シリーズ「低炭素社会づくり行動計画」の問題点
政府は、「低炭素社会づくり」を目指し行動計画を策定することになっているが、一部報道では、太陽光発電の普及などの他、二酸化炭素を地中や海底に埋め込む炭素回収・貯留技術(CCS)の大規模実証実験の実施と実用化、石炭発電の効率化や原発の新設と軽水炉の開発などが骨子となると伝えている。現在必要とされるのは、社会の各分野での具体的な行動であり、行動計画の策定自体については歓迎される。
太陽光発電の普及については各種の奨励策が積極的に講じられて良いが、CCS他については問題が多い。
「炭素回収・貯留」(CCS)は、文字通り排出された二酸化炭素を回収して、地下や海底に封じ込めるだけであり、地球上から二酸化炭素が減少するわけでは全く無い。地震は世界各地で頻繁に起きており、今後人間の予測の範囲を越えるような大規模な地震や地殻の変動が起こらないとは言えない。もし二酸化炭素の貯留が増え続け、地殻の変動や予測を超える圧力により二酸化炭素が大気中に流出すれば、近隣の住民に深刻な被害を与える恐れがある。海中に流出すれば海の生態系に被害を与える。二酸化炭素の濃度が7%を越えると死に至ることは良く知られている。更に現在でも地上や海中に不正投棄が行われているのに、地中深くに埋めたとされる不完全な貯留や不正な貯留をどのように防止し、検査するのか。
そのような目先の技術の実用化に公費を投じるべきでなない。もっとしっかりと二酸化炭素を分解し、無害化するような技術や水素燃料の開発など、長期に使用出来る研究開発を促進することが望ましい。
同時にエネルギーの消費節約を国民レベルで促進すべきであろう。大量生産、大量消費の生活に慣れきっているため、まだまだ節約や効率化は可能であろう。そのためには新たな生活スタイルや国家ビジョンを必要とされよう。行政の各種規則などについても特定の行政目的だけではなく、温暖化対策の観点から再点検することは意義があるであろう。例えば消防法上などでビルの地下や階段など、採光があるのに「地下」であるという形式的な理由で電灯を24時間点灯することを義務付けているなどである。また高いビルの屋上や側壁に多くの赤色電灯が点滅しており、航空機の衝突防止のためであれば発光ダイオードの利用や数の削減などを検討可能であろう。その他にもエネルギの大量消費を前提とした過剰な規則などが存在しているはずであり、総点検することが望ましい。広範に使用されている公用車などもその一つだ。大量運搬手段はめざましい発展を遂げており、その利用を奨励すべき時期なのであろう。
また「原発」を2017年度までに9基新設し、軽水炉を開発すると伝えられているが、頻発する地震や旧来施設の老朽化等に中・長期に耐え得るかなどを十分検証する必要があろう。中越沖地震で被害を受けた柏崎刈羽原発についても耐震基準を越えた地震禍が認められており、耐震基準や立地などにつき十分な検討を必要としている。「原発」は二酸化炭素の排出量削減については効果的であろうが、大量の放射性物質を出し、今後更に増え続ける膨大な量の汚染物質を処理しなくてはならない。この点は、先の洞爺湖サミトにおいて目玉の一つとされている中国、インドなどへの原発の普及支援についても、「日本のイニシアテイブによる」とされているが、将来に問題を残す恐れがある。
地球温暖化への対応は、長期の展望に立った持続可能な方法が探求されなくてはならない。それが技術的な突破口もたらすことになろう。(08.07.)
(Copy Right Reserved.)
政府は、「低炭素社会づくり」を目指し行動計画を策定することになっているが、一部報道では、太陽光発電の普及などの他、二酸化炭素を地中や海底に埋め込む炭素回収・貯留技術(CCS)の大規模実証実験の実施と実用化、石炭発電の効率化や原発の新設と軽水炉の開発などが骨子となると伝えている。現在必要とされるのは、社会の各分野での具体的な行動であり、行動計画の策定自体については歓迎される。
太陽光発電の普及については各種の奨励策が積極的に講じられて良いが、CCS他については問題が多い。
「炭素回収・貯留」(CCS)は、文字通り排出された二酸化炭素を回収して、地下や海底に封じ込めるだけであり、地球上から二酸化炭素が減少するわけでは全く無い。地震は世界各地で頻繁に起きており、今後人間の予測の範囲を越えるような大規模な地震や地殻の変動が起こらないとは言えない。もし二酸化炭素の貯留が増え続け、地殻の変動や予測を超える圧力により二酸化炭素が大気中に流出すれば、近隣の住民に深刻な被害を与える恐れがある。海中に流出すれば海の生態系に被害を与える。二酸化炭素の濃度が7%を越えると死に至ることは良く知られている。更に現在でも地上や海中に不正投棄が行われているのに、地中深くに埋めたとされる不完全な貯留や不正な貯留をどのように防止し、検査するのか。
そのような目先の技術の実用化に公費を投じるべきでなない。もっとしっかりと二酸化炭素を分解し、無害化するような技術や水素燃料の開発など、長期に使用出来る研究開発を促進することが望ましい。
同時にエネルギーの消費節約を国民レベルで促進すべきであろう。大量生産、大量消費の生活に慣れきっているため、まだまだ節約や効率化は可能であろう。そのためには新たな生活スタイルや国家ビジョンを必要とされよう。行政の各種規則などについても特定の行政目的だけではなく、温暖化対策の観点から再点検することは意義があるであろう。例えば消防法上などでビルの地下や階段など、採光があるのに「地下」であるという形式的な理由で電灯を24時間点灯することを義務付けているなどである。また高いビルの屋上や側壁に多くの赤色電灯が点滅しており、航空機の衝突防止のためであれば発光ダイオードの利用や数の削減などを検討可能であろう。その他にもエネルギの大量消費を前提とした過剰な規則などが存在しているはずであり、総点検することが望ましい。広範に使用されている公用車などもその一つだ。大量運搬手段はめざましい発展を遂げており、その利用を奨励すべき時期なのであろう。
また「原発」を2017年度までに9基新設し、軽水炉を開発すると伝えられているが、頻発する地震や旧来施設の老朽化等に中・長期に耐え得るかなどを十分検証する必要があろう。中越沖地震で被害を受けた柏崎刈羽原発についても耐震基準を越えた地震禍が認められており、耐震基準や立地などにつき十分な検討を必要としている。「原発」は二酸化炭素の排出量削減については効果的であろうが、大量の放射性物質を出し、今後更に増え続ける膨大な量の汚染物質を処理しなくてはならない。この点は、先の洞爺湖サミトにおいて目玉の一つとされている中国、インドなどへの原発の普及支援についても、「日本のイニシアテイブによる」とされているが、将来に問題を残す恐れがある。
地球温暖化への対応は、長期の展望に立った持続可能な方法が探求されなくてはならない。それが技術的な突破口もたらすことになろう。(08.07.)
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