いは少額の手当で募集されているにも拘わらず、事務総長はトップとして月200万円、年額2,400円という高額の報酬を得ているのではないかとの疑問の中、事務局幹部の報酬も不公表となっている上、オリ・パラ大会が2020年7月から1年間延期されたにも拘わらず、その後も同じ報酬を得ているのではないかとの疑問も聞かれる。
 新会長については、政府、与党自民党幹部筋やから「女性か若い人」などとして具体的な名前が報道され、これがかえって女性や年長者に対する「逆差別」などとの批判が出るなど、迷走振りは日本だけでなく世界の目からも醜態と映っているようだ。
 1、男女平等が身についていない日本の社会
 このように男女平等への意識が低いという国際世論を背景として、新会長は女性からなどという意見が出ることは、一見理解ある対応と見えるが、要するに国際社会の目を配慮しての対応であり、それで男女平等が確保されるわけでもなく、そのような発想自体、男女平等意識が身についていないことを示している。また、もっと若い人をと言う発想も、新卒優先の定年制や制度を年齢で区別する行政や社会慣行をベースとした、過剰な年齢差別の意識と言えよう。80歳以上の年長者が時代遅れの不適切な発言をしたからと言って、「若い人」を会長とすれば問題が解決するわけでもない。
 他方、森会長(当時)の「女性理事が多いと会議の時間が掛る」との発言については、辞任するほどの発言ではないとの見方もある。しかし今回の批判は、その発言だけではなく、与党自民党の幹部を務め、党内最大の派閥を率い、自ら首相となり、安倍内閣を誕生させた有力な政治家ではあるが、政治活動の中での心ない言動やオリンピック・パラリンピック組織委の会長に就任してからも新国立競技場建設に当初予算の2倍以上の3,500億―5,000億円内外を掛けようとしたり、エンブレムでは盗作疑惑を掛けられたり、数々の不祥事起し、また小池東京都知事との確執など、とかくの風評があったから今回の問題に発展したとのであろう。国際的スポーツの祭典に国レベルにせよ世界レベルにせよ政治を持ち込むのはなじまないのかもしれない。
 その会長を武藤事務総長が組織のために慰留したとされ、事務総長自体も森発言の問題を理解していない。更に同事務総長は森会長が辞任した後も、新会長候補の指名に関与したり、新候補選びでは「候補者検討委員会」のメンバー選びが不明瞭な上、氏名を不公表とするなど、迷走に迷走を重ねている。同事務総長は、組織委の事務方トップとして森会長が引っ張った元財務官僚であり、組織委発足以来、上記の一連の不祥事を重ねて来ており、事務処理上も拙劣に映る。その事務総長が、「候補者検討委員会」の進行役を務めているようだが、一体この「候補者検討委員会」は何なのであろう。

 2、個人の平等も達成されていない日本
  男女平等は勿論支持するところだが、実は日本において国民の「個人の平等」が未だに実現されていないのが現状だ。
 民主主義の基本は、男女を含めて「個人の平等」であり、憲法にも規定されている。個人の平等を最も基本的に体現できるのは、国民の代表を国会に送る選挙であろう。しかし戦後国民1人1人の投票の重み、価値が1対1に近い形で平等な選挙が行われたことは1度もない。都道府県毎に選挙区が区割りされ、定数が割り振られているが、人口の少ない選挙区と多い選挙区では、1票の重みが衆議院では最大で3倍以上、参議院では5倍以上の状態が続き、選挙のたびに弁護士グループが憲法違反訴訟を提起して来ている。裁判においては、地裁レベルでは「憲法違反」とする場合もあったが、地裁レベルでも、最高裁においても「違憲状態」とされる場合が多く、国会の対応に委ねられて来た。しかし国会では時に微調整は行われたものの、長期に亘り抜本的な検討はなされなかった。そこで裁判所も国会へ対応を促すため、最近では衆議院で2倍以内、参議院で3倍以内なら違憲ではないと裁定するようになっている。それでも、都市圏の人口の多い選挙区では少ない県に比し、個々人の1票の価値は衆議院で2分の1以下、参議院で3分の1以下となっており、とても「平等」とは言えない状態が長期に続いている。男女平等どころではない。男女を問わず国民の平等は未だに確保されていない。
 最高裁の「平等」に関する考えは、「単なる1対1の関係が基準ではなく、地域など他の要素を考慮する」ということに尽きるようだ。この並びから言うと、男女平等も「単なる1対1の関係が基準ではなく、他の要素を考慮する」という解釈となり、女性への待遇等が男性の2分の1か3分の1以下でも許容されることになる。そうなのですよ。憲法の番人であるべき最高裁でさえも、建前では国民、男女の「平等」と言っていますが、「他の要素を考慮する」という恣意的な判断を加えることを容認しているということ。平等は原則1対1の関係という初歩的な算術も理解されていないようだ。これが現実なのでしょう。
 最高裁のこのような恣意的な「平等」が容認されると、男女平等についても、女性が男性の2分の1、3分の1でも容認されることになる。それが最高裁の本音なのかもしれないが、速やかな是正が望まし。
 最高裁の判事も、内閣により任命される公務員、時の内閣に不利になる判断を出せば、人事で不利にもなりかねないので、わきまえるしかないのは誰も同じと言えそうだ。しかし、そんなことでは3権分立の意味は薄れるばかりでなく、社会も、全体的な民主主義も進まない。
 国会は真に平等な国民の代表ではない。その国会で指名された首相も真の意味で国民の代表ではなく、その内閣に任命された裁判官も同様という負の連鎖が続いているように見える。これに意見が言えるのは、マスコミや学者を含む知識人なのであろう。
 しかし従来、マスコミや学者、有識者などもこの状況を許してきたと言える。マスコミやコメンテーター等もビジネスであるのでスポンサーや雇い主等を考慮しなくてはならないことは当然だろう。学者については、著名で国の各種委員会等で委員を務めている国立大学の多くの教授、研究者は国家公務員であり、言動には国家公務員としてわきまえなくてはならない。余計なことを言えば外される。全国には国立大学が86校(2020年4月現在)もあり、これ程多くの最高学府の学者、研究者が国家公務員であり、発言は自粛、制限される。自由な発信は望めない。いわば御用学者が多過ぎると言える。特に政治・社会・経済・歴史を含む人文科学、社会科学の分野では自由な発想、研究や表現は望めない。日本は、政治に縛られない生物化学、物理、及び文学の分野ではノーベル賞受賞者を出しており、喜ばしい限りだが、政治と密接に関係する社会科学の分野では1人も受賞していないことは、教育制度に国家色の強い偏りがあるからであろう。学問や表現の自由を確保する意味からも、国立大学の民営化と、学生の経済的負担を軽減し、平等の教育機会を与えるとの観点から、その予算を、将来負担を軽減した奨学金制度の拡充及び研究助成に振り向けることを検討すべき時期ではないだろうか。
 また最近情報系バラエテイ番組でお笑い系のタレントが重用されているが、お笑いの人からコメントなど聞きたくないという辛口の意見や、わきまえて話すお笑い芸人は面白くも可笑しくもないとの声がある。
 従って現実問題として、残念ながら日本は中から政治・社会・経済制度の改善、改革の動きは出にくく、今回のように国際社会からの批判や圧力、良く言われる「外圧」がないとなかなか動かないのかもしれない。それで良いわけがない。(2021.2.17.2021./2.20.一部加筆)
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2021年度予算案、踊る過去最大と膨大な借金!

2021-05-23 | Weblog
 シリーズ本音トークー2021年度予算案、踊る過去最大と膨大な借金!
 政府は、2020年12月21日、コロナ罹患者が「過去最多」を塗り替えている中で、2021年度政府予算案を決定した。一般会計の総額が、第3次補正予算を含めた15か月で、106.6兆円となり「過去最大」となり、どのメデイアも「過去最大」を強調している。景気浮揚を図りたい自・公連立政権としては狙い通りと言ったところだろう。
 しかし何と財源の40.9%が赤字国債を含む政府の借金だ。財源となる税収はもともと国民の税金だが、政府の借金もいずれ国民が負担しなくてはならないので、「過去最大」などと国民をぬか喜びさせるのではなく、40%を超える借金をせざるを得ないことを国民にまず詫びるべきであろう。コロナ対策は誰の責任でもなく、国民1人1人が自らの健康を守る努力をしなくてはならないし、政府のコロナ対策は不可欠だが、アベノミクスの不始末と財政健全化の先延ばしが影を落としている。
 自・公連立政権は、1,100兆円を超える膨大な公的債務を抱える中で、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を2025年度に先送っていたが、更に27年度に先送りした。これは安倍政権では目標を掲げながら事実上断念したことを意味する。選挙になると予算の大盤振る舞いをし、財政の健全化は何ら達成されないどころか、安定にあぐらをかき、誠意ある努力の跡も見られない。アベノミクスでは、大規模な財政出動と金融緩和を継続し、「いざなぎ景気」だの何のと成果を強調していたが、それならばその内に少しでも財政健全化、公的債務の削減、金利の引き上げなどに努力すべきであった。それさえも行わず、財政再建目標を先延ばしした。もっとも「いざなぎ景気」とは奇弁で、実際は1%台程度の低成長をやっと維持できていたに過ぎない。それでも財政健全化の目標を掲げた以上、少しでも努力すべきだ。
 それを継いだ現政権も、2021年10月の衆議院議員の任期切れ前に総選挙を行わざるを得ないので、補正予算を含む大盤振る舞いを、借金を重ねてでも実施しようとしているに過ぎない。この点では、2013年より務めている財務相の責任は非常に重いと言えよう。
 コロナ対策においては、既に2回の補正予算で11.5兆円もの予備費を確保し、国会の審議も、承認も無く任意に使っている。借金して勝手に使っており、そのツケは国民への税金となる。7月20日に唐突にGo toトラベルを強行したのも、10月前後での解散、総選挙を念頭に置いた観光・旅行業者支援であり、それが首相交代で頓挫すると、11月25日に拡大しつつあったコロナ拡大を抑制するため「3週間の勝負の期間」として国民の自粛を要請した。しかしGo toトラベルについては65歳以上の抑制に限定し、その他を制限せず容認したのも、2021年年初の解散、総選挙を念頭に置いた観光・旅行業者支援が最大の関心であったと見られている。しかし「3週間の勝負の期間」は、65歳以下は大丈夫との誤ったメッセージを若い世代に与える結果となり、コロナ禍は毎週のように「過去最多」を重ね、大失敗に終わった。借金をして使った金は一部の業者には恵みの支援となったことは事実だが、その結果は「過去最多」の感染拡大で、1月11日まで東京を含むGo toキャンペーンの中止となり、逆に年末年始のかき入れ時を前に関係業者に追加的な負担と不安を与えている。
 そこで今度は「過去最大」の2021年度予算案を打ち出さざる得なくなったが、これまで財政健全化努力を怠っていたため、手元に資金はないので、40%以上を借金として見せかけの景気対策やコロナ対策を組んでいる。しかしそれも、借金で水ぶくれした景気対策である上、3月に予算案が衆議院を通過した後の解散、総選挙を念頭に置いたものであろう。それもこれも選挙のための見せかけの大盤振る舞いと映る。はっきり言って、景気対策やコロナ対策も本当に困っている国民には届いていないようだ。
 国民は何時までこんなことを容認しているのだろうか。(2020.12.23.)
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オリンピック開・閉会式典、ブタはタブーか?!

2021-05-23 | Weblog
シリーズ本音トークーオリンピック開・閉会式典、ブタはタブーか?!
 オリンピック・パラリンピック開会式、閉会式の企画については、1年延期され、コロナ禍での開催を考慮した簡素化のため、野村萬斎氏を中心とするチームが昨年解散され、クリエーティブ・ディレクターの佐々木宏氏が総括することとなっていた。
ところが同氏がチーム内のLineで、開会式に出演予定だった女性タレントの容姿になぞらえて豚の格好をさせるようなアイデアを提案したところ、メンバーがこれを「女性タレントの容姿を侮辱する」として問題視したようで、その内容がスキャンダル記事で勇名を馳せている某週刊誌オンライン(3月17日)に掲載された。
これがネット上などで「女性蔑視」の演出などとして批判され、佐々木氏は辞任する意向を表明し、橋本聖子組織委会長はこれを了承した。
森前会長の女性蔑視問題に端を発して組織委会長に就かされた橋本会長としては仕方ないことと思われるが、次の通り、他人の言葉尻等を捉まえて過敏に批判し、当該人を辞任に追い込むだけでなく、そのような例えや比喩を「差別的」などとして次々と日常の生活用語から消して行くことは、自由な表現や本音の発言を封じ、更に建前の発言に終始する文化やメデイアを作り出すのではないかと懸念される。
1、ブタはタブーか?
対象となった女性タレントは、お笑い系の女性芸人で、太った体型を活かしたてマライヤ・キャリーのものまねなどをし、そのギャップで内外において人気のタレントさんである。恐らく本人も体型を活かした芸風を意識しているのであろう。
辞任した佐々木氏の演出については見てみないと評価できない。ラインではブタの絵文字を使い連絡していたようであるが、恐らくは親しみを込めてそのようなアイデアを提案していたものと思われる。その女性芸人をブタに見立てる必要があるのかについては疑問だが、悪意はなかったのだろう。
ブタの衣装を着せるようなことは、コントやバラエテイなどでは男女を問わず時々行われており、また太っている芸人をブーちゃんなどと親しみを込めて呼ぶことも少なくない。悪意を込めて言えばいじめともなるが、男女差別用語でもなければ、それ自体タブー視すべきものでもない。
佐々木氏は今回のことで辞任する必要はなかったと思われるが、このような言葉尻を捉えて発言や行動を過敏に批判することが一般化していくと、神経過敏となり言動が萎縮し、発想や言葉自体が更に建前化する恐れがある。歴史的にも、倫理観や価値観が変化すると死語となる表現はあるが、今回はそれには当たらないようだ。
メデイアは、何を報道するかは自由であり、表現の自由は当然保障されなくてはならない。しかし当事者へのフェアーネスや社会的影響が考慮されると共に、禁句やタブーを神経質に次々と積み重ね、或いは放送用語が過度に抑制、制限されないよう十分に注意が必要のようだ。お笑い芸人が言葉を選んで発言しているのでは、面白くもおかしくもない。
2、 LineやSNSの危険性
 今回の問題は、Lineを通じてのグループ(お友達)内の連絡が発端となったが、何故グループ内の限定された連絡がメディアを通じて公にされたのかという問題がある。Lineは友達グループの間で自由に連絡しあえる便利なシステムではあるが、友達が友達を誘ってグループに入れることが出来るので、場合により余り知らない人がグループに入ってくることもあり、連絡内容も記録に残るので注意を要する。
 またこれとは別に、Lineの運用が委託されている中国の企業が会員の個人情報を取得していたことが明らかとなっている。デジタル通信は便利ではあるが、個人情報が漏れたり、なりすましなどが紛れ込んだりすることが日常的に起こりえるので、情報セキュリテイ、管理が不可欠である。その関連では、マイナンバーのように、1つのカードに個人の情報を詰め込むことの危険性を認識すべきであり、社会保障分野に限定するなど、簡素なものとすることが望ましい。情報セッキュリテイを徹底するという方法もあるが、そうすると操作が煩雑となり利用者の負担が更に増える一方、情報はいずれ何らかの方法で漏れることを認識すべきであろう。
この関連でマイナンバーは、一見便利そうだが、情報のインプットに膨大な作業と時間が必要となり、情報記載遅れやご記載で混乱し、処理しきれない状況となる恐れがある。公的年金だけでも、記載漏れや誤記載の前例がある。また情報セキュリテイを強化すると、利用者の負担が非常に大きくなる。所得税の申告の際、マイナンバーを記載することになっているが、同時に証拠書類としてマイナンバー・カードの写しと、それに加え、「本人確認のため」運転免許などの写しを添付することになっている。これを世間では二度手間というのではないだろうか。マイナンバー・カードは、利用者側の国民にとって効率的でも便利でもなさそうだ。
3、オリンピック・パラリンピック組織委への不信が背景
 今回の問題も、森前会長の女性蔑視発言問題も、組織委自体への不信、不満が背景にあったと見られる。
 組織委は、発足当初からエンブレム盗作問題、新国立競技場過大予算問題、更に小池都知事との確執などの問題が次々と表面化し、そのような失態続きの中で、森前会長の女性蔑視発言が大きな問題に発展したと言えるだろう。
 オリンピック・パラリンピックの性格上、特定政党と関係の深い政治家出身者が会長に就いたこと自体に基本的な問題があったと思われるが、その上身内びいきが強いなどの風評があり、事務局長(何故か事務総長に格上げ)も元財務官僚であった武藤氏を連れて来ている。同事務局長は、森前会長の女性蔑視発言で批判が出た際にも辞任を止めようとしており、この発言の意味合いを理解していないと見られている。事務総長として高額の俸給を得ているとも伝えられている。
 今回の佐々木氏の発言問題が辞任に発展したのは、このような組織委への不信が背景にあったと見られ、一連の失態の責任を速やかにとるのが筋であろう。その後は、橋本新会長が信頼できる事務局内の適当者を事務局長として事務を進めることが望ましい。(2021.3.22.)
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東京オリンピック3巨大施設で組織委ファースト!(再掲)

2021-05-23 | Weblog
シリーズ平成の本音―東京オリンピック3巨大施設で組織委ファースト!(再掲)
 2021年2月3日、オリンピック組織委森会長が、JOC臨時評議会において、女性理事40%目標との関連 
 で、女性は話が長い、増員するなら発言時間制限が必要との発言をし、また人気の無い芸能人は田ん 
 ぼで走ったらよいなどと発言したことが、差別的発言として報道された。翌4日午後、同会長は釈明会
 見を行ったが、メモを見ながらの「謝罪、発言撤回」で気持ちが伝わって来ないなどのコメントが多
 方面から寄せられている。同会長は、一生懸命努力して来ており、自分から辞める気持ちはないとし
 ているが、進退に発展しかねない状況になっている。同会長のご努力はその通りであろうが、4年前に
 組織委が設置された当初から、膨大な予算規模や都知事との確執などが伝えられると共に、お気の毒
 ではあるが健康上の問題もあり、お疲れになっている表情が痛々しいほどであり、もう少し早めの対
 応が必要ではなかったのではなかろうか。またオリンピック・パラリンピックというスポーツの祭典
 には、そもそも政治家や官僚OBが中心になることは、政治的中立性を含め不偏不党のスポーツ精神に
 なじまないのではなかろうか。他方、膨大な金が掛るから民間人は尻込みする状況となっているの
 で、このような金の掛るオリンピックが必要なのかも考える時期にあるのではなかろうか。そこで、
 本稿(2016.12.)を再掲したい。(2021.2.4.)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて建設が検討されている3巨大施設について、小池都知事は就任後、巨額の費用となるボート、水泳、バレーボールの3施設建設の見直しを行うことを表明した。同知事が、選挙中に東京オリンピックに向けて国際都市東京としての努力と期待を述べつつ、全体として3兆円とも言われる費用が予想されることに疑問を呈するなど、都民ファーストの都政改革の必要性を訴え、圧倒的な多数で当選したことを受けての提言である。
 3施設の内、海の森水上競技場とアクアティクスセンターについては、IOC、東京都、政府、及びオリンピック組織委の4者協議を経て、従来の計画をスリム化して300~400億円の節減をすることで決着したようだ。
 バレ-ボールの有明アリーナについては、従来世界大会も開催されている横浜アリーナを活用する案と比較し、クリスマス前までに東京都が結論を出すこととされている。
 1、有明アリーナ建設となれば、横浜アリーナは2流となる!?
 流れとすれば、組織委(会長森元首相)とアスリート団体が新施設を希望していることを強調していることに加え、横浜アリーナを利用する場合の費用問題などから、多くのメデイアは結局のところ有明アリーナになるのではないかと予想している。
 組織委の森会長は、横浜アリーナ使用を含め、見直しに強い不快感を随所であらわにしているが、有明アリーナを建設することになれば、横浜アリーナは恐らく将来バレーボールに使われることはほとんどなくなると共に、いわば2流の地方的イベント会場になる恐れがある。横浜市や神奈川県がそういうことでも良ければ仕方がない。
 2、東京都民は巨大施設の見直しや都政改革を選択した
 新しい施設を作ってくれるのであれば、アスリートや関係団体と組織委はそれを強く求めるであろう。しかしそれは都民の税金で負担されることを忘れてはならない。もし組織委等がアスリートファーストに固執するのであれば、それを支持する。しかし費用はアスリートや関係団体、組織委が努力して寄付等を募って工面すべきであろう。東京都民としては、オリンピック・パラリンピックの成功を願うが、その負担を都民に押し付けられることは望まないであろう。都民は都政改革を訴えた小池知事を選んだ。都民ファーストとは言わないまでも、消費増税と日常物価上昇の中で事業税、住民税の負担感が強くなっており、そんなにオリンピックで贅沢が出来るのであれば、事業税、住民税の引き下げを望みたい。
3、国家的ビジョンに欠ける東京オリンピック・パラリンピック2020
 また基本論として、東京に新国立競技場の他、そのような大規模施設を集中させてどうする積りか。採算性も重要だが、そのような大規模施設を作れば、更に機能や人が東京に集中し、地方は更に取り残されることになり兼ねない。今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、東京を将来どうするのか、地方をどう活性化して行くのかという国家的なビジョンにも欠ける。と言うよりも、東京の機能の分散と地方の活性化の方向に反するのではないか。
 4、組織委の人事刷新が不可欠
 今回の東京オリンピック・パラリンピックについては、組織委の対応が失態続きで、際立って悪い。新国立競技場の法外な費用問題、エンブレム問題、そして今回の都が負担する巨大施設の膨大な建設費問題など、建設費が高騰していると業界はしているとは言え、費用をもりにもった放漫姿勢やガバナンスの欠如が懸念される。組織委ファーストの姿勢が随所に見える。
巨大施設問題が決着すれば道筋は出来るので、組織委の会長と事務総長が交代する良い機会ではなかろうか。(2016.12. 3.)    
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江戸城最古の石垣発掘、内外の人々に公開すべし

2021-05-23 | Weblog
江戸城最古の石垣発掘、内外の人々に公開すべし
 江戸城趾の1 部である東御苑に開設されている三の丸尚蔵館が2019年から拡張工事を行っているところ、2020年11月に「現存する最古とみられる江戸城の石垣」が発掘された。石垣は、同館の建て替え工事実施に伴い、江戸城趾が所在する東京都千代田区が必要な発掘調査を行ったところ発見されたもので、2021年4月13日なって公表された。
 石垣は、地下約7メートルから7段程度積まれており、高さ約4メートル、幅約16メートルのもので、江戸時代初期の1610~1620年ごろに築かれた堀の石垣と推定とすいていされている。石組みは粗く石と石の間に河原石がそのまま使われているなど、荒い作りとなっている。
 千代田区は、関係当局とも協議の上、積み方が弱く、くずれる危険性もあることなどから埋め戻すこととしている。
 1、折角の貴重な歴史的遺跡、展示する方法を検討すべし
 東御苑尚蔵館は、皇室が国に寄贈した美術品などを展示するために1992年(平成4年)9月に建設されたもので、石垣はその拡張工事に伴い発見された。ここは、現在東御苑とよばれているが、江戸城趾の中心部の1角の「3の丸」があった付近である。東御苑のある一帯には、嘗て江戸城の天守閣があり、将軍の居所であり、接見等の場所である本丸のほか、大奥や二の丸、三の丸があったところである。本丸は江戸初期に火災で焼失し、それとは別の二の丸のあった場所に建設され、その後拡張と焼失を繰り返しながら区画を移動した。従って、東御苑として公開されている区画は、江戸城の中心部に当たり、焼失毎に埋め立て、別の区画を拡張するなどを繰り返しているので、地下に貴重な遺跡が残っている可能性が高い。
 宮内庁は、尚蔵館が手狭になったことから新館の建設を提案したが、文化庁(宮田亮平文化庁長官当時)が反対し、立て替え拡張されることになった。幸いなことに、工事前に遺跡の有無の調査が行われ、江戸城最古とみられる石垣が発見されたものだ。
 今回発掘された石垣は、江戸初期のもので当時の情景を残す数少ない遺跡であり、その後の城内の変化発展している様子を見て取ることができるので、適切な防護、安全措置を執り、公開されるべきであろう。折角の貴重な遺跡を埋め戻してしまえば、国民の目に触れることなく、歴史を埋めることになるので適切でない。
 逆に、江戸城にはなじみのない現代の建物である尚蔵館の拡張工事のために、江戸城の最古の石垣を埋め戻すというチグハグさ、歴史的遺跡への過小評価に違和感をおぼえる。
 2、江戸城趾東御苑などの再発掘の良い機会
 今回尚蔵館の拡張工事に際し、発掘調査が行われ、‘たまたま’石垣が見つかったことは幸いであったと言えよう。ということは、少なくても江戸城三の丸周辺では十分な発掘調査が行われていなかったことを物語っている。
 三の丸のある東御苑には、江戸城天守閣をはじめ、本丸や大奥、二の丸、三の丸など、1603年から1868年までの江戸幕府の中枢部分があった歴史的にも文化的にも非常に興味ある遺構である。現在は、天守閣の石垣や二の丸庭園の一部があるのみで、三の丸の尚蔵館など新たに建てられた建物を除き、更地の庭園となっている。公開はされているが、江戸城の面影は天守閣の石垣や二の丸庭園を除き何もない。265年続いた歴代将軍の生活の痕跡がない。江戸城は、内戦を避け英仏列強の介入を避けるため歴史的な無血開城が行われ、第2次世界大戦での米国による直接の爆撃が避けられ、大手門を失っただけであるので、明治維新には、お堀周辺の石垣や門などだけでなく、東御苑となった場所にも歴史的な建物が存在したはずである。
 本丸や大奥、二の丸、三の丸などの建物は、江戸初期から何回も火事に遭い、本丸、二の丸、三の丸へと移動しながら再建、拡張を繰り返し、使われてきたものである。従って、地上にあった建物等が倒壊されたとしても、地下には江戸時代に焼けた建物の一部や土台、礎石、及び生活用具類等の一部がが残っている可能性がある。
 今回、三の丸尚蔵館拡張工事のため、周辺の発掘調査が行われ、予期していなかった江戸城最古の石垣が「たまたま」発見されたことは、これまで三の丸を含め東御苑等の発掘が十分に行われていなかったことを示している。
 江戸城が無血開城された後、明治維新となり明治政府が江戸城の一部を残しで倒壊したが、担当太政官と写真師内田九一が江戸城内を写真撮影し、また内田九一は自らも当時の映像を残している。その写真師内田丸一については、「内田九一の江戸城新発見写真」 展覧会が2020年3月上旬にお茶の水シェイクスピア・ギャラリーで開催されたようだが、コロナウイルス騒ぎの真っ最中であったこともあり、一部の通信社が伝えているのみで余り話題にならなかったようだ。内田丸一は宮内省御用掛の写真師となったが、32歳の若さで亡くなったこともあり、江戸城の写真はほとんど世に出ることはなかった。
 江戸265年の歴史は、庶民文化や商業主義や家内工業的な匠の技術を含む経済・社会が急速に発展し、地方と江戸との各種の交流等を促進させ、良きにつけ悪しきにつけ、多くの分野で今日の日本、そして将来の日本のルーツの1つになっている。因みに、各藩の藩主に江戸詰めを求めた参勤交代は、謀反を起こさせないための制度とか各藩を疲弊させるためのものとかと批判されることが多いが、その面だけで無く、地方と江戸との交流促進や交通通信制度の基礎となった面がある。歴史研究においても江戸城趾の発掘が進めば、多くのことを学ぶことが出来、また内外の人たちの観光資源となることが期待される。
 3、両国の片隅に立つ「江戸博物館」
 両国にある国技館の裏手に「江戸博物館」がある。展示物等に目を見張る物は少なく、下町の庶民生活の様子は暗く狭苦しい。人影もまばらなことが多い。
 江戸城趾の広大な敷地の中に江戸を伝える博物館や展示場は1つもない。江戸の歴史が消されているような印象を受ける。明治以降の治世は第2次世界大戦後、現行憲法の制定をもって終わっている。もはや江戸の歴史を埋める必要はないのではないだろうか。江戸城趾は全国民の、そして恐らく世界の多くの観光客を引きつける歴史的遺跡となろう。(2021.5.14.)
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