ノミの心臓をしています。
ちょっとしたことで、
大層驚きます。
風が強くて、窓がガタガタ鳴っただけで
昼寝もできずに不安げな顔をしています。
寝ていても、たとえば私が紙を一枚落としただけで
はっと目を覚まし
大袈裟に慌てふためきます。
机の下で寝ているときには
うっかりペンを机に落としただけで
その場所から、飛んで逃げることもあります。
どうかすると、私が座りなおした時の
「カタッ」「パサッ」といったささやかな音に
過度に反応します。
あくまで「ささやかな音」です。
くしゃみの一つもしようものなら
まるで雷にでも打たれたかのような
うろたえよう。
外を歩いているとき、
近くの家でカーテンを乱暴に引く音が聞こえたら、もうびっくり。
風でゴミが飛んできても
車庫のシャッターが揺れて音を立てても
そんなに驚かなくてもいいんじゃないの、と
こちらがあきれてしまうほどの、狼狽ぶり。
あわてて逃げようとして、
車や自転車の前に飛び出してしまうのじゃないかと、
ひやひやします。
そのほうが余程危険だということが
わかっていません。
私の心は、
デリケートなのです・・・。
とCocoさんは主張します。
繊細で上品にできているのです。
育ちがいいのです。
ほうほう。
しかしそんなあなたを生後五十日のときに我が家に迎え入れ
蝶よ
花よ
と、育ててきたのは私たち家族です。
あなたが「育ちがいい」のは、ひとえに私たちが、
優美で
気高く
エレガント
だからですね。
・・・・・・そうでしょうか。
うーん。
そうですかねぇ・・・？
ふぅむ・・・。
はてさて・・・。
そんなに悩まなくても
すぐにわかるでしょう。
悩んでいるふりをしながら
寝ていませんか?
やがてのそのそと起き上がったCocoさん。
じゃあ、ま、そういうことにしておきましょうかねぇ・・・。
と、やや不満そうに呟くのでした・・・。
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