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女性宮家の創設は時代錯誤? (再掲)

2022-01-12 | Weblog
シリーズ平成の本音 女性宮家の創設は時代錯誤? (再掲)
 2011年10月に羽毛田宮内庁長官が野田首相に対し、男性皇族の誕生が戦後悠仁親王を除き無いことから、皇族の減少傾向を懸念して「女性宮家」の創設を提言したと一部保守系紙が連日報道した。羽毛田宮内庁長官は2009年12月、中国の習近平副首相が訪日し天皇陛下への拝謁が要請された際、事後に記者団に対し政府当局よりの要請が十分余裕を持ってなされなかったことに苦言を呈し、外交上の配慮か陛下の擁護かの物議を巻き起こした人物である。
 その後も保守系新聞において女性宮家の創設報道が繰り返された。確かに天皇皇后両陛下が高齢化し、行事への参加が抑制される中、皇太子妃が健康上の理由で公式行事を控えられてきている一方、国民の側からは各種の行事で皇族のご出席を望む声も多い。特に秋篠宮長女の眞子様が成人され、いずれご結婚されると皇族を離れることになり、男子が誕生しても皇位継承者とはなれないなど、行事への参加や皇位継承者を確保するなどの上で制約となる可能性がある。そのような観点から、皇族女子が民間人と結婚した場合には夫も皇族に加えるなどの皇族拡大案も出されている。
 野田政権は、男子継承の伝統を尊重し、女性宮家の創設を継承問題と切り離して検討するとのコメントを述べるなどしているが、一部の有識者から意見を聴取する予定を明らかにしている。
 しかし日本国憲法は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と明確に規定しており、また「華族その他の貴族の制度は、これを認めない。」としている。このような憲法規定を踏まえ、皇室典範で皇位は男子継承とされる一方、女子は民間人と結婚した段階で皇族を離れるなど、皇族の範囲を制限している。
 多くの国民の心情としては、両陛下を含め皇族のお一人お一人のお健やかな生活を送られることを願っているところではあるが、女性宮家が創設されると、時代の経過と共に皇族が拡大することになり、皇室に生まれたという「社会的身分又は門地(家柄)」だけで皇族という資格、身分を得て、経済的又は社会的関係において“差別される”ことになる。従って女性宮家の創設は、平等性や民主主義という現行憲法の根幹に触れることになるので、慎重に検討されなくてはならない。
 また女性宮家が創設され天皇制の恒久化が強化されることは、日本の統治制度の保守性を強化する意味合いも出てくるので、「政治的」関係においても保守体制を擁護し、「政治的差別」を生む結果ともなる。嘗てある首相が「日本は天皇中心の神の国」と述べ、失笑、物議が起こったことがある。
 女性宮家の創設以前に、皇位継承を男子に限定せず、女子による継承も容認することや、宮家を離れた皇族3親等以内の女子を陛下の長女あるいは秋篠殿下長女等として一定の儀礼的活動をすることを認めるなど、検討すべきことがあるのではなかろうか。
(2012.02.21.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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